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『ゲームの流儀』 [☆☆]

・友達は少なくていい。友達の数を自慢する人がいると「あ、この人は信用できない」と思っちゃうぐらいなんですけど。

・ピンボールってゲーム自体、カッコイイですよね。機械と対峙しながら戦ってるっていう感覚。アメリカンですよね。パチンコみたいな、小さい玉じゃない、もっとダイナミックでドラマチックな。

・いまの開発の人たちは、最初から締め切りが決まってるでしょう? たいてい開発というのは遅れますから、そのしわ寄せが結局、難易度調整に来てしまう。で、結果的にプレイヤーの技量に合わない難易度になって失敗する。そういうのは、本当によく見ますから。

・クリエイターというのは、世の中の人たちに新鮮なものを届ける――「いままでと違うね」とか「いままでグッと来たものとは違うよね」とか、そういうものを見せるものだと思うので。

・壁を破る瞬間って、やっぱり非現実的なアイディアから始まると思うんですよ。いまの枠の中でもの作りをしていると、同じものしか作れない。「バカじゃない?」と思うようなアイディアを実行するからこそ、壁を破れるんです。

・たとえば将棋を指す人たちは着物を着て指しますよね。でも、将棋を指すときは全員が着物を着ていなきゃいけないと決まっていたら、誰も将棋を指さなくなってしまう。

・いま、おばさんになっている人はゲームの進化なんて気にしていない。そういう人たちにとっては、いまのゲームのクオリティじゃなくても十分なんです。そういうことをゲームの作り手はわかっていないんじゃないか、という気がしますね。ゲームの進化を追っている人ばかりに向けて作ってるんじゃ、ゲームの世界は広がらないんです。

・たとえばカメラがどんどん技術的な進歩をして、きれいに写るようになっていますけど、もっとも大進歩したのは、誰もがカメラを使えるようになったときでしょう。誰もがフィルムを換えられて、誰もが撮影できるようになったときに、新しい潮流が生まれたわけで。

・ゲームを知っている人間はいてもわかっている人間は少ない。それは疑問を持たないから。与える立場の人間はそれなりに考えねばなりません。

・人間は環境に育てられます。環境とは何を見て育ったかというに他なりません。

・「好きだから携わっていたい」じゃダメなんですよ。授かることに慣れちゃってて。「自分たちは与える側なんだよ」というところに、意識が行かないんですね。

・「良いものを吸収しなさい!」なんて言ったら平気でパクリを正当化したり。

・ゲーム業界って、体は早熟、頭は未熟な巨人でね。「ゲームは長いほうがいい」なんて安易に考える、前のゲームが残っていれば、客は次のゲームに移らないのに。

・みんな「大作主義は良くない」って言ってるワリには、こういう冒険を絶対にしないですからね。

・日常は繰り返しの作業になりがちですけど、そこから一歩外れたら本当に未知の領域だらけですよね。

・絵描きだからといって、すべてにおいて、誰よりも上手い必要はない。

・新卒の学生を採るようになって初めて、レコード会社は産業として認知されたと言えるね。

・音楽は結局、胸に届かないと意味がないんだ。同じ作品でも、音楽に対して感動して聴く人と、情報として忘れてしまう人がいる。

・お金を払ってでも感動をしたいとは思うけれど、情報にお金を払う感覚は、いまやないと思うね。歴史はグルッと回って、モーツァルトの時代のように、音楽家は演奏してお金を稼げばいいと思う。

・長い時間拘束するという能力で言えば、ゲームは一番長けていますから。たとえば、1本のDVDを50時間見ることは、なかなかできない。

・ゲームなら50時間やらせられるパワーがありますから。50時間も濃厚なものを見させられたら、音楽も映像も活字も、全部潰せるパワーを持ってますよ。

・いまの多くのRPGは、言っちゃえば『ウィザードリィ』や『ウルティマ』の発展したシステムの上に、強引にその物語を乗っけて、どんどん相性が悪くなっているといっても過言ではない。

・武蔵美って「俺が一番だ」と思っている人たちが集まってるわけじゃん。そうすると上には上がいるってことに気付く人が、2~3割はいるんだよ。気付かない人たちが失敗して、気付いた人はディレクターになれる。

・しかも図書館向けはね、中高生に手が届かない価格帯でもオッケーなんだよ。

・そのときにすでに古いものであれば、それ以上は古くならない。

・ミリタリーの知識がやたらと多い人に。そういう知識って、普通に生きていると一生使えない。でも、これがゲームだと役に立つんですよ。

・お得感を求めて、どんどん量で勝負する時代だった。で、ついには人間の脳の限界を超えてしまうゲームが出始めるわけです。肥大化の結果として、お客さんが離れていってしまう。

・ゲームって、究極的に言えば、絵を描くというか、写生の一つなんです。現実の一部を切り取って、それを描くことがゲームデザインだと思うんですよね。その切り取り方によって、ゲームデザインが変わる。人によっては、格闘しているところを切り取って提示する。格闘ゲームは、まさにそうですよね。

・ものを作る人の典型的な考え方なんですけど、まず人ありきなんですよね。「人がいるから、ものが作れる」って考え方で、「計画に沿って人を取る」ではない。

・素晴らしい傑作のイタリアンジェラートができましたと。でもそれがその夏に売れるかどうかは、まず天候ですよね。

・みんな卒業していく。たとえば、映画は卒業しないですよね。あと音楽も卒業しない。でも、ビデオゲームは卒業してしまう。

・「他にこういう漫画はないの?」って言ったら「もちろん、探せば山ほどある」と粋な切り返しをしてきて。





ゲームの流儀

ゲームの流儀

  • 作者: 岩谷 徹
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2012/06/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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