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『断る力』 [☆☆]

・単に頼まれたことを断わらずに唯々諾々と行うことは、自分の人生の進路を行き当たりばったり、他人に委ねてしまっていると言い換えることもできるのです。

・上司に注意されたのが、「指示を出したときに質問が少なすぎる」ということでした。当時の私の経験を知識からいって、疑問や質問がないわけがない。それをまったく聞き返さないということは、わかっていることとわかっていないことの区別すらついていないのではないか、という指摘です。

・「事実なんてない。あるのは認識だけだ」ということです。どちらが正しいか、間違っているかは問題ではないのです。問題は、互いの認識が異なっているということ、それによって上手な意思疎通ができていないということなのです。

・自分が正しければ、いつかは周りが認めてくれる。こういった思い込みは大ウソだと思っています。なぜなら、「相手が読心術を持つエスパーではない限り、あなたが言葉を使って言わなければ絶対分からない」からです。

・「子供サッカー」であ、Jリーグのような戦略を持ったプロのサッカーとは違い、チームワークもなにもなく、とにかく、ひたすら一つのボールをみんなで追いかけています。日本では多くの潜在的には優秀な人たちが、社会や職場でひたすら「子供サッカー」を繰り広げているように思われてならないのです。

・相対的優位性として、日本は同調思考を重んじることが優先されるがあまり、逆に同調思考を追求すること自体が相対的な優位性にならないほか、特に海外との競争において、自己主張の弱さ、断わらないことによる弊害が目立ってしまいます。

・私たちは人の悪口は言わないよう、躾られてきました。だからこそ、逆に悪口・陰口を言う人は信用されません。

・実験としては、多数派がおおむね少数派の3倍以上になると、同調傾向が強まるとしています。

・多様性(ダイバーシティ)の研究においても、男女の比率が3対1以上の職場は急速に生産性がよくなることが知られています。これは、多数派の同調傾向が弱まり、「空気」で偏った意見形成が牽制されるからと考えられています。

・残念ながらDVやモラハラを行う人間は高圧的であり、それがかえって立派に見えたり、周りを搾取することでハイ・パフォーマンスを得たりしているので、世間の評価が高くて始末に負えなかったりするのです。

・人が人を嫌う理由は、この8つのうち、1つまたはそれ以上の「嫌い」の原因が絡み合っていく。
(1)相手が自分の期待に応えてくれないこと。
(2)相手が自分に危害を加えるおそれがある。
(3)相手に対する嫉妬。
(4)相手に対する軽蔑。
(5)相手が自分を軽蔑しているという感じがすること。
(6)相手が自分を嫌っているという感じがすること。
(7)相手に対する絶対的無関心。
(8)相手に対する生理的・観念的な拒絶反応。

・だいたい、10人とはじめてあったときに、2人くらいに嫌われたとしたら、それはもう相性の問題と割り切ることが出来ます。それが、5人とか7人とかになりますと、自分に非があると考えるべきでしょう。

・ネットの掲示板は一般的に、見ているだけの人=85パーセント、悪意を持った人=5パーセント、サポーター=2パーセント、愉快犯=8パーセントがいるとき、悪意による増殖が最も活発になる。すなわち、わずか5パーセントの人が悪意を持っただけで、ものすごく活発な批判掲示板が出来てしまう。これはクチコミも同じです。

・私たちが相手からどのように対応して欲しいか、取り扱ってほしいかは、私たちの言動が相手に教えている。例えば、私たちがおどおどと自信なげに、しかも相手に媚びると、自然と相手は私たちよりも上位に位置づけられ、上下関係になってしまいます。そのため、上意下達で命令する、ということはあっても、対等なパートナーとしてみなされなくなってしまう。

・攻撃する人たしは、攻撃することで相手が反応し、自分の立場まで下りてきてくれたり、それによって生産性が阻害され、あるいは自分という人格を認めてくれることでカタルシスを得るためです。しかし、その存在自体を無視されてしまうと、自分の行為に対して何も、得られるものがないため、エネルギーが続かないので、次の攻撃目標にスイッチするのです。

・反論というのはリスクを伴うことですので、リターンがない限り、行ってはいけないのです。

・果たし状とはすなわち、宮本武蔵に果たし状を渡して決闘を申し込むようなイメージです。そして、相手が無視した場合には「逃げた」と言いふらすことができますし、仮に相手が対応してくれれば、「相手はオレを恐れて対抗してきた」と言い立てることができます。いずれにしても、「果たし状」を送り付けることは、自分の名を上げる行為となり、本人にとってプラスになり得るのです。

・手帳が役立つのも、ブログでいろいろなエントリーを書き込むことが役立つのも、自分同士で会話をする役割を果たすからでしょう。

・明らかに実力よりも天狗になっている人と話をすると、痛々しさを感じると共に、できればあまり関わり合いになりたくないと思ってしまいます。

・実力とは、本人の自己申告ではなく、過去の実績とか、実際に仕事として成し遂げてきたことで測るしか、第三者にはわからないわけです。

・売上情報はPOSを通じて把握することが出来ます。ところが、お客様が○○のスタイルがほしいとか、○○のサイズが欲しいと言ったときに、それがない場合には機械損失になってしまいます。それは、POSデータをいくら見てもわからない情報です。

・男性は普通であればそれなりに出世できる。女性は優秀でないと出世できない。

・日本で普通に暮らしていると、「何も考えずに、言われたことには唯々諾々と従う」という「クセ」が知らず知らずの間に(その多くは幼少期からの学校や家庭での教育によって)、身についてしまっているのです。

・ある意味、思考をサボることに長けていると言えば長けているのです。だからこそ、自分達の社会を作るときにも「市民」という考え方が非常に希薄で、社会の枠組みは政治家と官僚という「お上」が与えてくれたもので、それに対して、文句を言うというのが大きな構図であり、では文句を言うから対案を出すかというと、決して出さないというのも大きな特徴です。

・私たち日本人は、与えられた枠組みの中で最大の価値を出すという訓練は高いレベルで受けているのですが、与えられた枠組み自体を問い直す「クセ」が残念ながら、社会文化的な資産としてはついていないのです。

・相手に対して何かの交渉を行う際には、あなたの利害だけを考えるのではなく、青手の利害も考えるという「クセ」をつけることが重要になります。なぜなら、相手にも交渉の裁量権がある場合とない場合があるからです。



断る力 (文春新書)

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  • 作者: 勝間 和代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/02/19
  • メディア: 新書



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