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『決定力 正解を導く4つのプロセス』 [☆☆]

・人生で「こっちとあっちのどちらをすべきか?」と悩んだら、必ず「こっちもあっちも両方する方法はないか?」と考えるといいでしょう。両方ともできるケースがびっくりするほど多いはずです。

・どう見ても歌の才能なんてないのに、テレビのオーディション番組で歌を披露しようとする哀れな参加者もいる。審査員から厳しいフィードバックを受けると、彼らはショックを受ける。そして絶望する。正直なフィードバックをもらったのが、人生で初めてなのだ。

・買い物リストは、忘れっぽさという欠点を補うものだ。そして、「忘れるな、忘れるな」と一生懸命念じるよりも、ずっとうまい解決策なのだ。

・私たちは自動車に乗っている時間の95パーセントを直進に費やしているが、運命を決めるのは曲がり角なのだ。

・より賢明な意思決定を下すためには、次のWRAPプロセスを使うといい。(W)選択肢を広げる。(R)仮説の現実性を確かめる。(A)決断の前に距離を置く。(P)誤りに備える。

・この二種類のカテゴリー(決意表明と「~べきか否か」形式の意思決定)だけで、ティーンエイジャーの意思決定の約65パーセントを占めていた。つまり、ティーンエイジャーが「意思決定」すると言うときには、実際にはまったく選択なんてしていない場合が多いわけだ。

・そうして「~べきか否か」形式の意思決定は失敗しやすいのか? ひとつの選択肢しか見ていない経営者は、「この選択を成功させるためには? 同僚の支持を得るには?」とばかり考えている。この時、「もっといい方法は? 他に何ができるだろう?」という重要な問いはすっかり忘れられている。

・目標を実現する最初のステップは、「~べきか否か」形式の意思決定を疑うようにすることだ。「~べきか否か」というフレーズを見聞きしたら、頭の中でちょっとした警報ベルが鳴り、「視野の狭窄に陥っていないか?」と考えられるようになってほしい。

・視野を広げるちょっとした努力をするだけで、たいていは思っていたよりも選択肢がたくさんあることに気づくはずだ。

・適性を考慮に入れれば、その人の生涯収入は出身大学によって変わらないという事実を聞くと、やはり親たちはショックを受ける。つまり、イェール大学に入学できるくらいの頭脳があるなら、イェール大学に行こうが、もっと学費の安い州立大学を選ぼうが、(収入という観点でいえば)あまり変わらないのだ。

・大学に進学する高校三年生が考えるべきなのは、「自分が入学できる最上位の大学はどこか?」ではない。むしろ、「人生に何を求めるのか? そのために最適な選択肢は?」と問うべきだ。

・ステレオを買おうとしていた。気づけば、1000ドルのパイオニアにするか700ドルのソニーにするかで決めかね、すっかり凍りついてしまっていた。販売員が近寄ってきて、こう訊ねた。「こんな風に考えてみてはどうでしょう。パイオニアを買うか、ソニーと300ドル分のアルバムを買うか?」、この問いかけで、思考の渋滞は一気に解消した。彼はソニーを買うことに決めた。パイオニアの豊富な機能は魅力的だが、300ドル分のアルバムには勝てない。

・別の選択肢があることをほんのちょっと匂わせるだけでも(「このお金で別のものが買えますよ」)、購入判断を改善するには十分なのだ。

・他の選択肢を無視していると気づいていなければ、選択肢を探そうとは思わない。実際、視野の狭窄に陥っていることに単に気づいていないケースが多いのだ。

・集中力は選択肢を分析するのには役立つが、見つけるのには邪魔になる。

・ひとつだけ確かなのは、「そのお金で他に何が買えるかを考えもせずに」買うのは、悪い判断だということだ。

・もうひとつ、視野の狭窄かを抜け出すためのテクニックがある。それは「選択肢の消去テスト」だ。今考えている選択肢がどれも「選べない」とする、他に何ができるか?

・人々の選択肢を奪う変わり者のランプの精は、一見すると残忍卑劣に思えるが、本当は優しい心の持ち主なのかもしれない。選択肢を奪うのは、相手のためになることもある。広い風景の中のほんの一点しか見ていないことに気づかせてくれるからだ。

・人生で「AかBか」と迷ったら、答えは「両方」かもしれないと考えるずうずうしさが必要だ。

・類推を用いなかった研究室は、時間のかかる力ずくのアプローチを使わなければならなかった。類推を用いれば(自分と同じ問題を解決した人を見つければ)、世界中の解決策のメニューの中から、好きなものを選べる。

・企業が公開企業に対して支払う買収プレミアムは平均で41パーセントだ。人間の言葉に翻訳すると、買収するCEOは相手側のCEOにこう言っているようなものなのだ。「私なら君の会社を少なくとも41パーセントは効率的に経営できるんだがね」。ご想像の通り、これは根拠のない自信であることが多い。

・有名な出版物にCEOを称賛する記事が載ると、そのCEOが支払う買収プレミアムは4.8パーセント上昇した。よいしょ記事ひとつで、1億ドルの買収につき480万ドルも支払う額が増えたわけだ。ここに、起業家向けの重要な教訓がある。自社を売却しようとしているなら、絶対に『フォーブス』誌の表紙に載っている人物に連絡すべきだ。

・私たちはこういう懐疑的な会話を積極的に求めるより避ける傾向があるが、これこそ短期的な思考の表われなのだ。反論されるという一時的な不快感を避けようとするのは理解できる。でも、間違った意思決定に目隠しで突っこむよりは、マシな痛みだろう。

・誰が正しいかなんて議論するのはやめよう。むしろ、一つのひとつの選択肢について、「この選択肢が正解であるためにはどのような条件が必要か」を考えてみよう。

・「どのような条件が必要か?」という質問が、彼の戦略の最重要要素になった。

・一番気乗りしない選択肢が、実は最善の選択肢だったとしたら? どのようなデータが揃えば、そう納得するだろう?

・同僚の言動がどんなに不愉快に思えても、善意でそうしていると考えるわけだ。悪意を仮定すれば、怒りが湧いてくる。でも、その怒りを取り払って善意を仮定すれば、楽しくなる。基本的に、「あの人たちは私に聞こえているのとは違う意味で言っているのかもしれない」と思えるようになるから。

・一流の専門家でさえ、予測は基準率の知識よりは劣るということなのだ。信頼できる情報がほしいなら、専門家(あなたより経験豊富な人物)を見つけろ、ただし、訊くのは過去と現在の話だけにとどめよ、未来について訊いてはいけない。

・ウーチングとは、小さな実験を行なって自分の仮説を検証することだ。

・頭から飛びこむ代わりに、まずつま先を付けることにした。「オール・オア・ナッシング(やるかやらないか)」ではなく、「リトル・サムシング(ちょっとだけやってみる)」を選んだわけだ。

・入学する前にその職業を試してみるという考え方は、一見すると当たり前に思える。それでも、毎年無数の学生が、こんな実験もしないで大学院に進学している。法律事務所で1日も過ごしたことのないロー・スクールの学生もいれば、病院や診療所で1日も過ごしたことのないメディカル・スクールの学生もいる。自分に合うかどうかもわからない仕事に就くために、3年や4年も学校に通うなんて想像できるだろうか。

・ウーチングは予測に代わる手段を与えてくれる。それは現実を予測するのではなく発見する方法だ。

・計画よりも実験を好む気質こそ、起業家と企業経営者の一番大きな違いの一つである。企業経営者の大半は予測を好み、「未来を予測できれば、未来をコントロールできる」と考えているようだ。一方、起業家は積極的な実験を好み、「未来をコントロールできるなら、予測は不要だ」と考えている。

・陸上コーチが、男子4×100メートルのリレー。チームのメンバーを選抜するために、二種類のテストを行うところを想像してほしい。テスト(1):トラックを走らせてタイムを確かめる。テスト(2):会議室に呼んで、俊足ランナーらしい受け答えをするかどうかを確かめる。アメリカのビジネス界の採用プロセスのほとんどは、テスト(1)よりもテスト(2)に近い。なんてこった!

・どうやら面接でわかるのは、面接の能力だけのようだ。

・面接の出来がいい人ほど仕事ができないという例が多い。

・ウーチングするということは、「実験できることをなぜ予測する必要があるのか?」「理解できることをなぜ推測する必要があるのか?」と自問することだ。

・自動車販売のコツは顧客に考えさせるのではなく感じさせることなのだと気づいた。顧客がどの車に興味を持ったかをじっくり観察し、運転席に座るよう言いくるめる。そうしたら、キーを取りに行って、試乗を勧める。「ハンドルの感触さえ覚えさせれば、契約を結んだも同然だ」。

・10・10・10では、意思決定を3つの時間枠で考える。その決断について今から10分後にどう感じるだろう? 10か月後は? 10年後は?

・実はあなたは自分の顔をあまりよく知らない。あなたがよく知る自分の顔は、鏡に写った顔だ。もちろん、あなたの家族や恋人が見る顔とは左右が逆だ。

・慣れたものが好きということは、必然的に現状が好きということだからだ。

・会社の方針転換を提案すれば、人々はふたつの感情を抱くだろう。ひとつは、「今までとは違うのでやりづらいな」という感情。もうひとつは、「今までのものがなくなってしまうのか」という感情。単純接触効果と損失回避とふたつの要因が絡み合うと、現状維持を好む強烈なバイアスが生まれるのだ。

・個人的な決断をするのに一番強力なのは、「親友が同じ状況にいるとしたら、なんとアドバイスするか?」と自問することだろう。

・1時間おきにタイマーをセットして、タイマーが鳴るたびに、「私は今、一番しなければならないことをしているだろうか?」と自問するのだ。

・石油市場の状況に応じて、エクソンモービルの株価が1株あたり50~100ドルの間に収まると予測したとする。現在の価格が90ドルなら、彼は投資を行わない。右側のブックエンドに近すぎるからだ。上がる余地は少ないのに、下がる余地は多い。

・個別株に投資するのは、大多数の人々にとって負け試合なのだ。というのも、午前3時に起きてせっせと分析を始める、フルタイムの専門家と戦うことになるからだ。しかも、それだけやっても、株式の96パーセントは単純なインデックス・ファンドよりも劣るのだ。

・現実の世界に生きる私たちは、結果に「賭けて」いるわけではない。「懸けて」いるのだ。

・RJP(Realistic Job Preview=現実的な職務内容の事前開示)が成功したのは、「予防接種」効果のおかげのようだ。働きはじめる前に「少しだけ組織の現実に触れさせる」ことで、ショックや失望に対して予防接種を提供するわけだ。おかげで、新入りのカスタマー・サービス担当者は、コール・センターに激怒した男性から電話がかかってきてもびっくりしない。想定内だからだ。

・採用されたのだからしょうがないという気持ちで、漫然と働いてもらっては困るのです。

・この自動操縦のサイクルを止めるのは難しい。それが自動操縦のそもそもの目的だからだ。私たちは自分の行動について考えない。過去の選択の延長線上をぼんやりと進んでいる。そして、針路を変えられるということを簡単に忘れてしまう。

・あなたの周りにも、ずっと自動操縦にはまり込んでいる人がいるだろう。たとえば、何年も前から小説を書きたいと話しているのにちっとも書こうとしない友人が、誰にでもひとりくらいはいるはずだ。

・手塩にかけてきたプロジェクトの失敗をなかなか認めようとしない経営者、ある時点を過ぎると、粘り強さという美談が、現実の否定という悪徳に変わる。

・小分けにすることで、私たちが慎重に消費するようになることを発見した。ひとつ消費するたびに、続けて消費するかどうかを意識的に決断しなければならなくなるからだ。

・お金を1枚の封筒に詰め込むのではなく、10枚の封筒に分けて入れると、ギャンブルに使う額が少なくなることがわかった。

・パイロットは「リーマー」に注意を払うよう教育されている。リーマーとは、はっきりとした理由はないけれど何かがおかしいという漠然とした感覚だ。このような感覚に名前を付けることで、正当性が高まり、パイロットは無視しにくくなる。このふとした気づき(「あっ、これはリーマーだ」)によって、自動操縦から手動操縦へと、つまり無意識の行動から意識的な行動へと、頭がすばやく切り替わるわけだ。

・最初の交渉段階で手間取ったとしても、それを帳消しにするくらい大きなメリットがあるかもしれない。つまり、実行がスムーズになるのだ。教育長は独断で即決することもできる。だが、学校運営者や教師に受け入れてもらえなければ、実行段階で立ち往生してしまうだろう。

・どこに時間をかけるのがよいのか? 交渉に先行投資するのか、それとも後で抵抗勢力と戦うのか? ひとつ言えるのは、交渉は賛同者を生み出すということだ。

・彼は単に話を聞く以上のことをしている。「私は相手の見解を相手以上に的確に言い直すようにしています。そうするとようやく安心してくれます。聞いてもらえていると実感しますからね」と彼は話す。相手の考え方を相手以上に的確に述べることができれば、真剣に聞いているという事実上の証になるわけだ。

・短期的な後悔は「するべきではなかったのにしてしまったこと」に向けられるが、長期的な後悔は「しておけばよかったのにしなかったこと」に向けられる。





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