『マツリカ・マジョルカ』 [☆☆]
・僕がいても、いなくても、世界は変わっていく。お構いなしに。僕なんか、いなくなっても、誰も困らない。
・それは、おまえが現実から眼を背けたいだけ。こんなことは、稀有なできごとではない。たとえ目の前にあるそれが幻だったとしても、それは世界のいたるところで起こっている。ありがちな、潰しても消えない蟻のようなもの。どこからともなく、湧いて現われる。
・今更。と思った。五年も前のことを、今更後悔して、反省するのかよ。なんだよ、それ。
・手を伸ばしても届かない距離まで、走って逃げてしまった? 違う。手を差し伸べた人なんて、いなかった。誰かが手を差し伸べてくれたのなら、誰だって、それに縋るはず。彼は逃げるしかなかった。だから逃げたんだ。
・レンズを替えると、ものの見え方が変わるんだ。そうすると、自分も変わってくる。同じ風景なのに、見え方がこんなに違うんだって、少しビビって、周囲を見る眼が変わってくる。
・特に明るいレンズを使ってピントを合わせるとさ、眼に見えて背景がぐわってボケて、世界が変わるんだな。
・あんなにうるさい声で騒いで、馬鹿じゃないの。おまえら小学生かよ。そんなふうに心の中で嗤って、教室の隅っこでじっとしている自分は、必死になってクラスのみんなを攻撃して、平気な顔をしようとしている。
・たぶん、やっぱりここは違う世界なんだ。知らない相手でもうまく話せるような人間じゃないと、生きていけない世界。僕はそこに迷い込んでいる。たぶん、今だけじゃなくて、生まれたときから、ずっと。
・レンズを付け替えることで、見える世界が変わっていくように、人を見る眼を変えることで、自分自身も変わっていくことができるのかもしれない。世界が変わっていくのかもしれない。
・みんなで協力して一つのことをやり遂げるというのは、無能な人間にとっては息苦しい時間でしかない。
・けれど、どうせ死ぬのなら、見苦しくない死に方がいいわね。
・それは、おまえが現実から眼を背けたいだけ。こんなことは、稀有なできごとではない。たとえ目の前にあるそれが幻だったとしても、それは世界のいたるところで起こっている。ありがちな、潰しても消えない蟻のようなもの。どこからともなく、湧いて現われる。
・今更。と思った。五年も前のことを、今更後悔して、反省するのかよ。なんだよ、それ。
・手を伸ばしても届かない距離まで、走って逃げてしまった? 違う。手を差し伸べた人なんて、いなかった。誰かが手を差し伸べてくれたのなら、誰だって、それに縋るはず。彼は逃げるしかなかった。だから逃げたんだ。
・レンズを替えると、ものの見え方が変わるんだ。そうすると、自分も変わってくる。同じ風景なのに、見え方がこんなに違うんだって、少しビビって、周囲を見る眼が変わってくる。
・特に明るいレンズを使ってピントを合わせるとさ、眼に見えて背景がぐわってボケて、世界が変わるんだな。
・あんなにうるさい声で騒いで、馬鹿じゃないの。おまえら小学生かよ。そんなふうに心の中で嗤って、教室の隅っこでじっとしている自分は、必死になってクラスのみんなを攻撃して、平気な顔をしようとしている。
・たぶん、やっぱりここは違う世界なんだ。知らない相手でもうまく話せるような人間じゃないと、生きていけない世界。僕はそこに迷い込んでいる。たぶん、今だけじゃなくて、生まれたときから、ずっと。
・レンズを付け替えることで、見える世界が変わっていくように、人を見る眼を変えることで、自分自身も変わっていくことができるのかもしれない。世界が変わっていくのかもしれない。
・みんなで協力して一つのことをやり遂げるというのは、無能な人間にとっては息苦しい時間でしかない。
・けれど、どうせ死ぬのなら、見苦しくない死に方がいいわね。
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