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『日本人はなぜ株で損をするのか?』 [☆☆]

・学問の世界とは物事の本質をシンプルに描いたもの勝ち。

・Nは時間があると必ず部内の資料を整理して古くなり必要でないものはどんどん捨ててゆくのです。死んだ情報に用はないし整理の過程で新たな発見があるわけです。

・コピー&ペーストは百害あって一利無しだと思っているからです。「徹底的に書くこと」 その過程で頭が整理されていきます。色んな投資のアイデアも同時に浮かんできます。

・例のサンデルの白熱教室を見ていて、ある学生が感情的に別の学生に攻撃的な質問をした時にサンデル教授が「二人称を使うんじゃない! 三人称で議論したまえ」という場面がありました。

・株価や株式市場を考える上で、大事なポイントとして静態的(スタティック)な要素は存在しない、と考えることがあります。全てを動態的(ダイナミック)に捉える必要があります。何故なら、市場には「安定」への動機づけがないからです。

・人はモノの存在を実存よりもまず絶対で把握しようとします。絶対に善であるか絶対に悪であるか、絶対に安全、絶対に危険……などのように、です。

・実存を完全に把握することは不可能ですし、絶対も脆弱なものです。ですから、実存や絶対から株価を考えるよりも、補助線やパラメーター(媒介変数)から入った方が株価は把握しやすいのです。

・シュンペーターは言います。資本主義を資本主義たらしめるのは、利潤追求でも市場機構でも私有制度でもなく、信用機構であると。資本主義にとっていかに金融の機能が重要であるかを指摘しています。

・株価にフェア・バリューは存在しない。過大評価と過小評価のみ、ということです。つまり適正株価などないのだということです。

・「今」に最高の価値を置く日本人。それを表す凄く良い例が毎年のようにこの国で起こる金融詐欺事件です。「今われわれに100万円預けてくれたら、5年後に200万円にして返します」という話には絶対に日本人は乗りません。しかし、「元本保証で今どき年10パーセントの高利回り。配当は半年毎」という話にはコロッと騙されてしまいます。この詐欺のポイントは預けて半年後に必ず「今まさに手触りのあるお金」が「配当」として現実に支払われる事にあります。「5年後」という「将来」には価値を置きませんから興味を惹かれませんが、「元本保証」で「今」が保証され、半年後=「目先」に手触りのあるお金が入ってくることには惹かれてしまうわけです。

・日本人の「今が大事」の大きな理由は、今の自分が住む日本という世界が永遠にそのまま続くと考えているからだと思います。国を奪われたり追われたりしたことがないわけです。だから、じっとしていても何とかなると考えてしまう。将来は必ず今の延長にあって努力して獲得するものではない。それはやってくるものだと考えている。

・日本で販売されている投資信託を見てもらうと分かりますが、直ぐに解約されてしまいます。そこには様々な理由がありますが、最大の理由は「日本人はおカネに関しては目先である」という事実です。

・投機はゲームです。瞬間的な刺激とそれへの反応に過ぎません。「チャートを見たらすぐに上がりそうな気がする」「証券会社の営業マンに勧められた」「人が儲かったというので自分も儲けたい」というのは全て投機です。

・「安く買って高く売る」という当たり前と思える考え方を捨てることです。日本に投資の成功者が極めて少ない事実をもう一度思い出して欲しいのです。一般的な投資の常識を疑う。そこに株式市場の成功への要諦が隠されています。



日本人はなぜ株で損するのか? (文春新書)

日本人はなぜ株で損するのか? (文春新書)

  • 作者: 藤原 敬之
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/12/15
  • メディア: 新書



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