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『魔術から数学へ』 [☆☆]

・「数式のいらない数学」というのは、ちょっと難しい。書けないわけでもないだろうが、かなり難しくなってしまう。数式というのは、理解を助けるためにあるので、数式なしのほうが難しくなってしまうのだ。

・人間というものは、ウッカリしたときこそ、無意識を含む本心が顔を出す。

・ウッカリしたとき、人は子供や中世人でありうるのだ。

・「士」と「師」とはどう違うのかという問いに、だまされたい人間をだますのが「師」で、だまされたくない人間までだますのが「士」だと、卓抜な学説を唱えたやつがおった。

・人間は、とかくネズミ算に弱い。ネズミの増加が、急速に弓なりに増えはじめるのに、人間の頭は物事をまっすぐに考えたがるようにできているからである。

・17世紀というと、日本でも関孝和がいて、近代数学に匹敵する和算を展開していた。にもかかわらず、和算は精緻へと進むにしても、近代数学のような成熟をとげなかった。

・逆二乗法則というと、光度についての法則がある。点光源から放射状に光が拡がるとき、離れた点での光度は、距離の二乗に反比例する。一点から発した光が放射状に拡がるとすると、波面としての球面が考えられる。ところが、原子論者ニュートンは、光の粒が拡がっていくと考えていたから、この光は球面に粒が撒かれていると考えると、当然にその強さは、球の表面積に反比例する。





魔術から数学へ (講談社学術文庫 (996))

魔術から数学へ (講談社学術文庫 (996))

  • 作者: 森 毅
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/11/05
  • メディア: 文庫



タグ:森毅
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