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『「行動観察」の基本』 [☆☆]

・年配の人たちの言うことを聞いてその通りに動いても、うまくいくとは限らないということです。

・しかし、調査やデータ収集に時間と労力を費やしていると、せっかくの解決策はどんどん古びていく。

・成熟社会とは「ニーズが多様化している社会」のことを意味する。

・「十人十色」より、もはや「一人十色」だな、ということである。「一人十色」、1人の人間であっても多様な側面を持っているということである。

・明日も今日とまったく同じ日であり、それが未来永劫続くのであれば、じっくり腰を落ち着けて考えることができた。データをできるだけたくさん集め、あらゆる要素を詳細に検討し、すべてが出揃ったあとに石橋を叩いてから実行すればよかったのである。

・提供すべき価値は「製品(=モノ)」そのものというよりも、その製品やサービスが提供する「経験」である。

・業績がよくない理由について、「経済状況が悪い」と外的要因を挙げる企業もあれば、「経営層の判断ミス」と内的要因を挙げる企業もあった。興味深いのは、年次報告書で「外的要因」を挙げた企業の株価は翌年も低迷しているのに対し、「内的要因」を挙げた企業の株価は上昇している。

・自力ではコントロールできない「外的要因」にビジネスが大きく影響を受けるのが事実だとしても、外的要因に理由を求めている限り企業の業績は上向かない。

・本来、存在するのは「成果」であり、「正解」は存在しない。つまり、得たいのは「お客様に喜んでいただいた」「従業員のモチベーションが上がった」という成果である。

・「物事の本質」とは、ありきたりの解釈のことではない。ありきたりの解釈とは、常識と同義である。

・前年比5%利益が下がったことが大問題となる企業風土では、イノベーションは生まれにくい。

・根拠を完璧にそろえて、論理的に構成された情報であっても、「自分の思い」と異なる論理はその人にとっては「屁理屈」でしかないのである。

・人間には統計的なデータより、1回の経験を重視するという特性がある。この特性の影響をまともに受けるのがサービス産業である。

・QC活動で生産性を上げれば、余剰人員が生まれる。景気が良いときには、余剰人員が新たな仕事に従事し、売上はさらに増えていった。しかし、景気が悪化している状況では、生産性を上げる努力をすればするほど仕事のない余剰人員が増え、自分の職が危うくなる。これが、従業員のモチベーションを下げる要因になっていたのである。

・人間は通常「やや自信過剰」の状態にあることがわかっている。他者から客観的に評価された「自分」よりも、自分自身による「自分」への主観的な評価のほうが高い。これは「優位の錯覚」と呼ばれる認知バイアスの1つだ。

・適度に自信過剰になれない人は、自分を信じることができないため、些細なことも自分で意思決定できず、他人の顔色ばかり見てしまうことがある。

・人間は、ファクトと願望を混同しがちである。「あの人に私のことを好きになってほしいな」という願望が、いつの間にか「あの人は私のことが好きだ」という事実認識にすり替わってしまう。

・情報を分析する手法は数多くある。しかし、情報を収集する新しい方法論はほとんどない。

・これまでの分析によって成果が出ないのであれば、そもそも情報の収集に問題があるのかもしれない。

・人間の行動は、自分でも知らないうちに物理環境から影響を受けている。たとえば、気温が上がって暑くなると暴力行動が増えることがわかっている。大きな暴動も暑い日に起こっている。ニュース映像で暴動シーンを見ると、たいていは薄着であるのを見たこともあるだろう。

・人間は社会的な存在であり、社会生活において誰にどのようなことを言われるか、どう扱われるかによって行動が変わってくる。

・人間には怒り、嫌悪、恐れ、幸福感、悲しみ、驚き、軽蔑という普遍的で世界共通の7つの表情があるという。

・たとえば、話している相手が嫌悪の表情を示したとする。「今、嫌悪の感情を持ったんだな」ということはわかる。しかし、「言われた内容を不快に思ったから」なのか、それとも「声が小さくて聞き取れないから」なのかはわからない。

・そもそも、「こう考えれば、いろいろなことが説明できる」と仮説を立てることは、「世界観を創る」ことでもある。

・ビッグデータは「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」というデータを大量に、かつ継続的に集めることができる。しかし、「なぜ(Why)」「どのように(How)」という情報は得ることができない。

・重要なのは、「なぜ」という情報がわからないことである。Aさんがなぜコーラを選んだのかということを、ビッグデータは教えてくれない。

・高齢者はさっぱりとしたものを飲み、薄味の和食を好むというステレオタイプがある。しかし、この世代の高齢者は思っている以上に西洋の影響を受けている。調査してわかったことは、トーストにバターなどの洋食や、コーラや味の濃い弁当を好んで食べる高齢者がいるということである。

・高齢者は「誰かのため」という言葉に心を打たれる。森を買うことで日本人のためになるなら、ということで気前よくお金を出してしまう人がいるのかもしれない。

・高齢者は「誰かを喜ばせたい」「他者に貢献したい」のである。「人に役立つことで自分の有用感(他者から必要とされていること)を実感できること」 これが、高齢者に提供すべき価値である。

・女性が集まったグループインタビューでは、「そうそう」「あるある」と共感が生まれやすく、初対面であっても和やかなコミュニティがすぐに形成されていたが、男性はそうはいかなかった。男性が集まったグループインタビューでは、共感が生まれるよりも、「僕と君とでどちらがすごいか」という枠組みの話になりがちだった。

・高齢者が求めているのは単なる「学び」ではなく、学びとコミュニケーションの複合である「学び合い」である。

・考えていただかないといけないのは、「絶対安全な平凡さ」を選ぶのか、それとも「少し危険な香りのする大いなる魅力」を選ぶのか、という問題である。すなわち、「検証されているがありふれたソリューション」にするのか、「とんがっていておもしろいが、リスクもあるソリューション」にするのか、どちら選ぶのかという問題である。

・日本人観光客は、クラシックのようにすべて譜面に起こして、事前に何をするかという計画が決まっていないと落ち着かないかもしれないが、中国人観光客は、ジャズのように大まかなことは決めておいたうえで、あとはアドリブでこなしていく。

・「これをこうやりなさい」とだけ教えられて接客をすると、それは「作業」になりかねない。しかし、「こういうことのために、こうやりなさい」と教えられて接客すると、それは臨機応変さを含んだ「おもてなし」になり得る。

・人間は、誰かに「やらされる」のが大嫌いである。それがどれほど論理的に正しく、かつ本人のためになることであっても、「やらされる」となったとたん、やりたくなくなってしまう。

・誰かの行動を解釈するとき、私たちはその行動の原因を、性格など「その人の持っているもの」に求めがちで、状況などのような「その人が置かれている環境」を過小評価しがちである。

・マズローも、晩年には、5段階よりもさらに高次な欲求として「自己超越」を挙げている。マズローのいう自己超越の欲求は「他己実現」とよく似ていて、「他者の能力や人柄が成長することを支援する」欲求のことを指している。

・「源頼朝が征夷大将軍に任じられたのは何年か?」と問われれば、「1192年」と書かなければならない。しかし、人間が生きるうえで、またビジネスを実践するうえで、どうするべきかを考えるときに、「100%の正解」など存在しないことのほうが多い。「鎌倉時代に源頼朝がどのような政策を実施していたら、当時の世の中がもっとよくなったと思いますか」といった、正解のない問いに何らかの答えを出していかなければならないのが、現実のビジネスの世界である。

・価値を理解してもらうために最も重要なのは、「成功例を作る」ことである。どれだけネガティブなステークホルダーであっても、考え方を変えたくないステークホルダーであっても、必ず全員が望んでいることがある。それは、「成功すること」である。

・不安と危機感は、似ているようでまったく違う。プライドと自己効力感も似ているようでまったく違う。何が違うかというと、どちらも前者は「環境に適応した新しいアクションを取るのに役に立たない」が、後者は「新しいアクションにつながっていく」という点である。

・私たち人間は、物事が急激に変わることを望まない。そのため、環境が大きく変わっていても、「変わってほしくない」という願望と事実が混同され、認めないということが容易に起こる。

・戦略的競争とは、「企業は最高を目指して競争する代わりに、独自性を目指して競争する」ことである。すなわち、他者と同じ土俵で戦って最高を目指すのではなく、他者とは異なる自らの土俵を創って、そこで利益を挙げることを意味する。

・絶対に失敗をしないための確実な方法がある。それは、チャレンジしないことである。

・「考える」という営みは既存の社会が認める価値の前提や枠組み自体を疑うという点において、本質的に反時代的・反社会的な行為です。

・監督として代打に送った選手に「ストライクを狙っていけ」と言える人は、リスクを取ろうとする人だろう。反対に「ボールを振るなよ」と言う人は、リスクを回避することが強いのではないだろうか。





「行動観察」の基本

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  • 作者: 松波 晴人
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013/12/20
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