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『脳を鍛えるには運動しかない』 [☆☆]

・運動で爽快な気分になるのは、心臓から血液がさかんに送り出され、脳がベストの状態になるからなのだ。

・もっと気がかりで、しかも、ほとんど誰も気づいていないのは、動かない生活は脳も殺してしまうということだ。実際に脳は縮んでいくのである。

・運動をすると、セロトニンやノルアドレナリンやドーパミン──思考や感情にかかわる重要な神経伝達物質──が増えることはよく知られている。

・体育の真髄は、スポーツではなく、健康について教えるところにある。体育の授業を通じて自分の健康を観察し管理する方法を教えることができれば、その知識は生涯、役立つだろう。

・わたしの経験では、体育は運動をするものではなく、むしろ逆に運動する気をなくさせるものだった。内気な子や不器用な子、病弱な子が押しのけられ、ベンチで他の子の活躍を眺めているなんて、なんと残酷な皮肉だろう。

・ランニングをするとプロザックやリタリンを少々服用したような効果があるのは、運動がそれらの薬と同じく神経伝達物質の量を増やすからだ。

・認知機能の低下が最も少なかった人には、三つの要因が認められた。教育、自己効力感(ある行動や課題を達成できるという信念や自信)、そして運動である。

・ニューロンは白紙状態の幹細胞として生まれ、発達していくが、生き残るためには何か仕事を見つけなくてはならない。大半はそれができずに死んでいく。

・ただ走るだけでは、ニューロンは対照群のそれと同じペースで死んでいきます。手持ちのニューロンが多くなるだけなのです。それが生き残って回路を作るには、その軸索に信号が流れなければなりません。つまり、ニューロンは運動によって生まれ、環境から刺激を受けて生き残っていくのだ。

・30分のジョギングを週にほんの2、3回、それを12週間続けると、遂行機能が向上する。

・歩く以上に複雑な運動技能はすべて、学ばなければ身につかないため、どれも脳を刺激する。

・被曝によって労働者はより健康になっていたのだ。放射線にさらされていた2万8000人の労働者は、そうでない3万2000人の労働者と比べて、死亡率が24パーセント低かった。放射線は細胞を傷つけるストレスであり、高レベルになると細胞を殺し、がんなどの病気を引き起こす。だがこの労働者たちの場合、被曝した放射線量が少なかったため、細胞は死ぬどころか逆に強くなったのだ。

・人間が他の動物と違うのは、目の前に危険が迫っていなくてもストレス反応が起きるところだ。人間は危険を予測し、記憶し、概念化する。この能力がわたしたちの生活を複雑にしている。

・そして何もかも避けるようになり、身の回りの世界が縮み始める。

・社会不安がもたらす問題の大部分は、恐怖症であれ、軽い不安であれ、いったん内にこもり始めると、人づきあいの練習ができにくくなり、ますます社会とのかかわりが怖くなるところにある。

・ヒポクラテスの時代には、感情は心臓から生まれるものであり、精神の病の治療は心臓から始めるべきだ、と考えられていた。現代医学は心と体を切り離したが、ヒポクラテスは正しかったことが近年、具体的に明かされている。

・うつとは、希望がまったくない環境で資源を保存しようとする生存本能だと述べている。「おとなしくして危険に近づかないようにするために」そういう状態になるのだ。

・注意欠陥障害の患者は、とことんまで追い込まれないと、仕事を片づけられない。

・スポーツに特有の型の決まった動きは、脳の幅広い部位──バランス、タイミング、動きのつながり、結果の予測、切り替え、エラーの是正、運動の微調整、活動抑制、そしてもちろん過剰な集中をコントロールする部位──を活性化させる。

・ADHDの人は、大学入試のための勉強というような、長い目で見て価値がある地味な作業より、すぐに満足が得られる作業を好む。わたしは彼らを「現在に囚われる人」と呼ぶ。長期目標に焦点を合わせられないので、やる気がないように見えるのだ。

・野菜にここからあそこまでジャンプしろとは言えません。動くのをやめてしまえば、あなたは動物ではなく、野菜になってしまうのです!

・愛煙家の場合、激しい運動はたった5分でも効果がある。運動すると、タバコを吸いたいという衝動を抑えることができる。運動をすると、タバコへの渇望が50分間抑えられ、次に一服するまでの間隔が2倍から3倍に伸びる。

・母は自分を保つことをあきらめてしまった。現実とそうでないものの区別がつかなくなり、母の世界にはメロドラマの登場人物が行き来するようになり、彼らがそばにいるかのように話しかけた。

・老齢機に直面する精神の病気と体の病気は、心血管系と代謝系を通じて結びついている。肥満の人が普通の人の2倍、認知症にかかりやすいのも、心臓病の人がアルツハイマー病になる確率が非常に高いのも、そのような頭と体のつながりが壊れた結果なのだ。

・軽度認知障害は進行するとは限らないが、放置すると認知症になりかねない。自分を形づくっている人生の軌跡を辿ることができなくなり、自我が蝕まれていくという耐えがたい恐怖を味わう。

・孤独と運動不足は、細胞の死のスパイラルをさらに助長し、脳を萎縮させる。

・靴のひもを結ぶ、ドアの鍵を開ける、食料品店まで車で出かけるといった、ごくあたりまえにやっていることが、実は、作動記憶、作業のスムーズな切り替え、不要な情報の締め出しといった、脳の最も高度な機能に依存しているのだ。よく調教されたサルでも、シャツのボタンをなかなかきちんとはめられないのはそこに理由がある。

・ライフスタイル次第で、健康ですごせる期間──単に長生きするのではなく、よりよく生きる人生──が増えることを知れば、誰でも、少なくとも気持ちの上では、もっと活動的になろうとするだろう。そして、運動が心臓だけでなく脳にとっても大切であることを知れば、さらに熱心に運動しようとするだろう。

・忙しく生きていないと、体は急速に死に向かう。計画や目標を立て、約束を入れることは大切だ。

・摂取カロリーを抑えれば寿命が延びる。少なくとも、ラットではそれが証明されている。

・食事を抜くことをあえて人には勧めないが、自分は実践している。朝食を抜き、昼食はサラダですませ、夕食は普通に食べて、トータルで1日2000キロカロリー以下に抑えている。

・脳の50パーセント以上は脂肪でできているので脂肪も重要だが、良質なものに限る。トランス脂肪、動物性脂肪は有害だ。一方、魚に含まれるオメガ3脂肪酸はとても体にいい。

・わたしがウォーキング、すなわち低強度の運動と呼ぶのは、具体的には最大心拍数の55から65パーセントでの運動を指す。中強度の運動は65から75パーセント、高強度は75から90パーセントとなる。

・娯楽のために運動している人の場合は、220から年齢を引いた数を理論上の最大心拍数と見なす。



脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

  • 作者: ジョン J. レイティ
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 単行本



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