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『社会人のための「本当の自分」づくり』 [☆☆]

・生きる。生活する。答えは簡単である。しかしその内容は簡単どころではない。

・こうしたほうが楽だ、こうしたほうが安全だ、こうしたほうが得をするなどとわかってはいても、それが自分のアイデンティティに反する場合、あえて苦労する方向を、危険な道を、損をする行動を選択しなければならない衝動に駆られます。

・私たちは、自分自身のものと当然のようにみなしている自分の性格像をどのようにして理解したのでしょうか。最も身近な他者である親によって小さい頃から言われてきたことが、いつのまにか自分が把握している自身の性格像の中核を占めるようになっているのではないでしょうか。

・自己の安定は、周囲の人々の視線によって支えられているということです。かかわりのある周囲の人たちから、「こんな人物であるはずだ」「こんなふうに振る舞ってほしい」といった期待や義務づけの視線を向けられ、そうした視線に縛られることによって、私たちの自己の安定は保たれているのです。

・私たちが潜在的に記憶している内容と実際に想起する内容との間にはズレがあり、想起する時点でもっている視点によって思い出される内容が違ってくる。

・現代人が直面しているのは、けっして現実そのものの意味のなさではありません。現実に意味がないという問題なのではなく、現実に意味を与えることのできる自己物語をもっていないということが問題なのです。

・青年期が人生の危機と言われてきたのは、成人して社会に出るにあたって、社会的役割をうまく組み込んだものへと自己物語を書き換えなければならないからです。慣れ親しんだ自己物語を部分的に放棄して、新たな自己物語を構築するというのは、痛みや混乱を伴う大仕事です。

・「意識が変われば行動も変わる」というのは周知のことですが、その逆もまた真だということです。「行動が変われば意識も変わる」のです。

・人は客観的事実の世界に生きているのではなく、解釈された意味の世界に生きています。したがって、ここの出来事に与える意味が違ってくれば、生きている世界が変わってきます。その意味において、自分が生きている現実は変えることができるのです。

・面倒みのよさという一見良心的な教育システムは、権力に逆らわない飼い慣らされた人間を育成するのが教育の目的であるかのように、若者の生きる力を蝕んでいるように思われてなりません。

・肯定的な意味をもつ出来事をとくに多く思い出して人生の流れをつないでいけば、明るく力強くて前向きな自己物語を生み出すことができるでしょう。反対に、否定的な意味をもつ出来事をとくに多く思い出して人生の流れをつないでいくと、暗くて弱気で後ろ向きの自己物語を生み出すこともできます。同じ人生をもとにして、雰囲気が百八十度異なる自己物語をつくりあげることさえできるのです。

・所属する社会のメンバーとしてふさわしい行動様式を身につけさせることを社会化と言います。

・自分には能力がないと言うためには、その能力を必要とする活動に全力投入して向かってもどうにも報われないといった事実による裏づけが必要です。

・先生やクラスメイトから落ちこぼれとか劣等生とみなされている子であれば、衝動の込み上げるままにバカ騒ぎをしたりして発散できるでしょうし、ちょっと体調が悪いだけでも試験勉強などいい加減に手を抜けるでしょう。そのような気楽さやいい加減さが、いわば周囲の期待通りの行動パターンだからです。私たちは、日々の生活において、このように周囲の視線に強く拘束されています。

・今の仕事が自分が本当にやりたいことではないというなら、本当はどんな仕事をしたいのかを明確化しないかぎり、今の仕事に打ち込めないことに対する言い訳、手抜きの正当化にしかなりません。今の仕事や生活に不満なら、どんな仕事をやりたいのか、どんな生活をしたいのかを具体的にイメージしてみましょう。



社会人のための「本当の自分」づくり (講談社+α新書)

社会人のための「本当の自分」づくり (講談社+α新書)

  • 作者: 榎本 博明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/12/21
  • メディア: 新書



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