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『ホーダー 捨てられない・片づけられない病』 [☆☆]

・ホーディングについての最新の研究から、人口の2から5パーセントの人がこの問題を抱えていることがわかった。

・慢性的なホーダーたちは、完璧主義的な傾向がきわめて強く、決断力に欠け、決断するための情報を素早く取り込むことができずに問題を起こしていた。

・部屋にモノが散乱したり、過剰な買い物をしたり、モノを捨てられないという問題を抱えるのは、ギャンブル癖が深刻な人々の方が、ギャンブルと無縁の人々よりもはるかに多いことがわかったのである。

・たしかに、人づきあいが極端に苦手な人にとっては、自分の所有物は安定した居心地の良い仲間かもしれない。

・アイリーンが物事が決められないのは、ある行動によって起こりうる状況が洪水のように押し寄せ、頭がいっぱいになってしまうからのようだ。

・ホーダーとそうでない人の違いは、彼らが「使い道がある」と考えるモノの数とその種類の多さなのだ。たとえば、ある年配のホーダーは、缶やビンのラベルを文房具として使おうと溜めこんでいた。

・興味深いことに、子供は「ぼくの」を「きみの」よりも早く使うようになるようで、それは2歳から2歳半くらいのことだ。「きみの」が使えるようになるのは、相手がすでに何かを持っているのだから「ぼくの」持ち物を脅かしてはならないと、確認するための場合が多い。

・面白いことに、アイリーンが実際にものを読む時間はとても短い。それなのに新聞や雑誌を買うのは、それらを読むという考えや自分が何かを読んでいるというイメージを得るためなのだ。

・ギリシア語で「売り出し」を意味する言葉「オニオス」に由来するオニオマニアは、悪い結果が予測できるのにもかかわらず、病理的で制御不能な衝動に駆られて買い物をしてしまう障害である。

・恐怖は、脅威の信号を受け取ったときに感じるものだと広く考えられているが、実際には、安全の信号がなかったり、取り除かれたりしたときにも、恐怖を感じるのである。

・トラウマとなった事件や心の中の出来事について考えないことは、不安、うつ、そしてPTSDのサイクルの一部となるのである。

・たいていの人は、定期的に使うものを取っておき、それ以外は捨てる。モノから喜びを得るのはそれらを使うことによってであり、モノの価値はそこで決まる。一方アイリーンは、使わないものを取っておくのだ。彼女が喜びを見出すのはそれらの使い道ではなく、それらの「可能性」である。

・動物ホーダーは自分が集める動物と強い愛着で結ばれる。その一方で、動物たちの健康や劣悪な環境には気づかないことが多い。

・どの住宅地にも「猫おばさん」が一人はいるが、この種のホーディングに対する理解はほとんどない。

・もともと社会から引きこもりがちで孤立していたことが多く、自身の生活が圧迫されても支援を求める方法がわからない。

・注目されることで自分が重要な人物になったような気がした。実際、彼は人が、とくに自分に関心を持ってくれる人が好きだった。

・すぐに使わないのなら、買ったり取っておいたりしてはダメ。

・社会不安性障害の人は、恥をかくことを避けるために、大勢の中で話をしないようにする。こうした回避行動を起こすのは、恐れ、悲しみ、罪悪感といった不快な感情に陥るのを防ぐためだ。しかし残念なことに、否定的な感情から解放されるのは一時的でしかなく、回避することで、そうした感情に効果的に対処する方法を学習する機会が得られない。

・買い物そのものが回避行動になることもある。なぜなら、あるモノへの思いや買うまいとすることによる強い苦しみが、それを手に入れることによって解放される(あるいは避けられる)からだ。

・家にあるモノの強制撤去は、ニューヨークでは重要なビジネスであり、こうしたサービスを提供する会社は大きな利益を上げている。広い家のモノを撤去するコストは、最高で5万ドルにもなるのだ。

・老年学は高齢化とそれに伴う問題を研究する分野だ。そこでは、ガラクタを集めることが「シロゴマニア(Syllogomania)」と呼ばれている(syllogeはギリシア語で「集めること」の意)。

・シロゴマニアは、高齢者のセルフネグレクト(自己放任)や、自分の世話をしなかったり、極端に不衛生な環境で暮らしていたりする場合の指標として広く使われている。

・自分の人生をコントロールできないことを認めるよりも、自分には罪はないと宣言してしまう方が易しいのだろう。

・一家に二人以上のホーダーがいる家族とホーダーがいない家族で比べると、第14染色体のある領域の遺伝子パターンが異なっていることがわかった。第14染色体上の遺伝子は、免疫システムの反応を確立するために重要であり、アルツハイマー病の早期発病にかかわるとされる。

・ホーダーに共通する興味深い特徴は、電話での話し方だ。彼らは決まって、長くてとりとめのない、的外れの細かな描写で支離滅裂になったメッセージを残す。

・エイミーは重要でないモノを集めますが、彼女にとって本当に大切なものは持っていないのです。

・ジェームズは驚くほど多くのモノを擬人化するのだ。ある日、私道に果物ジュースをこぼしたジェームズは泣きだした。熱いコンクリートの上でやけどしてしまうから、というのがその理由だった。

・ホーディングの事例は世界中で見られ、それへの言及も古くは14世紀に遡ることができる。

・ホーディングがこれほど広く見られるのは、現代の欧米化された社会なのである。おそらく、安く簡単に手に入るモノが豊富になったことが、この10年来最大の無秩序を生みだしたのだろう。

・私たちは自宅にモノを所有するが、同時にモノに所有されるということだ。モノを持つことは、手に入れること、使うこと、世話をすること、保管すること、そして捨てることへの責任を伴うのである。

・今から40年前には、使われていない個人所有のモノを保管するための設備などほとんど存在しなかった。ところが今では、4万5000か所の施設で、185平方キロメートル近くの空間が倉庫として貸し出されており、その空間のほとんどはすでに満杯なのだ!

・商業主義によって動かされる文化では、「持つ」傾向が育まれる運命であり、結果として空っぽで満たされない社会が生まれる。一方、「在る」傾向の人は所有することよりも経験を重んじ、この人は他の人々と物事を共有したり協調して行ったりすることから人生の意味を見出す。

・何を所有しているかが私を決めるのであれば、もし所有物をなくしたら私はいったい誰になるのか?



ホーダー 捨てられない・片づけられない病

ホーダー 捨てられない・片づけられない病

  • 作者: ランディ・O・フロスト
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2012/01/30
  • メディア: 単行本



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