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『ブレイクスルーの科学者たち』 [☆☆]

・仮に心臓病の人がいるとして、患者さんの皮膚の細胞からiPS細胞をつくって、それを心臓の細胞に分化させてやれば、どのような薬が効くか、あるいは副作用があるかがわかる。

・鍼や灸や東洋医学全般を前近代と決めつけ、科学の領域から締め出してきた。だが、もしかしたら、経絡が皮膚のラインとして科学的に説明される日がくるのではないか。

・皮膚の死は脳死に劣らず重要な問題ということだ。火傷や怪我で皮膚の三分の一を失うと生存が危うい。皮膚は単なる身体の表面ではない。われわれの生命維持にとって、かけがいのない存在なのだ。

・大きく、あるいは複雑なシステムになってくると、現場にある程度任せないと無理でしょう。いろんな決定が遅くなったり、あるいは間違いが起きた場合、それを補正するシステムが働かないから。ある程度、現場に権限を移譲しなければ組織は生き残れないというのは、いまの企業でも当たり前ですよね。

・人類の知性の起源がナイル川の氾濫周期の記憶と予測にあったとするならば、たしかに粘菌の記憶と予測は、生物の知性の起源の可能性がある。

・記憶こそが知性の始まりだ。

・欧米のキリスト教圏には、彼らが気づかない独自の「思考パターン」が存在する。それは、「知性=インテリジェンスは、人間だけが持っている」という根強い信仰だ。

・科学の画期的な進歩は、常に過去の常識を覆すところから始まる。

・愚かだったのは、嬉しくなってある学会で発表してしまったんですよ。特許をとる前に。で、いざ特許をとろうとしたら、特許庁から「あなた、学会で発表してるじゃないか」と指摘され、はねられた。

・いちばん危険な動物って人間ですからね、やっぱり。だって動物から殺される可能性は少ないけれど、人から殺される可能性は高い。

・近視と老眼は日本人の国民病だと思うが、あまりに数を多すぎて、健康保険も適用されない始末だ。

・現代人にとって大切な知識を学ぶためには、どうしても本を読まなくてはいけないから、近眼になるリスクは回避できない。だが、本を読まずに眼だけよくなっても現代社会を生きる上でメリットにはならない。

・ハエ、線虫、ラット、マウス、ミジンコ、酵母菌、サル、みんな70パーセントぐらいのカロリーにすると、長生きするとわかっちゃった。

・腹八分目ならぬ腹七分目が、長寿の秘訣。

・モーターは動き出すときの加速はいい。だが、走っている途中で加速しようとしても、エンジン車のようにはいかない。山道で快適に走ろうと思ったら、やはり、モーターではだめでエンジン車の方がいい。エンジンの回転さえ上げれば思うようにパワーが出る。

・BMWはどうして燃料電池をやらないか。その理由はお客さんが喜ばないというんですよ。燃料電池では、結局、スポーティーな走りができない。

・ガソリンタンクを水素タンクに換えるだけでは、新たな産業の広がりが生まれない。全世界で燃料電池というまったく新しい産業が興れば、経済が回る。だから、いますぐ実用可能な水素エンジンではなく、あえて燃料電池を国として応援する。

・科学技術が社会に入って実用化されるためには、「みんなが儲かる」という経済法則が大事なのだ。

・わずか0.1パーセントの海域だけ、湧昇流といって海洋深層水が湧き上がっている場所があるんですね。そのたった0.1パーセントの海域から、世界の魚の50パーセントが生産されているというんですよ。

・ノーベル賞は、実験的に検証されていない仮説には、決して出されない(だから、いくら有名でもホーキング博士はノーベル賞を受賞していないわけだ)。

・携帯電話の雑音や、アナログテレビの砂嵐にも宇宙マイクロ波背景放射は含まれる。われわれは、日常生活でも、百三十七億年前の宇宙の鼓動を見たり聞いたりしている。

・インターネットが「ネットワーク」になるためには、ユタ大学、スタンフォード研究所、カリフォルニア大学(二校)の四者間での通信網が必要だったのだ。三つ以上になって初めてネットワークが始まる。

・計算能力が高くても、その結果を記憶できるメモリがなければお話にならない。ここに量子コンピュータの実用化に向けてのネックが潜んでいる。

・バカなことをして死ぬというのは、やっぱり性的に活発な時代に多いんですよ。十八から二十歳、それぐらいまでのあいだ、バカなことをやって死ぬ映画っていっぱいあるでしょう。

・喋るということはまずは呼吸を制御することです。吐く息で喋るわけですから、吐く息のタイミングを制御しないと喋ることはまずできないですね。

・鳥やクジラや人間という「歌う」生き物の場合、呼吸を制御することができるが、サルや犬や猫などの「歌わない」生き物の場合、生きを止めることができない。

・他人の中に「心」を仮定して推し量る機能。そして、他人の行動を「鏡」のように映し出す機能。この二つが結びついたときに「自意識」が生まれるというのだ。



ブレイクスルーの科学者たち (PHP新書)

ブレイクスルーの科学者たち (PHP新書)

  • 作者: 竹内 薫
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/03/16
  • メディア: 新書



タグ:竹内薫
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