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『文学少女と恋する挿話集1』 [☆☆]

・俺は、見ての通りのスポーツ推薦だ。これまですべての教科は、筋肉で補ってきた。

・蟹工船というのは、蟹を捕って缶詰に加工する工場船のことよ。船でありながら航海法の適用を受けず、工場でありながら工場法の適用を受けない――そんな、経営者にとって好き勝手できる都合のよい船。

・相手の気持ちがわからなくて、不安だったのよ。恋をしたら、誰だってそうよ。だから、まずは一歩踏み出してみるのよ。二千年も前から、女の子はみーんなそうしてきたのよ。でなきゃ、男の子はダフニスみたいに鈍くて頼りないから、気がつかないわ。

・顔はにっこり。けど、声に冷ややかさを込めて、きっぱり拒絶する。子供は図に乗るから、しっかり突き放さなきゃいけない。

・短い言葉で、簡潔に答える。なので会話がまったく広がらない。

・子供は、本当に嫌い。図々しくて、空気が読めなくて、愛され受け入れられ許されるのが当然だと思っているところが、吐き気がするほどムカムカする。優しくしてくれる大人ばかりだと思ったら大間違いよ。

・きみの力になりたいなんて、結局、自分の方が立場が上だって自覚があるからこそ、言える台詞よ。

・寂しい北の海に棲む孤独な人魚が、人の世界に憧れるように。人の世界へ行きたい、人に愛され、人を愛して、人の輪の中で暮らしたい。海の中から、ずっとずっと願っていた。

・これ見よがしに突き出た胸や、くびれた腰よりも、こういうささやかな胸元に、ロマンと趣きを感じてしまう。

・いくらドアを開け続けても、そこから外へ向かって歩き出さないかぎり、ドアから見えるものは変わらないのにね。

・他人の心情なんて、知ったこっちゃない。傷つくほうが、弱いのだ。自分の心は自分で守るしかない。

・あの三年間は、確かに至福の時――そして、雌伏の時だった。

・目的のために人を殺しても、恋のためには殺さない。



“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)

“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)

  • 作者: 野村 美月
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2008/12/26
  • メディア: 文庫



タグ:野村美月
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