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『会社の電気はいちいち消すな コスト削減100の秘策』 [☆☆]

・社員の給料は固定費として存在するために、社員の作業を多少減らしたからといって、その分の費用が消えるということはありえない。

・外注化により利益を向上できるのは、人件費という固定費を変動費化できる──暇になった社員をすぐにクビにすることができる企業だ、という「不都合な真実」が、そこにはある。

・自分の工夫だけで何かが好転していると感じられるのは、生きがいにもなる。

・日本郵便がトヨタのカイゼンを取り入れたにもかかわらず、あまり芳しい成果をあげることはできなかったと言われている。トヨタのカイゼンが無数の取引先から集めてきた部品をいかに1台のクルマに「集約」するかということに主眼を置いているのに対して、日本郵便のそれは集約した配送物を、いかに各地に「拡散」させるかというものであったため、方向性が真逆だったため。

・「儲かる」という言葉には、決算上で利益が出ている、という意味と、実際の手許現金が増えている、という二つの意味がある。

・日本の中小企業の多くは赤字経営となっている。それは、経営環境が厳しさを増しているのに加え、節税のためだ。

・決算上の黒字に安堵したり、赤字に対して必要以上に意気消沈したりするのは尚早だ。必要なのは、毎年その事業にいくらかかっているかを知り、それをコツコツと削減していくことだ。

・粗利とは、粗利益とも売上総利益とも呼ばれる、売上高から売上原価を引いた金額のことだ。さらにそこから各種費用を引くと営業利益・経常利益が求められる。

・粗利は次の式で簡易的に表現できる。粗利=販売価格-(固定費+変動費)

・節約・コスト削減は確かに利益向上に寄与するが、それは売価の固定化や、原価率の低減のみを最終目標とするものではない。むしろ、節約・コスト削減によって、薄利多売にも堪えうるフレキシブルなビジネスモデルに成長する、という観点でとらえるべきものなのだ。

・マクドナルドは、かつて130円だったハンバーガーを65円で売り出したことがあった。これは、宣伝目的の赤字覚悟のキャンペーンととらえるべきものではなく、「薄利多売による固定費の回収方法の変更」と、「薄利多売を利用した利益向上手法の展開」ととらえるべきものだった。

・ミリオネアを目指すなかで、ネズミ講の魔力に引き込まれてしまった男性は、今でも1日50件以上の電話をかけては、友人を減らし続けるという「努力」を重ねている。

・アメリカ右派がその国旗を眺めながらナショナリズムを確認したとき、その国旗の製造元は中国だった。ナショナリズムの象徴である国旗が中国製だったことは示唆的だ。

・これまでの時代がアウトプットを前提としているのに対して、エコロジーではインプットに注目する。まず、無駄なものを購入しないこと。購入するにしても、安価で環境負荷の低いものを買うこと。そして、買ったものは徹底的に使い切ること。

・RoHS指令とは、鉛・カドミウム・6価クロム・水銀等の物質を含有する電子・電気機器類の販売を禁止するものだ。

・RoHS指令のような、EUが打ち出している一連の施策は、保護貿易主義の表れという側面もあるものの、基本的には生産から廃棄・焼却までのプロセスにおいて、環境負荷の低減を求めるものであり、今後もこのトレンドは止まらないだろう。

・そこには、同じ釜のメシを食い、一緒に成長していくという「プロレタリア思想」が生きている。

・会社員の欠点は、自分にまつわる費用がいったいどれくらいかかっているかに無頓着なことだ。

・お金とはそもそもエントロピー的に拡散してしまう傾向にあるものだ。拡散を止め、節約するのは、人間が不得手としていることなので、そこには強制力が必要だ。

・接待によって仕事を決める企業は古い体質であると考えたほうが良い。

・新車は買った瞬間に3割ほど資産価値が目減りする。メンテナンスを考えても中古車のほうがトータルで有利。

・アメリカではこれまで社員が集まっていたオフィスという物理的な空間の固定費すらも軽減させ、テレコミュータ(在宅勤務者)が増加している。

・これまでの交渉業務は、仕入れ担当者が属人的に行っていた。交渉とは、相手への揺さぶりなどの職人技的なものが必要だと思われていたからだ。それに対して、電子入札では、そのような職人技は一切必要ない。仕入れ担当者は単に画面を見ているだけ。表示される結果を待つだけだ。

・収入(=売上)が良くても、出費(=費用)ばかりが重なれば、どんな人でも行き詰まる。どの時代でも、最後に微笑を浮かべるのは、堅実な支出を心がける人たちなのである。

・最終製品の需要落ち込みに伴い労働力が余るなか、外部に委託していた業務をできるだけ国内・自社に取り込み、売上から固定費の回収を進めようとする動きはもっと注目されるべきだ。

・太ったアメリカ人たちが早朝からホテルのトレーニング・ルームで走る音だった。朝から走るくらいなら、食事を制限すれば良い。しかし、彼らは走ることで少しでも体重を抑えることを選び、大食という病弊に罹患したまま、それを治癒しようとしない。

・成功本やダイエット本を読んでも、多くの読者がその試みに失敗するのは、(1)具体論が書かれず、抽象的な議論に終始していること (2)「何が成功か」という定義がなされていないこと (3)「努力すること」を前提にしていること という三つの理由のためだ。

・現代では、「これが良いことだ」「これが正しいことだ」という議論は説得・鼓舞手法としては成り立たない。成り立つのは、「こうやったら愉しい」「こうやったら得する」ということだけだ。

・人は、愉しいこと、自分の利益になることしか進んでやろうとしない。

・人は、ルールやシステムがないと、高い倫理観を持ち続けられない。

・人は、強制的にやらされることしか達成できない。

・多くの成功者が「紙に夢を書けば、それは実現する」といい、私自身も似た経験があるのは、「紙に書かれた夢=提示された情報」と「現実」を、頭が混同してしまうからだ。

・催眠術師はどうして、被術者の状況を言葉にするところから始めるのか。「あなたは今、お尻に椅子の硬さが伝わっていますね」と、まず被術者の体の実際と情報=言葉を合致させておき、「だんだん眠くなってきます」と、徐々に情報側をずらしていくのは、一度合致したはずの情報に対して、頭が勝手に体のほうを合わせようとするからだ。




会社の電気はいちいち消すな (光文社新書)

会社の電気はいちいち消すな (光文社新書)

  • 作者: 坂口孝則
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/03/17
  • メディア: 新書



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