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『リスク、不確実性、そして想定外』 [☆☆]

・今や建築でも医薬でも、あらゆる分野のものが確率を使うことなくして成り立ちません。

・AIJ投資顧問問題です。もちろん、当の投資顧問会社の責任がまず問われなければなりませんが、運用を委託する側としても、なぜ現在のような市場環境の中で高利回りが確保できているのか、ということについて、もっと関心を持ち、自ら調査する姿勢が欲しかったと思います。

・世の中には「おいしい」話に乗せられて、結局大金を失ったという事例があとを絶ちませんが、その多くは、ハイリスク・ハイリターン狙いというより、ローリスク・ハイリターン狙いです。

・戦とは、リスクとリスクのせめぎ合いであり、リスク管理が不十分だった側が敗北します。

・教育現場でも遊びの場でも、「安全」ということが強調されるようになって久しくなります。リスクが少ない環境で育った世代の、リスクに対する感覚が気になります。

・不必要なリスクは取らない、それがリスク管理の第一歩です。

・確率によって計測できるものをリスク、計測できないものを不確実性と呼びました。その上で、不確実性の下で意思決定する企業家への対価が利潤であるとしました。

・利得と損失の双方の可能性のある賭けの場合、人は損失回避的(=リスク回避型)になりがちです。例えば、70%の確率で5000円得られ30%の確率で3000円損をする賭け(=期待値2600円)よりも、50%の確率で3000円得られ50%の確率で得失なしの賭け(=期待値1500円)の方が好まれるというものです。

・企業でも個人でも、悩む時には第三者による客観的なアドバイスを求めた方がよさそうです。ただし、リスク管理の観点からは、どうアドバイスすれば喜ばれるかという感情や利害と無縁な第三者を選ぶことが肝心です。

・評価することなく使命感にだけ訴えても、物事は進まないのが現実です。

・市場に「神話」が形成されることと、金融によるサポートでレバレッジが形成されることの二つが揃った時、バブルが発生するとしました。

・多くの投資家は自分で適正株価を見つける努力をせず、「ただ乗り」しているだけである。そして一方的に株価が上がると決めつけるような行動をとっているとしました。

・気をつけなければいけないのは、会社に危害を与えるとか、自分の利益を図るといった不正な動機ではなく、会社のため、仕事のために作業をする、こういう時が落とし穴になるということです。データを持ち帰って自宅で仕事をする時が典型です。

・法令遵守と言うと締め付け的に聞こえますが、そうではなく、各自が意識を高めて組織の「品格」を高めていく、そういう行為であると見るべきでしょう。

・経済学で言う「コミットメント」とは、他社が参入に二の足を踏むように初めから余剰な能力を抱えた投資を行うとか、消費者の信頼を得るために向こう10年間この規格の製品を作り続けると発表するなど、強い意思を示して他者の意思決定に影響を与えることです。

・新興国など海外市場の開拓を急ぐ日本企業は、生活環境や気候の違いから、製品が想定外の使われ方をして品質の問題を起こす可能性が高まっている。

・軍事用語で、戦いの帰趨を決めた要素を「ヒンジ・ファクター」と呼びます。ヒンジとはドアの蝶つがいのことで、それによって、ドアが表になったり裏になったりするように勝敗がひっくり返る要素です。

・最近の金融リスク管理の風潮は、料理人にたとえれば、いい包丁を揃えることばかりに目が向いて、肝心な腕を磨くことがおろそかになっていると嘆いていました。

・リスク管理のインセンティブがない理由の一つは、リスクを考えると不安になる、リスクを考えるよりもっと前向きなことを考えたいという、人間としての自然な欲求です。

・リスク管理とは、すなわち、自分にとって大事なものは何かを考えることであると言い換えることができます。

・財政赤字や人口減少・高齢化を巡る諸問題については、もはやリスクを論じる段階ではなく、いつ「臨界点」に達するのか、それまでに対策が間に合うのかというせっぱ詰った状況であると言われます。

・意思決定者にとって情報は常に不足しがちですが、それを補うのが先を読む力、洞察力、決断力です。

・大事な会議の前日は、近所のビジネスホテルに泊まり、電車のトラブルを含め遅刻のリスクを回避するという考え方も成り立ち、現にそうしている人も沢山います。



リスク、不確実性、そして想定外 (日経プレミアシリーズ)

リスク、不確実性、そして想定外 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 植村 修一
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2012/06/09
  • メディア: 新書



タグ:植村修一
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