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『護身の科学 あなたと家族を暴力から守る』 [☆☆]

・人は知覚し、思い込みで判断し、感情が生まれて行動します。

・人の複雑な感情は驚き、愛、憎しみ、喜び、悲しみ、欲求の6つの組み合わせでできています。

・正義だけでは身の安全にはつながらないのです。つまり、「正義と安全は別問題である」ことを認識してください。

・人は被害者意識を持つ傾向が強く、加害者意識を抱くことはほとんどありません。

・本能的に感じる恐怖の存在は貴重です。危険を認知しながらも、「いや、気のせいだ」「いや、考えすぎだ」と直感を否定することはやめましょう。知識と経験だけの常識に翻弄されることなく、何を感じたのかを探るようにしてみます。

・常識で考えるからこそ、人は他人を疑うことをしなくなります。「他人を疑うことは失礼なことだ」という枠組みの中で、否定概念が働くのです。

・人は他人を恨み、「自分は被害者である」と思い込んだ瞬間、暴力を行使しやすくなります。

・誰からも認められなかった人が起こす犯罪は凄惨さを増します。なぜなら、マスコミに報道されて国民から糾弾されること、すなわち「注目される」ことを目的として犯行におよぶからです。

・「司法による自殺」志願者も急増しています。自殺する勇気もないため、周囲の人たちを巻き込もうとします。死刑になることを狙って、殺傷事件を起こします。

・残虐な事件を起こした犯人が逮捕されると、必ず不可解な現象が起きます。たとえば隣人たちがマスコミに登場し、さまざまなコメントを好き勝手に話します。どうして隣人たちが加害者家族以上に普段の生活や性格を知っているのでしょうか。ありえない話が平然と語られるのです。

・危険なのは、隣人のコメントの多くは顔にモザイクをかけられたり、音声を変えたりしているという点です。匿名性という立場で、好き放題に語っていきます。

・隣人たちが思ったままを無責任に語っているに過ぎないこともわかります。自分の意見をマスコミで放送したいという気持ちが優先しているともいえます。責任をもって発言するのであれば、モザイクや音声処理は必要ないはずです。

・警察の治安対応能力の悪化を指摘する住民の声もありますが、こうした声は「自分はすでに傍観者である」と自己アピールしているようなものです。治安の悪化を叫びながら、自らは関わりたくないようでは安全を手に入れることはできない。

・会社という集団は、無意識のうちにお互いに依存し、個人の責任が回避されやすい場となりがちです。有名な会社に多くの志願者が群がるのも、こうした心理が働いています。志願者は会社に一体感を感じやすく、孤独感の解消に役立つからです。弱い自分を見なくてもすみます。

・「我が社を選んだ目的とは?」「入社後は何をしたいのか」という、ありきたりの質問は好ましくないといえます。なぜなら、担当者を満足させたい質問には、満足させる答えしか戻ってこないからです。

・暴力をふるわれる妻はどんなときに逃げるのでしょうか。「二人にとって明るい未来はありえない」と悟り、恐怖心が相手への軽蔑と怒りに変貌したときこそ、どうにか別離できるようです。

・子供は日々、あなたのことをどう見ているでしょうか。子供の怒りや憎しみが限度を越えてしまうときこそ、悲劇をもたらすことがあります。

・最近では、身内による高齢者虐待や殺人事件が深刻な問題となりつつあります。子供と親の立場が逆転したとき、愛されてこなかった記憶が悲惨にも甦るのです。世話をすることを拒否し、暴力を正当化してしまうといえるでしょう。

・約束を破ったという既成事実だけを責めても、子供には何も伝わらないのです。子供に理解してもらうためには感情的にならず、自らの気持ちを素直に伝えるノウハウが必要となります。「何を伝えるのかではなく、どのように伝えるのか」というテクニックが求められるのです。

・子育てという問題を扱うとき、避けて通れない問題があります。それは多くの親が「子供のため」と思いながら、我流で接してしまうことです。

・「立派に育てたい」という親の気持ちは、「あなたのためを思って」という言葉になりがちです。このセリフが親の口から発せられるとき、子供プレッシャーを感じます。

・「あなたのためを思って」という発言は、子供のためになっているとは限りません。それよりも「親が満足する」ために発していることが多いものなのです。

・防犯カメラを何台設置していても「チャンスをものにできるという確信」があれば、録画されていようが関係ないのです。

・いじめられる条件はただ一つ、「何か」が周囲と違った存在であること。これが「ピアプレッシャー」の怖さでもあります。

・罪も罰もない世界は、子供の楽園です。「すべてが受け入れられる」と勘違いした瞬間、子供は本能のままに動き、理性的に考えることをやめてしまいます。

・自尊心が高いほど、人は暴力的になりがちです。人より優れていると感じ、その絶対的価値を誰かが脅かす、もしくは都合が悪くなったときには暴力で解決しようとします。

・人々が持つ事件や事故への関心を、マスコミは巧みに利用します。なかでもマスコミ報道は恐ろしいほど、不安や心配を書き立てるように制作されがちです。理由はただ一つ、視聴率を稼いだり、部数を伸ばせると思っているからです。

・事件や事故を「一つのトレンド」として扱えば、視聴者が飽きるまでさまざまな角度から話題を提供できるというわけです。

・マスコミ報道は、暴力をふるう側やその予備軍にも多大な影響を与えます。現在の報道のあり方は犯罪を宣伝し、奨励しているともいえます。

・予備軍に対しても、入れ知恵をしているようなものです。「犯人はこうやって犯行に及んだのです」というコメントは「このように成功しましたよ!」と歪んで伝わります。そして、「君にもやれるよ」というメッセージとして、屈折した自信と勇気を与えかねないのです。

・映画や小説ではよく、「敵に殺されるから殺す」という理由を兵士が口にします。これは想像の中での話で、作者がそう思っていることが多いものです。実際には、そう感じる兵士はいないでしょう。

・平然と人を殺傷できるのは、二つの理由が挙げられます。「殺せという指揮官の命令に従う」ことと「仲間を守るため」ということです。

・作品にしても人を殺傷するのではなく、不気味で凶暴な化け物やロボットを登場させて悪役を演じさせます。こうした配慮はとても大切ですが、根本的な問題は解決されずにいます。作品の多くで「親しい人を殺された主人公が復讐を行なう」ストーリー展開が基本となりがちです。

・主人公が犠牲者として描写されると、復讐を遂げるためにいかなる手段を使おうが「すべては正当な行為である」と子供には誤解されがちです。

・実戦は兵士にとって、最後の適性テストなのです。

・精神科医やカウンセラーといった専門家は「更生プログラムで原因を取り除けば、再犯率は低下する」と訴えます。一方、再犯者を数多く扱う警察官や刑務官たちは、反社会的なタイプなどの犯罪者には「効果は薄い」と断言しています。

・子供に必要なのは、「自分にはどうにもならない問題がこの世界には存在する」という自制心です。それが欠如しているからこそ、子供は自分が納得した法則にしか従わなくなるのです。

・最近の子は罪を認めても、自分だけが責められるのは不公平だと反論する。





護身の科学

護身の科学

  • 作者: 毛利 元貞
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2005/05/19
  • メディア: 単行本



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