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『いやな世の中 <自分様の時代>』 [☆☆]

・夢も希望もあるにこしたことはない。けれどそんなものがなくても人は生きていくのである。

・「どうすればいいのか?」と訊けば、ちゃんとした処方箋や明確な答えがたちどころにでてくると思っているのが、ばかばかしい。どうにもならないことは、世の中にたくさんあるのだ。

・愚行は目立つが、善行は目立たない。

・かれらは自分がイライラしたりカッとなったりストレスを感じたりするのは、そうさせた他人が悪いのだ、という。悪いのは常に他人である。

・自分をコントロールできない人間は、せっかくある自分の脳をすこしも使っていないのだ。

・「かっこいいお父さん」という世間の戯言を真に受けてマニュアル通りに決め、うん、ひょっとしたらオレはどこから見ても魅力的なロマンス・グレイに見えるだろうな、ぐふふ、と思っていたのに、ただのジジイ扱いしかされなかったことに対する怒りだった。

・激変する時代環境では過去の経験則はムダであるばかりか、社会適応への妨げになる。新しいビルを建てるには古い建築物が邪魔になるのと同じ理屈である。

・理不尽に怒鳴る行為は、自分の非をごまかすために大声で相手を威圧しようとするものだ。

・短気に怒鳴り散らすじいさんばあさんは、頭の悪い老人にすぎない。

・お金を払っているだけで、まるで王様と家来のような主従関係を結んでいると勘違いしているクレーマーがいる。

・犯罪報道では、容疑者はまだ反省していない、謝罪の言葉は聞かれない、と取りざたされる。それは報道の使命なんかとはまったく無関係である。謝罪の言葉をいわせて、すっきりしたいだけである。無理やり謝罪させる謝罪ははたして謝罪なのか。

・麻生氏が日本の力として列挙しているのはすべて、民間の話である。政治は何もしていないのである。政治家がいちばん存在感がないのではないか。

・「おひとりさま」というのは金持ちに限られるのであり、金のない者は、ただの「ひとり」である。「おひとりさま」なんてもてなしは金輪際受けられないのである。

・女85歳、男78歳という数字には、寝たきり老人や認知症の人が含まれている。一概に「寿」とはいえないのである。長命国という言い方のほうが正確であろう。

・人間一人ひとりの人生に政治が責任を持つことなど不可能であり、人間は一人ひとりがどんな境遇にあろうと、自分で何とかしなければならない。

・強く願えば叶う、という。叶った人間ばかりが言っているところがミソである。

・何を訊いていいかわからず、子供に対する決まり文句の「君の夢は何?」を思い出し、何気なく訊いただけだったのかもしれない。
・テレビの視聴率とは、群れの価値観迎合率に他ならない。

・だが忘年会なんかに強制参加させることはあるまい。自由参加にすればいい。そうすると参加者が減るじゃないか、というのなら、残った者だけでやればいいのである。それじゃさみしいというのなら、君たちは自分たちのさみしさを癒すために人に付き合うことを強要しているということである。

・ラーメンなどどこで食べても大差ないのである。差はあるが大差はない。

・小学校の運動会のリレー選手を選ぶ選考会で、実力のある自分の子供が風邪をひいていいタイムが出なかった。そのことに腹を立てた親は、「もう一度やり直して欲しい」と抗議し、教師はレースを認めた。その結果、その子供はめでたく選ばれたのだが、その親は自分の子供に何を教えたことになるのか。教師は他の生徒たちに何を教えることになったのか。

・死ぬっていうのはね、悲しいことの一つにすぎないんだよ。不幸な生き方をするのはまた別のことだ。

・何のために今まで歳を食ってきたのかと言いたくなるような、見るからに人品卑しい連中。

・社会の儀礼は、毒にも薬にもならない形式でありマナーである。普通にやってのければいいのだ。

・福島県の只野町議会では「会議の共通ルール」を決めたという。その中の一つに「人格を批判するような発言、大声での威圧などの禁止」という項目がある。ということは、そういうことをする議員がいたし、いるということである。

・ドライブを楽しむ権利はある、と言われるだろう。そんな権利はないが、その事由があることは認める。

・力のない者は、広告によって買わされる者である。欲しくもないモノ、不要なモノは、欲しいモノ、必要なモノに変えられてしまう。自分だけが損をしている気分にさせられ、世の中から取り残される気分にさせられるのである。

・一生モノとかいうが、一生モノなら一個あれば充分である。

・日本語には、他人に対する「適当な呼びかけ語がない」。日本人のコミュニケーション下手はこんなところにも原因があるのかもしれない。無縁の他人に対して「入り口」がないのだ。

・良識とは、この世には何が大切であり、何が然らざるかを識別する力を指すのである。

・自分の書きたいものだけを書き、読者のことを忘れていた。大衆小説の面白さの中の大切な要件である明るさと救いが欠けていた。

・愚痴を言いながら生きても一生、楽しいと思いながら生きても一生。

・自分自身で決断するのが恐ろしい行為であることは百も承知で、それでも、敢えて、「正解」ではなく「納得解」を求める態度。そして、「納得解」を導くために、失敗と試行錯誤を厭わない行動力。

・ボランティアというのは、「もういいよ、お前は帰れ」と言われ、最後は石を投げられて追われることを覚悟してやるべきなんだ。感謝を求めてやっているのであれば、それは早くやめた方がいい。

・人間は意志することができる動物である。「これはやろう」「これはやらない」と意志するのである。たいていのことは意志すればできるのである。

・意志は誘惑や欲望に負けることがある。だが、意志する人間と、意志のない人間とは雲泥の差がある。

・自分だけをコントロールするしかない。他人はコントロールできない。ましてや世間や社会はどうにもならない。

・不確実なことをそのまま受け入れる大人の余裕と諦観が失われました。そのため、死や障害が不可避的なものであっても、自分で引き受けられず、誰かのせいにしたがる。

・メディアでは、「こうなって欲しい」ことを、「こうでなければならない」、さらに「こうなるに違いない」と簡単につなげてしまう。

・ワーズワースの詩の中に「Plain living and high thinking」(低く暮らし、高く思う)という言葉がある。直訳すれば、「簡単に生きることと気高く考えること」だろうが、「低く暮らし、高く思う」は簡潔でいい訳である。



いやな世の中 (ベスト新書)

いやな世の中 (ベスト新書)

  • 作者: 勢古 浩爾
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2008/04/09
  • メディア: 新書



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