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『しばられてみる生き方 軍隊式・超ストレスコントロール術』 [☆☆]

・不快感情は、命にかかわるので、快感情よりも優先される。結果として、私たちは快感情より不快感情を意識している時間が多い。

・私たち人間が使うエネルギーのうち5分の1は脳で消費されるという。しかし私たちは、筋肉疲労は敏感に感じても、脳が疲労したことはあまり感じない。脳のエネルギー消費を監視しているシステムが、十分に発達していないからだ。だから、実は精神活動によって、疲労を蓄積しているということに気がついていない人が多いのだ。

・自分の周りでは、何の危険も迫っていないのに、テレビでは連日、残虐な殺人事件が報道され、犯行現場や被害者の状況がリアルに伝えられる。これは、マスコミが発達していない時代なら、ごく近所にしか伝わらなかった内容だ。本当は、今日は穏やかな日だったのに、繰り返し流されるテレビの映像やコメンテーターの一言に感情が波立つ。当然それに伴って、感情が動き、私たちの貴重なエネルギーが消耗していく。

・日本人は、農耕民族。皆と一緒にこつこつ努力することで安心し、皆と同じ文化(服装、言葉)で安心する。だからいまでも流行に左右される。もともと日本人は、自由すぎる社会では力を発揮できない。

・人は、頭脳を使い、環境に働きかけることによってより良い生活を得てきた。原始人的には、特に大きな危機がなければ、将来の安全を保障するために(1)自分の能力を上げるか、(2)環境を改善しなければならないとプログラムされているのだ。

・人間関係が崩れるのも、無意識のうちに人間関係に緊張をもたらし、退屈を紛わせようとするためだ。

・全員が一定の基準に沿って動いているという確信がないと、同僚の動きばかりに気をとられ、自分の仕事に集中できない。結果的に、そんな軍隊は弱くなり、任務も達成できない。強い軍隊は、「同僚の行動が読める部隊」なのだ。

・人は、深刻な体験なら40回、そうでない体験でも400回も経験すれば、体が覚えて、自然に行動できるようになる。

・人は、「1回言えばわかるもの」と思っている。それは。理解しただけで行動を修正できるときだ。そういう行動も確かにある。しかし、癖になっている行動は、せめて40回、あるいは400回の刺激を与えてあげないと、変わらないのだ。

・ある動作が、考えなくてもできる。ストレス下でもできる。これが、軍隊が求めている「動作」であり「規律」なのだ。

・責任感がある人とは、通常「結果」を気にする人だ。結果にかかわると思うからこそ、ある仕事を一生懸命やり、結果にかかわる分析や決断については、自分が正しいと思うことを強く主張する。

・階級は、意見が分かれたら、誰の意見を最終的に採用するかを示す順番である。

・日本やアメリカのような民主主義の社会で育った若者は、自分が行動することに「意味」を与えてもらっている。逆に言えば、理由がなければなかなか行動に移せないのだ。

・軍隊組織での生活の中で、知らず知らずのうちに私が身に着けていたのは、フォロアーシップなのだ。理不尽さに対するある種の鈍感さを学んでいたと言えるだろう。

・組織は、リーダーシップだけではうまくいかないのだ。従うということが上手にできないと、組織力は低下する。

・たとえ、個人的には決まったことが愚案に思えても、いったん命令が出たらその愚案を実行するために、持ち場、持ち場で最大限の努力する必要がある。それが、「勝てる組織」の条件であり、組織人として有能かどうかの分かれ目になる。

・自衛隊では、命令をするときの項目や手順を大まかに決めている。(1)これから私たちは何のために、(2)何をやる、(3)君の仕事はこれ(他の人の仕事はこれ)、(4)いつまでにやれ、(5)使えるのはこれ、という5項目だ。

・入学式や卒業式、成人式なども単純なイベントと化し、単なる楽しみのほうを追求しているように思える。本来、儀式は荘厳な雰囲気で、堅苦しく行うべきなのだ。楽しみのためにあるのではなく、非日常的空間を使い、無意識に「特別なことだ」ということを伝えるためにある。

・自衛隊は、歴史上例を見ないほど、「実戦を戦っていない」軍隊である。隊員を半世紀以上、準備だけさせている組織だ。

・軍隊組織で教えている目標のポイントは、3つである。(1)意味があること。(2)具体的であること。(3)達成可能であること。

・人は、意味なしに行動することはない。あなたが何か行動する時、無意識のうちにその行動に何らかの意味を与えてしまう。そしてもしその行動に意味がなくなると、ストレスが溜まる。そんな動物なのだ。

・大砲の性能は、最大発射速度と持続発射速度という2つの数値で表す。最大発射速度とは精一杯続けて射撃できるスピードだ。弾を入れ、射撃する動作だけで決まる。しかし、このスピードで続けていると、大砲の筒が熱を持ち、すぐに壊れてしまう。そこで、戦場で任務を続行しながら持続的に射撃できる速度も表示されているのだ。射撃の間隔をあけ、冷やしながら、長い時間撃ち続けられるスピード。それが持続発射速度だ。

・まずは、体力をつける。原始人的には、体力がいちばんの武器。信じられないかもしれないが、体力がついてきたという実感は、自信にいちばん直結している。

・「人のためになること」は、何もボランティアである必要はない。ほとんどすべての職業は、何らかの形で人のためになっている。

・自信とは、「今の自分の行動パターンで、将来もやっていける」という認識である。考えて出てくるものではない。行動し、自分で感じ、人から与えられるものだ。

・体力をつけ、一つ一つの技術を伸ばし、誰かのために働く。それが人として一人前になる手順、つまり自信を得る手順だ。

・うつ状態の人にとって、無理やりことを進められるのは、逆に大きなストレスとなることが多い。例えば、精神科の受診を強要したりすると、かろうじて持ちこたえている本人のバランスを、(助けようとする行為で)脅かしてしまう場合が多いのだ。

・すべての隊員が、未確定でもいいから「先」を知りたがっていた。先を知れば、エネルギーの配分をすることができ、不安が減るのだ。

・企図の明示。指揮官は、自分がやろうとしていることを、口に出さなければならない。

・教えたいことは、一度にたくさん提示しない、ひとつに絞り、それを明示する。これが、何かを訓練するときの軍隊式のコツだ。

・子供たちはお母さんの言うことが「違う」と思うから反抗するのではなく、お母さんたちにいろんなことを何回も何回も言われるから、責められるような、惨めな気持ちになり、反抗することが多いのだ。それはまるで赤ちゃんにご飯をあげるとき、まだ口の中に残っているのに次のスプーンを押し込むようなものだ。与えるのは、ひとつずつ。相手が飲み込めるスピードを考える。

・複数のストレス解消法をもっておくことを勧めている。一人でやれるもの、複数の人でやるもの。静かな趣味、動的な趣味。この2つの視点で合計4つ以上の気分転換法を持っていると、さまざまな環境の変化にもある程度対応できる。



しばられてみる生き方――軍隊式・超ストレスコントロール術 (講談社プラスアルファ新書)

しばられてみる生き方――軍隊式・超ストレスコントロール術 (講談社プラスアルファ新書)

  • 作者: 下園 壮太
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/10/21
  • メディア: 新書



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