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『書物輪舞』 [☆☆]

・実は、都合の悪いものを破棄し、表向きは書類の山のなかにまぎれてしまったと称しているにすぎない。真に重要なものが、どこかに消えてしまうことはあり得ないのだ。

・情報将校のたしなみとして、仮想敵国の言語は、徹底的に叩き込まれている。ロシア語、さらに中国語も必須となっていた。

・多大な犠牲を払って、ドイツ・ファシズムと日本帝国主義を打倒し、世界に平和を回復した、偉大な国ソ連。自分たちは、その後継者であり、特別に尊重される権利を持つ──たとえば、日本をはじめとする周辺諸国との領土紛争においても──というのが、彼らの主張だ。

・二十世紀中頃に埋められた遺体の多くが腐敗していないことが判明しました。食品事情が影響していました。食品添加物、とくに防腐剤の入ったものを生前摂っていた方の遺体は、これらの作用で腐らなかったのです。

・彼らの通報や密告のほとんどは、結局のところ、外科医や食肉業者など、それらしい人物を当てずっぽうに名指ししているにすぎないもので、何の役にも立たず、捜査はいっこうに進まなかった。

・あやしげなジャーナリストや小説家が、勝手な説を唱えだすようになってから、おかしな容疑者が続出する。

・どこの国でもそうですが、真に危険な文書は、百年や二百年ぐらいでは日の目を見ないものです。

・当局が耐火性に乏しい木造家屋の建築を禁止し、石やレンガ、鉄を用いたビルを推奨したことによって、シカゴはいち早く近代都市に脱皮したのだった。

・オカルトの語源は、ラテン語の「隠されたもの」。本来、高貴な方だけに伝えられる知識ですのに、誰もかれもが俗な趣味から知りたがる。

・何の値打ちもない品であっても、それらしい、いわく因縁をつけて世間に流せば、好事家たちは色めきたつ。

・その不満が飽和状態にまで高まり、ついには精神の傾斜をもたらした。



書物輪舞 (講談社ノベルス)

書物輪舞 (講談社ノベルス)

  • 作者: 赤城 毅
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/11/08
  • メディア: 新書



タグ:赤城毅
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