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『アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド、携帯端末戦争のゆくえ』 [☆☆]

・水源そのものを持っていなくても、蛇口を支配していれば、それは水源への影響力を持っていると考えてよいでしょう。

・クラウドサービスの提供において、ハードウェアなどというものは単なる汎用品であり、置換可能な消耗品である。

・CDを買ってきても、ハードディスクにその情報を取り込んでしまえば、CD自体の所有には意味を見いださずにすぐ売却してしまうのが当たり前の世代である。

・オンプレミス(on-premise:構内の)とは、平たく言えば今までのコンピュータ利用方法である。ハードウェアを買い込み、それを自社内に設置し、買ってきたOSとソフトをインストールして運用する。

・クラウドに100%依存したサービスにおいてネットワークの切断はサービスの切断を意味する。電力供給の形態が発電所モデルに移行しても、電池の需要が残っているように、供給が断たれたときにも単独で動き続けられる製品への依存と需要は根強いのである。

・従来通りのソフトが使えること、操作性も同じであることは、企業にとっては想像以上に重要なポイントである。「同じであること」は、ギーク(技術好きの愛好家)にはつまらなくても、企業にとっては歓迎すべきことなのだ。

・名称の「クローム」は、窓を意味するスラングだと言われている。窓からは雲が見えるのだろう。あるいは、パソコンにしろ、携帯電話にしろ、そうした端末はすべて窓としての機能しか持たず、ただ雲に従属するだけのものだ、との宣言かもしれない。

・「インターネットは無料である」という刷り込みは、ビジネスを行う上で予想以上の障壁である。利用者はインターネットのコンテンツに対価を払う習慣を持っていない。

・日本企業は製品を系化するのが苦手で、どちらかというと製品単体の価値を突き詰める傾向にある。系の全体価値を考えないと、ネットワークウォークマンの二の舞になる。

・スティーブ・ジョブズですら、「創造とは、既存のものをくっつけることだ」と述べている。

・日本企業が腐心するのは、ルールが与えられたときに、その枠内で最高を目指すことである。規制や境界条件の内側での競争だ。

・国内の企業は、ルールを作るのが苦手である。いや、むしろ嫌いなのではないかと思う。ルールという縛りがないと、思考がスタートしないのだ。

・協力どころか旧ルールからの攻撃を受けることさえある。その好例は、1類、2類医薬品の通信販売原則禁止だろう。薬局の対面販売がそんなにすばらしいものだとは誰も思っていないのに、従来のルールと違うからといって、新しい産業や生活のありようが規制される。

・旧ルールを墨守することは気持ちがいい。何かをきちんとなしている気分が味わえるし、面倒な「思考」からも逃れられる。だが、そうした態度でぬるま湯に浸かっている間に、世界は変わり、優秀な企業は失望の果てに日本を去る。



アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド、携帯端末戦争のゆくえ (光文社新書)

アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド、携帯端末戦争のゆくえ (光文社新書)

  • 作者: 岡嶋 裕史
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書



タグ:岡嶋裕史
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