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『文学少女と慟哭の巡礼者』 [☆☆]

・電話のベルを、しつこく鳴らすやつら、みんな死ねばいい!

・大人になってから読む童話には、子供の頃に読むのと違った味わいがあるわ。子供の頃は甘かったものが、大人になってからは、苦かったりするの。

・大丈夫ですよ.本当に死んだりはしませんから。だって、ここでは絶対に死ねないもの。先輩たちに迷惑をかけちゃうもの。だから、死にたくなるとここへ来て、自殺しようとしてみるんです。そうすると、ここじゃダメだ、死んじゃダメだ、ダメだ……ダメだって……自分にストップをかけられますから。

・仮面がばっさりはがれて、氷みたいな冷たい顔してましたから。けど、その直後に、思いきり猫被って、そらもう最強ににっこりして、胸張って言ったんすよ。「そうだよ、よく気がついたね」って――。

・小学生の娘にまで、お互いの悪口をさんざん吹き込んで。あたしは、あの人たちが、自分たちの汚い感情を投げ捨てる、ゴミ箱だったのよっ!

・ありふれた不幸かもしれない。そんなことは、世の中にいくらでもある。けれど当事者にとっては――ましてや、小学生の女の子にとっては、毎日が地獄だったのだろう。

・青く澄んだ空の下で、振り返って微笑んだカムパネルラが願ったこと。それは、ジョバンニの瞳に、旅立つ自分の姿を焼きつけること。ジョバンニにとって、永遠の存在になることだったのだ。

・『銀河鉄道の夜』にブルカニロ博士という、謎の人物がいることを知っている? この博士は、現存する初稿と第二稿、第三稿までは存在しているけれど、その次の完成稿では、いなくなってしまうのよ。

・大切でたまらなかったから、不安でたまらなかったからっ、壊そうと思ったのよ! いつか壊れて、なくしてしまうかもしれない恐怖に、耐えられなかったからっ!

・『銀河鉄道の夜』は、ジョバンニの視点で書かれた物語なので、カムパネルラの気持ちは、明確には書かれていないわ。カムパネルラがなにを考えているのか、ジョバンニにはわからない。だから読み手は、ジョバンニと一緒に哀しくなってしまうのよ。

・負けたくないと願うのは、勝っている人じゃない。それを願う時点で、ぼくらはすでに不安に揺れ、負けている。

・「先輩がなりたいのって、どんな人ですか」 「……哀しくてたまらないときに、綺麗に笑える人よ」



“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

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  • 作者: 野村 美月
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2007/08/30
  • メディア: 文庫




“文学少女”と慟哭の巡礼者【パルミエーレ】 (ファミ通文庫)

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