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『立花美樹の反逆』 [☆☆]

・何でもかんでも神様に祈って何とかできると思ったら大間違いです。自分でできることは自分でやり遂げるのも人間の義務です。祈ったり願ったりは、なすべきことをしてから。

・人間が宗教に頼るのは自分の死を自覚したときだ。死ぬ間際になって天国に貯金を持っていけないのに気づいて慌てて何か始める。サラリーマンが定年した途端やることがなくなって自分探しを始めるのに似てる。

・自殺は絶対に駄目、命は大切に、なんていうのはキリスト教や仏教の人たちが言っているだけでしょう? そのわりにあの人たちは殉教者を特別扱いしたがるのよね。信仰に殉じた人がたくさんいたんじゃ希少価値が下がるからするなって言ってるだけじゃないんじゃないの? そういうのを既得権益って言うのよ。

・政治では救われない弱い人に生きる道を示してあげるのが宗教であり神の力というものでしょう。

・こういうのを「見るな」のタブー、メルシナ型神話と呼ぶ。美女の正体が実はおぞましい蛇や竜でそれを見てしまったがために婚姻が破綻する。鶴の恩返しもこのパターンだな。

・私自身は宗教にそれほどマイナスのイメージは抱いていない。人生を便利にする道具の一つだ。使い方を誤ればテレビでも電子レンジでもノートPCでも人は死ぬ。宗教も同じことだ。メリットとデメリットは等価だ。

・宗教の勧誘を論破するというのはインテリのロマン、武勇伝だ。

・向こうだって自分の弱点は知っているから、そこを突いてくる奴には相応の対処法を用意している。こういう話を断るのに一番いいのは「忙しい」とか言って無視することだ。そもそも話を聞かなければ、相手のテリトリーに入らなければ何をされることもない。相手はもっと脈のある鴨を探す。

・あまりにも勝つのがたやすそうな喧嘩は買わないことだ。相手にだって勝算がある。逃げて損がないならそれが一番だ。

・ペットショップに勤めていると、周期的に同じ動物を買い求める「常連客」が現われるそうですよ。何かやらかしては新品に買い換えている、と。買い換えて済んでしまうから何度でも同じミスを繰り返す。そういう客がペットショップの経営を支え、世界は善意ならざるもので動くのです。

・神道の神は荒魂と和魂、ハレとケ、清浄と穢れ、加護と祟りを併せ持っている。

・成長期に餌を与えず、餓死しないギリギリのラインを保って栄養失調で発育を止めてしまうんです。大型魚が大きくならないようにするテクニックです。

・ピラルクーはこう見えて空気呼吸に依存しているから。鰾を原始肺として使っている。驚いたりすると水を誤飲して鰾に水が溜まり、息ができなくなる。ピラルクーは、溺死する。魚なのに水の中では息ができない。

・附属書2は養殖したものなら取引可――アニメ『けいおん!』で有名になったスッポンモドキはこれですが、普通附属書2というのはその生き物を食べる文化のある地元住民への配慮であって好き放題にやったり取ったりしていいよという意味ではありません。

・毎日雑穀と豆腐ばかり食べていると糖分が恋しい。昔の人が何かあるたび牡丹餅を作っていたのはこういうことだったのか。

・特別なことはしないのも洗脳の一つのテクニックだぞ。ルーチンワーク、朝夕のスローガン朗唱、マニュアルの徹底。これで人間の思考は単純化され、非常識なことでも刷り込まれやすくなる。宗教に限らず企業の研修でも使われる手だ。省庁でもな。

・心にもないことでも無理矢理百回も千回も言わされれば何となくそんな気がしてくるものだ。

・自己分析はしたか? 自分や他人のいいところ悪いところ、人生の目標、自分自身を毎日評価し列挙し続ければ簡単に心療内科のご案内、だ。夢日記をつけるより確実だぞ。

・ルーチンワークが脳を蝕むのは未来のことが容易に予測できるようになってしまうからだ。明日のことも然程知らないくらいで丁度いい。

・神はいない、サンタクロースはお前の父親だと言うだけなら中学生でもできる。なぜ人間に神が必要か、と考えるべきだ。

・常識でどうにかなるか、こんなもん。こうなったら自分でタガを外すことに今決めた。ヤケクソだ。何でもアリだ! おれは人間をやめるぞ! ジョジョーッ!

・人生には何の保証もない、というのはたった今、目の前の駄目な大人二人が念を押してくれた。

・除霊と称した暴行、医学知識からかけ離れた心霊治療、ネグレクト、修行中の事故、内ゲバ。宗教には危険がいっぱいだな。

・確実に勝てる相手としか喧嘩しないのは臆病者の証拠。

・奴らが信じているのは上司の命令と書類の判子だけだ。ある意味で狂信者ではある。

・自分で自分を洗脳するのは人生を簡単にする秘訣ではある。



立花美樹の反逆 THANATOS (講談社ノベルス)

立花美樹の反逆 THANATOS (講談社ノベルス)

  • 作者: 汀 こるもの
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/04/05
  • メディア: 新書



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