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『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう』 [☆☆]

・お金とは、価値あるモノが存在しない環境ではなんら意味を持たない。

・国際市場で自由に両替可能な「ハードカレンシー」を持っている国はそんなに多くはないのです。普通に働くだけでそういった通貨が得られる国で生活していることの有利さは、普段は意識もしないけれども、実はすごく恵まれたことなのです。

・移民達にとって最初に住むそれらの街は「出て行くことがステイタスの街」であり、「ずっとここで暮らしたら負け」とも言える場所です。

・「かわいそう」とか「弱者を助けてあげよう」という概念自体が、ここにはありません。弱いものが強いものの糧となる、それが自然界におけるシンプルなルールです。

・私が今日、生きている理由は、明日も生きるため以外のなにものでもありません。それが生き物の人生なのです。

・タクシーのドライバーらは車の窓から首をだし、列に並んでいる客に「行き先」を尋ねながら進みます。そして彼らは、自分が気に入った行き先を告げた客だけを、選んで乗せていくのです。まさに「お客様は神様」の正反対、「労働者は神様」の国なのです。

・メディアは「ニュースバリューのある、ごく限られたイベント」だけを報じるのであって、その国の全体像を把握するのに適切な情報を流しているわけではありません。

・エジプト人の文化財監視人は、壁画の色あせを防ぐためにフラッシュの使用が禁止されている墓室内部で、「10ドル払えば、フラッシュで写真を撮り放題にしてあげる」と何度も持ちかけてきました。熱心なその様子を見ていると、千ドルも払えば一部をはがして持って帰ることさえ可能に思えました。

・独裁者、絶対権力者と、想像を絶する格差の下にある大多数の大衆の存在があって初めて、ピラミッドもタージマハールもルクソールも存在しえるのです。虫けらのように扱われた命が夢のような宝を生み、何千年も後に、それら奴隷達の子孫にあたる私たち観光客を感嘆させてくれるというわけです。

・歴史的な建造物や美術品ともいえる工芸品の裏には、無数の無価値な命がある。

・1992年頃の韓国では、「日本も、昔はこうだったんだろうな」と思えるシーンにたくさん出くわしました。それは一種のタイムスリップのような旅行だったのです。

・10年後、20年後に日本を訪れた韓国人が、「ああ、韓国も昔はこうだったよね!」と感じるのではないか、ということです。「昔は韓国もみんな紙で新聞を読んでいたよね」とか、「昔は韓国でも、誰も英語ができなかったよね」とか……。そんなことになったら哀しいと感じますか?

・「青森→羽田→<1時間以上のバス移動>→成田→欧米」と、羽田空港と成田空港の間をバスで移動させ、海外に行く地方の人のニーズを全く顧みることのなかった日本の航空行政の怠慢を突き、「日本の地方→インチョン→欧米」と乗り継げる仁川空港は、今や日本の地方在住者にとって、羽田・成田よりよほど使いやすいハブ空港になっています。

・国の経済状態はそのまま空港のレベルに反映されます。仁川空港の成功を目の当たりにした成田空港は、数年前からようやく免税店の拡充など整備を始めましたが、まだまだ「お粗末」の一言です。

・空港はその国の玄関口であり、その国の勢いを世界に示す最初の場所です。今のみすぼらしい成田空港こそ、今の日本経済の勢いを、如実に表わしているのでしょう。

・どこの国でも、国内線から発達したフラッグシップ航空会社は、「競争せずに、顧客も高利益も獲得できる環境」に慣れてしまっているのです。国内線を持たないシンガポールエアラインが「巨大なライバルと競争しなくてすむ路線」をひとつも持っていないのとは対照的です。甘えていても許されてきた各国のフラッグシップと航空会社と、常に厳しい競争にさらされてきたシンガポールエアライン。これが彼らが、「サービス世界一」の会社となった背景なのです。そしてこれは、航空市場だけではなく、シンガポールの経済的な成功の構図そのものです。

・日本もよく「日本には資源がない」と言います。でも現在の日本人にとっては、お金さえあれば資源は手に入ります。食料も同じです。でも本当に貧しくて困った状態というのは、「それがお金の問題ではなくなった時」なんだと気がつきました。食料がどんなに高くても、資源がどんなに貴重でも「お金で手に入る」のであれば、それは豊かな社会です。

・もし私が病院で治療を受けた後、隣にいたお金持ちのおじさんが財布からお金を取りだし、私の治療費の7割を払ってくれたら、私はどう感じるでしょう? それは、医療保険が7割を払ってくれる今の制度とは、大きく異なる印象になるはずです。

・「電気のない生活」というと「不便な生活」を思い浮かべるでしょう。けれど実際には、「電気のない生活」とは「光のない世界」を意味するのであって、「便利か不便か」という前に、恐怖そのものです。

・飲料水がないと私たちは生きていけません。だから水道の水が飲めない国では、常に水筒かペットボトルを持ち歩く必要があります。

・日本で炭酸飲料が売れなくなったのも当然です。「汗をかいて働く人」が炭酸飲料を美味しく感じるのであれば、日本人がそれらを飲まなくなったのは、健康志向云々ではなく、日常の運動量が圧倒的に減ったからでしょう。

・昔は炭酸飲料をありがたがって飲んでいた日本人でも、今は自国の伝統飲料である緑茶がより多く売れているように、最も豊かな国では自国の飲料が選ばれるのです。

・自由旅行と言いつつ、バックパッカー向けに書かれたガイドブックを握りしめ、そこに掲載された安宿を順番に巡っているような人もいて、あれではそれが本当に自由な旅行なのかどうか、微妙なところです。

・ロシアにおける共産主義から資本主義への転換は、日本でいえば、天皇陛下が神から人間に変わったことにも等しい大変化です。

・いつまでも「どうしよう? もう少し待ってみる?」などと悩むのが一番の時間の無駄です。自分なりの「待つ限度」を決めておくと行動が早くなります。

・お金で済むことはさっさと諦める→旅行中はお金より時間の方がよほど大事です。

・「笑顔でリクエストする」のがとても大事です。多くの人はトラブルがあると怒ります。しかし怒られると相手は嫌な気分になります。

・大事なことは、「問題解決」は自分でやった方が早いということです。なぜなら、客にクレームをつけられたホテルの従業員には、「問題を解決しよう」という気があまりないからです。彼らは何も困っていないのです。困っているのは客である自分です。だったら自分が問題の解決方法を考え、それを彼らに提示して、対応可能かどうか確かめた上で指示をする……日本以外の国では、これが最も効果的な対処方法です。

・旅の途中で誰かが話しかけてきたら、その人が悪意を持っている可能性は「かなり高い」と思うべきです(これは、渋谷駅前で見知らぬ人に話しかけられた場合でも同じです)。しかし、旅人である自分が、その街の誰かに話しかけた場合、その人がたまたま悪人であったなどという可能性は、限りなく低いです。悪い人、悪さをする準備が整っている人は、まず間違いなく相手から話しかけてくるんです。

・私は、「同じ人と偶然2回、出会う」ことも信じていません。誰かと再開した時に、「何か縁があるのかも」などと考えるのは危ないことです。旅先で偶然2回も出会ったとしたら、縁ではなく、待ち伏せされていることを疑うべきでしょう。

・今は情報が行き渡り、「日本は海外に比べて安全で清潔で食事も美味しく、モノも安くてサービスも品質もいい」と多くの人が知っています。そうであれば高いお金を払って、わざわざ海外にいく必要はありません。

・昔は輸入品に高い関税がかかっており、洋酒やブランド品を海外で買ってくることが「すごくお得」でしたが、今はそんなメリットもありません。





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  • 作者: ちきりん
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2012/05/19
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