SSブログ

『狼と香辛料12』 [☆☆]

・強さには二つある。守りたいものがあるゆえの強さ。もう一つは、失うものがなにもないゆえの強さ。

・結果がどうであろうと、その場に参加したというのはそれだけで一つの言い訳になる。そしてそれは慰めにもなる。もしかしたら、うまくいったかどうかよりも、重要なことかもしれぬ。

・その流れに乗るだけで意味があると考えれば、負けた時に苦しまなくてすむ。

・突拍子もないような質問をして、その答えから相手の力量を測る。

・時として、確証のない雑感のほうが有益な場合がある。商いにおいて有益な情報とは、実はその内容によって決まるわけではない。誰も知らないこと、それこそが最も重要であり、誰も知らない情報はいつだって確証などのない雑感からもたらされるものなのだ。

・景気の良い町は酔っ払っているのと変わらない。とんでもないものが売れることがある。

・知ればさらに知りたくなり、詳しくなれば手を出したくなるだろう。

・最初からないだろうと思っていれば失望はそれほどでもない。応えるのは、あるかもしれない、と希望を持ってしまった時のほう。

・全てから逃げた者、武器を持たず逃げるしかなかった者は、当初は臆病者のそしりを受けたかもしれない。しかし、今の世に深く根を張っているのは、そんな臆病者たちなのだ。

・後悔だって、時間を巻き戻したいという足掻きのためにするのと、次に同じ状況になった時にうまくやるためにするのとでは、まったく意味合いが異なってくる。

・時間は巻き戻らないし、なにが正しい選択かなど決してわからない。ならば、せめて今を楽しみ、大事にすることだ。

・無表情に、本当に気難しくて頑固なだけの相手ならば、御するのは意外に簡単なのだ。本当に難しいのは、笑顔を上手に使い分けられる相手である。

・言い訳から口にする愚だけは避けることにした。

・威勢のいい啖呵、と聞こえなくもない。頼れる仲間がいて、諌めたり、軌道を修正したりといったことは周りがやってくれる、という信頼があってこそのものだろう。

・需要が多ければ供給側に多く貢がなくてはならないのは当然の理。

・確認できない嘘は真実と変わりません。

・諍いの原因は、互いのことを知らないことからくる疑心暗鬼がそのほとんどだ。

・人は臆病じゃが、臆病こそが色々な化け物を生む。

・身分が高ければ高いほど食事には時間をかけるもので、身分が低ければその逆になる。

・言い伝えや伝説の類は本当に星の数ほどある。人の記憶に残り、その心を捉えるのは、その中でもなにかしらの魅力や理由を持つ、特別なものだけだ。

・長いものには巻かれろ。生き延びるためには決して間違った発想ではない。ただ、時としてそんな行為が節操なく、卑怯に見えるだけだ。

・大きな力は、池の中の大きな魚と同じ。動けば水が揺らぎ、土が舞い上がる。そして、世の中は一つの大きな池なのだ。

・心が広いのではなく、死人のように鈍感だったというわけじゃな。

・本当に相手のためだけにしてやれることなんて、絶対にない。突き詰めればそれは必ず自分のため、という結論に落ち着くことになる。

・死者を手厚く葬るのが自分の死後もそうしてもらいたいと望むことの表れ。

・危険を恐れていては手に入らない。しかし、危険を冒し続けていればいつかはひどい目に遭うのだ。

・村では多くの仕事が共同作業だ。誰がどれだけやったかではなく、全ての仕事が終わるか終わらないか。それを息苦しいと感じて町に飛び出す者もいれば、仲間がいて気楽だし楽しいと感じる者まで様々だ。

・金というものは、積み上げていくと単純に量が増えるだけではない。ある瞬間から、その質が変わる。物が買える値段から、人の心を買える値段になり、やがて人の運命をも買えるようになっていく。

・及び腰であるのが明々白々。強気な言葉は強気な態度で言ってこそのもの。

・小心な男が怒りで顔を赤くする時、必ずと言っていいほど心の底の恐怖に火がついている。



狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

  • 作者: 支倉 凍砂
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2009/08/10
  • メディア: 文庫



タグ:支倉凍砂
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0