SSブログ

『この世には二種類の人間がいる』 [☆☆]

・短歌は「うたう」と言い、俳句は「ひねる」と言う。

・服を選んでいる時、「このお洋服、人気があるんですよ。よく売れています」と言う店員がいる。「みんなとおんなじ」を、さも、いいことのように言うなんて、イヤなセールス・トークだ。

・こういう気くばりを「ありがたい」と思う人の方が多いだろうが、私は完璧に「うるさい」と思った。

・にぎやか!! 君にはあれが「にぎやか」に聞こえるんですか。あれは「うるさい」というんです!!

・映画『猿の惑星』のサルは日本人をモデルにしたものというのは有名な話だが、やっぱりアメリカ人から見たら東京はハイテク版の「猿の惑星」なのか。

・日本人の不思議な孤独感に触れたように思えてきた。パチンコ、カラオケ、ゲームセンター、この三つとも騒々しいのだけれど、一人一人はすごく内向きというか、内側に籠った感じが強い。

・悪口めいたことを書く時は、面と向かって言えると確信できることだけを書こう。

・ハゲはハゲることに悩むのではない。きれいにハゲ揃わないことに悩むのだ。

・ハゲ揃わない頭部は確かに他人を落ち着かない気分にさせる(荒地を秩序正しく整地したいという農耕民族的本能がかき立てられるのか?)。

・何か電光のように「自分の時間を過ごしていない」という言葉がひらめいてしまった。その場の空気とか他人の興味に合わせてしゃべったり座持ちをしたりするのが、つくづく馬鹿馬鹿しく、時間が惜しく思われてしまったのだ。以来、平気で人づきあいが悪くなった。

・「お皿の裏は女の命」って言ったのよー。お皿の裏までちゃんとキレイにするかどうかで女の値打ちが決まるんだって。

・日本はコンセントリックな国で、エキセントリックな人間が育ちにくい。

・コンセントリック(concentric)というのは耳慣れない言葉だけれど、「同心円的な」「集中的な」という意味らしい。これの反対語がエキセントリックで、もともとは「離心円的な」「中心から偏った」「偏心の」という意味。そこから「常軌を逸した」「風変わりな」「普通でない」というニュアンスで使われるようになったらしい。

・一円でもトクをしたいという人心につけ込んで、あの手この手のサービス合戦が展開されるようになった。頭のいい人にとっては選択肢が増えて幸いなのだろうが、頭の悪い人にとっては、これ、キツイよ。一人一人がちゃんと考え、決断しなくてはならない。面倒が増えたとしか思えない。

・自分のせこい「ホンネ」を野放しにすると、醜い(とは言わないまでも美しくない)人生しか送れないような気がする。

・世の中の真面目な議論の多くは「それがどうした」でナンセンス化してしまうものだ。

・日頃おとなしい人の方が、ケンカになると案外しぶとく強いものだ。先に折れて出たりはしない。相手に謝らせる。

・世の中には二種類の人間がいる。ペットを飼っていい人とまずい人の二種類だ。悲しいかな、私は後者の方らしいという自覚がある。しかし、世の中にはそういう自問もせず、自覚もない人の方が多いようだ。自分の都合で、平気で犬を棄てたりする。





この世には二種類の人間がいる

この世には二種類の人間がいる

  • 作者: 中野 翠
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本



タグ:中野翠
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0