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『オタクはすでに死んでいる』 [☆☆☆]

・「他者を差別するような人たち」は、私たち以外の「普通」の人である。

・テレビに代表されるメディアが作った、特殊な「オタク」像のステレオタイプを自らなぞっているような人たちが増えていた。

・「自分が好きなものは自分で決める」という強烈な意志と知性の表れ。

・普通の人は何かを好きになるとき、テレビで教えてもらったり、人から与えられたりするわけです。テレビや雑誌などから「今はこれが流行っている」と押し付けられると言ってもいいでしょう。

・世間の人たちってテレビで流行っているものを好きになったりするような人たちでしょう? 俺、悪いけども、皆が好きだとか流行っているとかってどうでもいい。

・世間とは別の価値観を持ち続けるには、知性と意志が必要です。

・ニーチェは大衆への強い侮辱感が「超人」を作る、と説きました。

・「海外で評価されたら、日本人は納得する」という日本人の不可思議な習性もある。

・雑誌の売り上げを左右するのはマンガの品質ではなかった。15、6歳の水着の女の子がグラビアに出るか出ないかで売り上げが変わってしまう。それが、私たちの住んでいる国なのです。

・女性にとっては、差異、それも微妙な差がすべてなのです。だから包括論、いわゆる全体的に見てというのが、なかなか受けつけられない。

・SFが滅びた最大の原因は映像SFでした。もちろん原因といっても、悪者だという意味ではありません。単に原因だという事実があるだけです。

・その世界で「わかっている」と認められるには、特訓めいたものをしなくてはいけない、そんな時代でした。

・「わかりやすいSF」で入ってきた人は、その後もやっぱり「わかりやすい」ものを求める。「わかりやすいSF」ばかりが求められた結果、「わかりにくいSF」が避けられる。

・文化というのは、義務感だったり季節感だったり行動様式だったり、そういった「便利」「快感」ではないものの集合体なのです。

・「貴族だから一般庶民と感覚が違って当然。劣っているとか優れているとかいう問題じゃない、違うんだから仕方がない」というのがオタク貴族主義の考え方です。

・「生まれつき、人より賢くてセンスのいい私たち貴族がたしなむアニメって、君たち庶民には理解できないだろうね? でも教えてあげなきゃ。だって私、貴族だもん」 こういう鼻持ちならない姿勢が貴族だとすると、エリートは違います。「アニメがわからないのは、お前がダメだからだ!」というスタンスです。「俺はがんばって勉強して賢くなったから、この作品が理解できる。おまえたちがこの作品を理解できないのは、おまえたちが賢くないからだ、ダメだからだ!」

・第三世代には「萌え」という感覚の共有だけあればいい。花火が打ちあがったときにおきる歓声、あの一体感のような「感覚の共有」は絶対に「わたし」を否定しないからです。

・壁があるということは周囲と断絶しているということではありません。むしろ壁があることを受け入れているから、どうやって出入り口を作れば軋轢が生まれないかを考えていました。

・縄文人の子孫は今いるけど、私たちは縄文人ではありません。

・文化的に定義された民族、それを保護するには、物理的な境界線とか、排他的な文化が必要です。

・文化というものを維持するには、それなりのプライドとか誇り、良い意味での排他性が必要になります。その例が在日朝鮮人です。プライドとか矜持とか、あと義務感みたいなものがないと、やっぱり維持できない。

・一つの文化が滅びると、その文化の担い手たちは、各ジャンルのマニアとして生き残る。それが歴史の法則です。

・いくら高速道路やビルを増やしても、けっして一流国扱いされない。それは日本固有の文化ではなく、すべて西欧文化を倣った文化ばかりだったからです。西欧において、倣ったものは、すべて二流でしかない。

・オタク文化というのは「大人になっても子供時代の趣味をやめない」ということです。この現象を解析してみると、二つの要素が見えてきます。「日本の大人は子供っぽいので、オタクになる」「日本の子供文化は大人っぽいので、卒業する必要がない」。実は、オタク文化が成立するためには、この二つの要素が両立していることが必要です。

・ヨーロッパやアメリカの子供は、お小遣いがもえらない。欲しいものはプレゼントしてもらうしかなく、つまり大人が同意したもの=よい子向けの商品しか買ってもらえない。反権力風味だったり、過激な暴力描写のある日本製オタク・グッズは、いまだに欧米の子供たちには、やや入手の難易度が高いというわけです。

・日本では子供にお小遣いをあげるのは常識です。つまり、かなり幼い頃から「自分の趣味に対する自己決定権」を持っている。

・現在の70代は40年前の70代に比べれば、あきらかに幼稚です。シニア向けやラグジュアリー層向けといわれる雑誌を見ればいい。長生き/健康と美容とグルメと財産保全にしか興味のない、幼稚な欲望のみが躍っています。

・あなたが社会を受け入れて、ストレスなく生きるためには、面倒でも辛くても発信するしかない。誰かに、代表として発言されても「ちょっと違う」と思うようになり、結局は「どこにも居場所がない」と感じるだけだから。

・「一方的な損を引き受ける覚悟」を大人と言うんです。「一方的な得だけ、要求する根性」を子供っぽい、と言うんです。



オタクはすでに死んでいる (新潮新書)

オタクはすでに死んでいる (新潮新書)

  • 作者: 岡田 斗司夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/04/15
  • メディア: 新書



タグ:岡田斗司夫
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