SSブログ

『ダイナミックフィギュア』 [☆☆]

・それが平和につながるにせよ、戦争につながるにせよ、結果を早く手に入れることができる。歴史を早く築いてゆくことは可能だ。

・女性は決して戦争をしないが、女性のいない世界では男性も戦争をしない。

・この事実が報道に渡っていないのか、県民は無知であることによってパニックを免れている。

・排他的な人当たりは階級にかかわらず平等だった。

・外交とは視点の置き方次第で立場が逆転するものだ。

・薄汚れた道を歩むなら、いつでも命と引き替えにする覚悟を持っとけ。

・悪事を働く人間ていうのは、常に罪と罰の重さを秤にかけて安易な気持ちでいるのさ。まさか命までは取られないだろうってな。

・職務意識の低い人間と関わると不幸です。

・温かな羅と書いて温羅(うら)という言葉がある。桃太郎伝説にもなった鬼をさす言葉だよ。

・ワン・サードとは英語で三分の一のことでもある。

・ほとんどの新聞には似たような見出しが踊っている。報道が統制されているわけでもないのに見事なものだ。

・そもそも生命体とは、形而下の一状態を表したそれこそ概念でしかないのだ。人類が定義したのであって宇宙共通ではない。

・知能を持った生命体が目指すべき究極的なテクノロジーとは何だと思うかね。減衰率ゼロのエネルギー交換だよ。

・彼女は行動に移る前にまずは頭を働かせる努力をしてから始める。そしてその先に語られる計画は他人を同調させる合理性を持っている。

・植物は根や葉などから化学物質を出して他の種を攻撃し、自らテリトリーを広げようとする。ダイナミックな活動をしない植物は異種間でそのようにして戦っている。

・生物進化は突然変異で獲得した性質を環境の変化に問いかけることから始まる。

・春の終わりといわれれば、桜のごとく潔く散りますよ。

・ひたすら平和を願っていた。平穏こそが望み。乱すことは簡単で、整えることは難しい。

・もっとみんな仲良くできないかなぁ。なんで人間は内戦が好きなんだろう。

・世の中には話し合いでは決着しない問題もあるということです。戦争が外交の一形態として正当化されているように。

・ボクシングと同じく、戦争にも国際ルールがありますから、つまりは正規の解決手段として認められているという意味です。

・歴史とは決定権を持った一人の人間によって大きく変わってゆく。たまたま虫の居所が悪かったなど、その理由が些細なほどに割りきれない逸話は長く後世に残る。

・私たちは化学式を用いて様々な化合物を手に入れることができる。しかし化合物を作るのはあくまでも「自然」だ。自然現象といった方が分かりやすいかな。私たちはその環境をお膳立てしているに過ぎない。高炉を用意して、鉄鉱石を入れて、熱を加える。その環境が鉄を生み出す。純粋に鉄を組み立てて作っているわけじゃない。


ダイナミックフィギュア〈上〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

ダイナミックフィギュア〈上〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

  • 作者: 三島 浩司
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: 単行本




・自発的に覚悟を決めた人間は、覚悟を強いられた人間とは肝の据わり方が違う。

・体験とは後の人生に活かせてこその体験よ。墓場に持って行ってどうするの?

・人はそもそも行動に覚悟をともなわせる習慣をつけていない。だから土壇場に立たされては覚悟を飛び越えて「ままよ」と開き直る。あとは野となれ山となれ。

・文明の利器は使い方次第ですべてが凶器になる。これは避けようのないことだ。

・赤の他人から面識のある他人に変わった。

・秘密を内に封じ込める堅い繭。殻を破って羽化しようとする蛾は焼き殺されるわ。

・慣れは動作の記憶を省いてくれるが、あてにしすぎると必ず失敗を招く。

・ハッスルプレーは求めない。エラーはさらに求めない。ただ堅実に作戦指令を実行しろ。

・地球を守れるのは血の気の多い向こう見ずな人間ではない。平穏なる日常を愛する極めて保守的な人間だ。

・人の上に立つためには純粋な実力だけでは適わない。ときには汚い手を使うことも必要だ。

・恨まれる覚えはないにしても、逆恨みされる心当たりならばある。

・固定観念にとらわれていると究極のテクノロジーにはたどり着けないということだ。

・人はいちいち道徳倫理に頭を打たれて襟を正しているわけではないぞ。相手が持つ総合的な圧力に屈しているんじゃないか。日常とはその場そのときで弾き出される総体的な主従関係の繰り返しだ。

・誰もが唱える平和への主張は、単に最終的なパラダイスが欲しいとさえずっているだけだ。実現までの課題から目を背けている。

・話を聞いた限りでは尊敬には至らなかった。実践しない空想シミュレーションのインテリだった。

・革命とは、国家の決定が最悪の結果を生んだときに最大の好機を得る。

・資本家と労働者の場合も同じだ。利権を求めている点では見苦しいほどに一致している。極論すればな、加害者も被害者も等価なんだよ。自分の境遇しか見つめられない。

・お前は日本人として誇りを持てないといったがな、自尊と羞恥は相互一対だ。恥ずべきところがあるから胸を張れない。逆に胸を張れるようになって初めて恥部に気づく。胸を張る余裕が生まれてこそ恥部を認められる。

・組織の長が敵に侮られるのは致命的だ。それ以上に味方に侮られる方が事態は深刻だ。

・最たる地位に就こうとするならば、このときに限って狡猾となり、このときに限って暴力ほどの掟破りが必要とされるはずだ。

・幸せとは、他者がどれだけ自分のために時間を費やしてくれたかで測れるの。人間には短く限られた寿命があるわ。その中で自分のために割いてくれた時間は貴重なものよ。

・正反対の思想を持った相手を正義と道義で従わせることは困難。詮ずるところ、交渉でものをいうのは暴力に代表される相対的な力関係だ。

・良くも悪くも主導者の足跡は故人になると遺産と呼ばれる。それを相続する者には汚名を着せられることがないという点で実に使い勝手がいい。世界を核の緊張状態に陥れた責任をアインシュタインに求めている部分はあるはずだ。そう、責任を問えない存在に責任を負わせるのだ。

・世界の成り行きとは、世界を変える力のない人間のささいな選択から生じてゆくこともあるのだ。

・原因が分からずに事が悪い方向に進み続けると、人は誰かが陰で足を引っ張っているのではないかと疑う。しかし事が良い方向に進んでいるときには、人知れず陰から支えている存在のことなど想像だにしない。大の字になって眠っている間にもゴミを拾っている人間はいるのだ。

・実戦で成熟したといえる。それは裏を返せば実力の限界に到達したことを意味する。

・周りのことを気にしてたら、時にもぎ取れないものがあるわ。

・BGMはいたずらに感情をあおらない。心理を露骨に掘り下げない。心に残ったことを気づかせない作りだ。このような映画は好きだ。人々の心をそっと整理したいのだろう。ゆがんだところを直して風のように去って行く。

・保身を残している点が気に入らないのです。少しでも道を踏み外すなら死ぬ気で歩むべきです。安易に許しを期待した悪事が世の中には多すぎます。あなたに死ぬ覚悟はありましたか?

・なにかを手に入れるためには、なにかを失う覚悟が必要です。初めから無傷で手に入れようなど虫がよすぎるというものです。

・その事態から免れたときに、人々が果たしてそれを幸福と思うか否かだ。未然に防がれた事故と、一度事故が起きてからの原状回復では人間の抱く印象は異なる。起こり得た事態を言葉で伝えてゆく人間も必要だ。

・死に無頓着の者に覚悟という意識はない。

・変化を感じている人間もいれば、感じていない人間もいる。雰囲気など記録できるものではないし、過去と比較のしようがないのだから仕方がない。

・目の前ばかりではなく、背後と左右を確かめる。そして全体が落ち着くであろうと思われる場所に立つのだ。その行為が人の集まる場所に穏やかな雰囲気を作り出す。


ダイナミックフィギュア〈下〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

ダイナミックフィギュア〈下〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

  • 作者: 三島 浩司
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: 単行本



タグ:三島浩司
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0