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『クドリャフカの順番 「十文字」事件』 [☆☆]

・やらなくていいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。

・クラスで会えばいまみたいにそつなく会話を交わすけど、実は顔と名前が一致してないという即かず離れずの距離を保っている、多数の「知り合い」の中の一人だ。

・クイズ研部員なんて、あなたの知らない知識がありますよと言えば簡単に食いついてくる。

・つまらないってのは漫画がつまらないって意味じゃない。その漫画の面白さを感じるアンテナが低かったことを「つまらない」って言うんだって。だから、激しい言葉を使いたくない腰抜けさんたちは、「つまらない」のことを「自分には合わなかった」って言ったりするんでしょ。

・宣伝というのは俺が思っていたよりずっと馬鹿にならない。なにか楽しみたいがなにを楽しんでいいかわからない手合いには、背中からの一押しが案外利くということか。

・無為とかのんびりとかは好きな俺だが、退屈はそれほど積極的に好きではない。

・見返りのある頼みごとの場合、相手を信用してはいけない。

・相手を動かすのは精神的満足感だ。物質的満足を得るための行為で手を抜くことはあっても、精神的満足を得るための行為で手を抜くことはない。

・相手に「自分に頼る他にこいつには方法がない」と思わせることだ。自分は唯一無二の期待をかけられている、と感じた人間は、実に簡単に尽くしてくれる。自己犠牲さえ厭わないことも、珍しくない。相手に期待するんだ。ふりだけでいい。

・自分のちょっとした手助けで他人が莫大な利益を得たり致命的な不利益を回避したりすることを快く思う人間は、多くはない。自分には些細なことだが相手にはそこそこ大事なことらしいな、というラインで攻めるのが重要だ。優越感をくすぐれる。

・基準点も目標点もないなら、どちらに進んだとしても相対的には進んだことにはならない。どれほど腕を磨いても、それは上達じゃなく変化に過ぎない。

・疲れたと言ってはいけないよ。疲れたというのは、わたしはもう充分やったから次はあなたがやりなさい、と聞こえるからね。もしどうしても疲れたときは、少し休ませてと言うんだよ。休んだや、また自分でやりますと聞こえるからね。

・クドリャフカっていうと、ロケットに乗せられて地球をぐるぐるまわった犬だったね。酸素が切れるまで、眼下の星に帰れると信じてた。

・頼られていると誤解させるのは非常に有効だ。だが、甘えられていると誤解されるのは、長期的にどころか、短期的にもリスクが大きすぎる。

・絶望的な差からは、期待が生まれる。だけどその期待にまるで応えてもらえないとしたら、行きつく先は失望だ。



クドリャフカの順番―「十文字」事件

クドリャフカの順番―「十文字」事件

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 単行本



タグ:米澤穂信
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