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『やりとげる力』 [☆☆]

・ぐずぐずした態度が致命的なのは、習慣化するからだ。一度何かを先延ばしにしたら、それが死ぬまで続くかもしれない。

・よくこう言われた。新しい病気を創り出せ。何か新しい病気を生み出せ。そうすれば、治療法が売り物になる。注意欠陥障害、季節性情動障害、社会不安障害。これらはいずれも病気ではない。マーケティング戦略だ。いずれも医師が発見したわけではなく、コピーライターによって考え出された言葉だ。

・医師たちの見解によれば、取り扱う症例の70~80パーセントが身体的健康状態とは無関係であるという。本当に病気の人はそう多くない。自己憐憫に陥っている人が多すぎるのだ。

・われわれは生まれた瞬間から、広告や映画、ゲーム、雑誌、テレビなどの影響を受けて催眠状態にあるが、創作活動をすることで一方的に刷り込まれたプログラムに打ち克つことができる。

・低俗な企業が作り出す実用品に可処分所得をつぎ込むだけでは、不安を解消できないことに気づかなければならない。

・原理主義者(より正確に言うなら、原理主義という考え方を嬉々として受け容れる悩み多き人)は、自由であることが我慢できない。未来へ続く道が見つからないから、過去へと立ち戻る。自分が属する人種が謳歌した過去の栄光を想像し、自分自身と同胞のために、より純粋でより高潔な光を取り戻そうとする。そして基本に立ち帰る。原理に戻って考えるのだ。

・罪への誘惑と戦うため、原理主義者は行動か聖典を読みふけるかのどちらかに夢中になる。

・自ら人生で自己実現している人は、他人を批判しない。何か言葉をかけるとすれば、励ましの言葉くらいだろう。

・みんなが知っているマドンナは、マドンナ自身ではない。マドンナは、みんなが知っているイメージを仕事に使うだけだ。

・進化の過程において、人間には拒否を敏感に感じ取る能力が組み込まれてきた。だからこそ、帰属する集団が排除をちらつかせて服従を迫ってくると弱い。

・われわれが有するのは労働する権利であって、労働の結果もたらされるものへの権利ではない。

・批評家という人種は、自分にガッツがあればなし得ていたはずのことを最も忌み嫌うものなのだ。

・プロはエージェントや弁護士、そして会計士を雇い入れる。プロとしてこなせることはひとつだとわかっているからだ。他の分野はその道のプロに任せ、敬意を持って接する。

・古代ギリシャでは、神秘の概念が擬人化されていた。古代ギリシャ人は、森羅万象に宿る原始的な神秘の力を感じ取っていたのだ。こうした力をとらえやすいものとするため、人間の顔を当てはめ、ゼウス、アポロン、アフロディーテと名付けた。

・時間と空間は、物質世界よりも高い次元にある世界の存在が形を変えて現れたものである。

・可能性としてだけ存在していた「交響曲第5番」は、誰かを必要としていた。物質世界において、可能性を形にする能力を有した、肉体を持って存在する人間であるアーティストを求めていたのだ。

・ベートーベンは、女神のハミングを形にした。こうして「交響曲第5番」は「時の産物」となり、「永遠」が「喜ぶ」ものができあがった。

・何かを始めるとき。スタートを切るとき。何かの企てを思いついて、恐れの気持ちを克服したときに、素晴らしいことが起きる。自分を覆う殻に、ひびが入る。ひよこが卵の殻を内側からつつき、ひびが入るときとまったく同じだ。

・多くの人々が序列を基準に自分の存在を定義しているが、そのことに気付いてさえいない。

・圧倒的な多数の中に身を置くとき、人間は打ちのめされ、名もなき者とならざるを得ない。圧倒的な質量に呑み込まれ、自分を見失ってしまう。

・三流の物書きが書く文章は序列的だ。他人の目から見て成功すると思えるものを書く。

・世論調査の結果を基にマニフェストを作る政治家のようなものだ。煽動者にすぎない。人に迎合するのだ。



やりとげる力

やりとげる力

  • 作者: スティーヴン プレスフィールド
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本



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