SSブログ

『フォークの先、希望の後』 [☆☆]

・魚類の飼育法は日進月歩、知識の更新は必要なスキルだ。

・深刻なDVをやらかす夫ほど外面がいいものだと相場が決まっている。

・他人が余計な差し出口を挟まなければ、地球は今よりもっと速く回るでしょう。

・イヌやネコなら人間に危害を加えるようなことがあれば、鉄拳制裁をしてでも躾が必要だ。

・向上心があるとは。理解できないものを理解しようとする心。その姿勢は貴い。

・金魚すくいの金魚を殺したことのないアクアリストはまずいない。魚は死ぬものだ。鳥類や哺乳類よりずっと簡単に。この道を選ぶのは「次はうまくやろう」と思った者だけだ。

・自分で青虫を潰せない奴が有機栽培がどうのと言うのはおこがましい。

・古代魚を飼うからには進化の歴史に思いを馳せるくらいのロマンチシズムはあった方がいい。

・晩ご飯の献立とか、今月の光熱費とか。人間の大脳は、そんなことを考えるためにあるのではない。

・日本のテレビドラマのシナリオのテンションは、平均的な日本人のそれより随分高くできている。「察しと思いやり」が美徳とされる平均的日本人は沈黙しがちで、遠慮がちで、鬱屈しがちで、ストーリーテリングには不向きだ。

・嘘のつき方を学べ。どんな嘘が他人を泣かせるのか学習しろ。図鑑の挿絵じゃない、額に入れてほしかったら嘘をつけ。

・ATMのように一定の手続きを踏めば自動的に金を吐き出す機械だと思って、割り切ってつき合えばいいのです。自分と同じ、感情を持った人間だなどと思わなければいい。

・語られないのは、当たり前だから。知っていて当然だから。

・物理学や地理学に関しては研究が進んでいるが、生物学の分野では世界は三分の一程度しか明らかになっていない。

・人間が観測しないものは、この世に存在しない。誰かが見つけて初めて存在する。ある意味で我々の商売も同じ、届けや証拠のない事件は誰が訴えたところで存在しない。

・『薮の中』や『女か虎か』のような「解決編のないミステリ」は純文学です。

・目には目を、の繰り返しではいずれ世界の全てが盲目になる。

・金属でない脆い物質でできた弾丸で人を殺そうとするのは、不能犯です。殺人の意図があってもその方法が現実的でない場合、罪にはならないのです。毒だと思い込んで無害な物質を摂取させるのも、不能犯で無罪です。

・サボテンの棘は葉が変化したもので、乾燥地帯で水分が蒸発してしまうのを防ぐ。あの棘は動物から身を守るためにはあまり役に立っていない。棘で怪我をするのは、馬鹿な人間だけ。

・シンクロニシティ。内在秩序。偶然に勝手に意味づけしすぎると、どうなるか。──人はそこで神を創りあげてしまう。

・あんな状態で生きてて、幸せなの? 十何年も眠り続けた挙げ句結局治りもせずご臨終、じゃお互い浮かばれないよ。それこそ誰も幸せになれないじゃない。

・小鳥は口を開けているものを見ると、それが錦鯉でも思わず餌をやってしまうという話もありますね。本能というのは形式なんです、形式が整っていれば内実がどうであれ身体が動いてしまうんです。日本人は形から入ると言いますけど、それって動物並みってことです。

・正しくてまともな人の期待に応えられない、ダメな自分に耐えられない。

・何が正しくて何が間違っているかなんて、大抵の人は最初からわかってるんだよ。──わかってるとこにお前は間違ってるとか大声で言われたってさ、そんなもん放っとけバカ鈍感野郎って思わない?

・鬱って心の風邪とかいうけど、実際は脳内のセロトニンが不足して起きるんだ。説教じゃ治らない、説教じゃセロトニンは分泌されない。

・頭ごなしにお前は間違ってるちゃんとしろって言われたら、ああ間違ってるんだ、ダメ人間なんだ、生きてる価値ないんだ、もう死んじゃおう、ってなっちゃうんだよ。

・そもそも働かざる者食うべからずって戦中戦後の発想だから。働けない奴の世話を焼いてやるための政治で文明だろーが。文明国が働けなくなった年寄りを山に捨てに行ったり、孤児を臓器売買組織に売ったり、伝染病の患者を閉じ込めてまとめて焼き殺したりする?

・優しいだけじゃ誰も救えない。皆がハッピーになるには現実的にこすっからい計算をする奴もいなきゃね。

・一言「つらい」と言えば、皆手を差し伸べてくれるつもりでいたのに。正義も誠意も自分の周りに溢れていたのに。

・余命がいくばくもなかったから美談なのであって、これが今も元気で生きていたら変態だ。

・これ死んでも治らないタイプのバカだから。あんまきつく叱っても泣くだけで絶対反省しないから。



フォークの先、希望の後 THANATOS (講談社ノベルス)

フォークの先、希望の後 THANATOS (講談社ノベルス)

  • 作者: 汀 こるもの
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/07
  • メディア: 新書



タグ:汀こるもの
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0