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『日本経済の真相 「経済ニュース」はウソをつく!』 [☆☆]

・知的であるためには、「複数の座標軸(視点)を持ち続けること」が必須条件だ。座標軸がひとつしかない社会、みんなが同じようにしか考えない社会ほど、知から隔たった社会はない。

・多いほうの通貨は希少価値がないため安く、少ないほうの通貨は希少価値が出て高くなる。これはマネタリー・アプローチという考え方で、国際金融では常識である。

・大まかに言えば、日本の円の量を米国のドルの量で割ると、為替レートが計算できる。日本のマネタリーベースはおおよそ130~140兆円、米ドルは2兆円で、130~140兆円を2兆ドルで割り算すると、1ドルはおよそ65~70円だ。

・円に対してモノの量が多ければ、モノに希少価値がないということだから、モノの価値は低くなる。逆に、お金は少ないから価値が高くなる。これがデフレという状態だ。

・日本社会は物事を分けて考えることをせず、何かやると「そいつのすべてが悪い」という言い方になる。

・日本もTPP交渉に加わることが決まったが、わかりやすく言えば、TPPは合コンと同じで、参加しなければ損である。

・ギリシャは過去の200年で100回くらいデフォルト(債務不履行)をしてきた。2000年にユーロに加盟したあと、10年以上も破綻しなかったのがむしろ不思議で仕方ない。この先もギリシャ危機は何回でも起こる。

・国債が破綻する可能性の大きさにも、生命保険料と同じようなモノサシがある。「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)という金融派生商品だ。CDSは、債券を持っている人が一定の契約料(保険料)を払うことで、債務不履行のリスクをカバーする役割を持つ商品である。

・経済現象は基本的には数量的な説明ができ、感情で語るようなことではない。暴落といった抽象的な言葉で語り、その定義を明らかにしない人は信用できない。数量的な説明なしに経済現象が語られるとき、そのほとんどはまやかしである。

・100年に1度の損害なら、100年かけて負担すればいい。100年国債を発行して100年間で償還することで、地域的にも時間的にも負担が分散され、復興費用を平準化できる。

・格付けなど、大した話ではない。一つの会社が行う格付けよりも、多数の市場参加者の間でお金の支払いが行なわれて取引されているCDSのほうが今ではまともではないかと思う。

・CDSの市場があることを知らない人は格付けを見るしかなく、その意味でも知識を持つことは重要である。

・大臣ポストだけに目がくらんだ人は、大臣にはなれても、何もできずに終わってしまう。

・中央にお金をとりに行って誰かに負担をかけ、住民にいい顔をする知事はずるい。住民も負担が低いと思うから「つくってくれ」と言う。中央省庁にお金を配ってもらえると思うから、地方自治体は「いろんなものをつくってくれ」と言い出し、無駄が多くなる。

・商法の特例で、普通の人は新聞社の株式を取得することはできない。新聞が民間企業についてガバナンス(企業統治)がきいていないなどと書くことがあるが、最もガバナンスがきいていないのは新聞社だ。

・オフレコ報道では、「政府首脳」というのは官房長官、「政府高官」といえば官房副長官、「政府周辺」といえば首脳秘書官などを指すのは暗黙の常識だ。「○○省筋」は課長や課長補佐であることが多い。

・対外的に「私は○○さんのブレーンです」と言ったり、自分の考えを押し売りするのは、本物のブレーンではない。相手が求めるときだけ対応するのが、ブレーンというものである。

・新聞は正しく書いてあるように思えるが、それは自分に関係しないからわからない(正しく見える)だけだ。自分に関係している話や、自分が精通している分野の記事を注意深く読めば、「新聞はこういうふうに書くの?」と疑問を持つ人が多いだろう。

・テレビの政治番組が好きな人、それを見ることが知的だと思っている人もいるが、テレビで話されていることを真に受けていると知的にはなれない。

・「経済のことはわかりません」「洋服のことはわかりません」というとき、わからない分野について、「この人の言うことは信じられる」「この人に相談すればいい」という人を見つけておきたい。




日本経済の真相

日本経済の真相

  • 作者: 高橋 洋一
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2012/02/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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