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『平常心を鍛える』 [☆☆]

・試練とはつまり、「試されている」という意味だ。人は、ダメージを受ける。それを恥じることはない。問題は、そこからどう立ち直るかだ。そこを見られている。

・野生の動物は死んでいる獲物の肉は食べない。食中毒で死ぬ可能性があるからだ。食中毒を避けるには、生きている動物を捕まえ、すぐに食べる必要がある。

・パニックや茫然自失から脱出できるように訓練しているのが、「任務に集中する」という思考訓練だ。兵士は通常の訓練から常に自分の任務、つまり、「いま自分がやるべきこと」を意識し続けるように指導される。

・一般的に兵士より指揮官のほうがストレスに強い。常に「次に兵士に何を指示するか」を考えているせいだ。

・一人のときは弱く、腰が抜けたり、感情に巻き込まれてパニックに陥る人でも、誰かを助けなければならない状況に置かれれば、恐怖に負けず、強い力を出せるようになる。

・私たちは、それぞれ個人ごとの世界をつくり、その中で生きている。客観的な危機は同じでも、それぞれの世界の中での危機(主観的危機)の大きさは異なる。その主観的危機の大きさを決めているのが、情報だ。

・心のケアが注目されている。しかし、現場経験が少なく、「勉強」だけして現地に入る「心の専門家」の中には、「あなたは、たいへんな思いをされました。これから、もしかするとPTSDになるかもしれません」などと、とうとうとPTSDについて説明したり、しかも、「だからこそ自分たちのケアが必要です」と説明してしまう人もいる。このような言い回しでは、相手に「あなたは危険ですよ」というメッセージのほうが強く伝わり、余計に不安を抱かせ、具合を悪くする人が増える可能性があります。

・コミュニケーションにおいては、実際に「何を言ったか」ではなく、その行為やタイミング、言い方から「相手にどういうメッセージが伝わるか」の方がとても重要だ。

・タバコは、肺がんをはじめさまざまな病気との関連が証明され、しかも受動喫煙の危険もあるのに、放射能ほど危機感はなく、いまだに多くの人がタバコを吸っている。

・光化学スモッグも人体にかなりの影響を及ぼすが、多くの人が平気で外出している。

・本当にたいへんな人を目の当たりにすることで、不安が一気に低下する。だからボランティアは、人を助けるだけでなく、自分の不安を低下させる働きもあるのだ。

・危機の雰囲気も治まるにつれて「種」の保存の本能が終了し、「個」を優先する本能が立ち上がってくる。同じ体験をしたはずだったが、よくよく見ると被災の状況も異なり、今後予想される環境も違う。不公平感、孤独感が生じてくる。

・もっとも多く怒りの矛先が向けられるのが、上司や組織、社会などだ。向けようのない怒りは、なにより「お上」に向かう。

・「この問題についてだけど」、「自分が、こういうことで困っている」、「できればこうしてほしい」という3点セットで準備するといい。

・心理学の実験でも、「困っている」という情報を加えることで相手が動いてくれる確率が高くなることが明らかになっている。

・怒りの根本欲求は、「自分の縄張りや権利を侵すな」というアピールだ。

・時間が癒す効果は「日薬」と呼ばれている。

・アメリカのベトナム戦争の帰還兵にはPTSDが多い。国のために命がけで戦ってきたのに、帰国したら「殺人犯」呼ばわりだった。自分の行為が受け入れられていない自信喪失によるセカンドショックが原因だ。

・サバイバルの知恵を持っているだけでなく、訓練をしていれば、ピンチのときもそれを実際に使える。避難の知識はあっても、実際に避難訓練をしていなければ、いざというときにうまく行動できないのと同じだ。

・本人の中に、「これぐらいでは死なない」という尺度があれば、「主観的危機」を拡大させずに済む。

・大きな改善でなくてもいい。自分の生活が自分の力によって少しでも改善しているという「出来事」をつくる必要がある。人は、そのような活動を、食事と同じように毎日、必要としているのだ。

・うつ状態の人に、「庭いじりがいい」とアドバイスしても、何を植えればいいのか、どんな作業をすればいいのか、何が楽しいのか、まったくわからない。急にやっても、逆にストレスの方が大きくなるだろう。ストレス解消法は、元気なときにこそ、少しずつやってみて自分に合うものを見つけ、道具や知識などを仕入れておかなければならない。これを、ストレス解消法を「育てる」という。

・もしあなたに、アルコール以外のストレスコントロールの手段にないならば、ピンチのときに、アルコールにしがみつくしかなくなる。元気ないまこそ、いざというときのためにアルコール以外のいろいろなストレス解消法を育てておきたいものだ。

・日本人のうつや自殺が急激に増えたのは、平成10年(1998年)からだ。そのころ日本では、24時間営業のコンビニエンスストアやレストランが増え、インターネットが一般化し、多くの人が携帯電話を持つようになってきた。情報量が格段に多くなり、ヒトが処理できる量を超え始めたのだと思う。それがヒトを疲れさせ、うつ状態が増えてきた。

・仏教では、なんらかの刺激を受け、それに対する痛みや反応が生じるのを「一の矢」と呼ぶらしい。これはいたしかたがない。どんなに修行しても、痛いものは痛い、悲しいものは悲しいと言う。失敗したら、後悔もするだろう。ところが、修行していないと「二の矢」にやられてしまう。二の矢は、そのことをいつまでも思い悩み、自分を責め、自信を失い、不安を増大させる。

・仏教では、「一の矢は、避けられない。しかし二の矢は、叩き落とさねばならぬ」と教えられるという。






タグ:下園壮太
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