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『キウイγは時計仕掛け』 [☆☆]

・わからないのに、わかった顔しないで、紛らわしいから。

・アルキメデスが天才と言われるのは、彼がギリシャ的な枠組みの中でなしたことが、その時代に反するにいたったからである。

・レポータが物知りでは逆効果なの。なんにも知りません、わかりません、私、超馬鹿なんですっていう顔しとる方が、話し手も、説明が丁寧になるし、あと、視聴者にも受けるんだがね。この子、馬鹿だなぁって、それに比べたら自分はまだましだと安心するわけだ。

・反対する方が、まあ、角は立たんでね。安全のためには、全部止めるっていうのが手っ取り早いしな。反対だって言っとけば、表立って誰にも怒られんし。

・みんなで考えようって、よく言うよね。みんなで考えても、しかたがないのに。もっと、考えるべき人がきちんと考えた方が良いと思う。

・政治家は頼りないでなぁ。なんでも大丈夫だって言う奴か、なんでも反対する奴か、どっちか。

・みんな喜んでやっているけど、利用されているって、どれくらい気づいているのかしら。私はやらない。利用されるよりは、利用する側に回りたいから。

・学生の頃に、質問にどぎまぎしてしまったのは、まだすべてが自分から発したものではなかったからだ。答えられないのは、自分の不勉強を晒すことだった。今は、もし答えられない質問が来たら、それは素晴らしい課題に出会えたと素直に歓迎できる。

・省エネ技術が最先端になっている、という物言いも不思議だ。もうかれこれ百年も続いている大きなテーマであるし、技術というものの大半が、そもそも省エネ目的だと言っても良いくらいなのである。

・マスコミを利用した売名行為も、しかし、一つのやり方である。それが悪いわけではない。格好は悪いが、手っ取り早い手法にはちがいないし、そういったことに価値を見出す方面もないわけではない。

・ユークリッド幾何は、表面上は少なくとも「数量」を拒否した。スコラ哲学で問題になるような、「砂と石」の対立を回避する体系は、そうして作られたものだった。数量の拒否によって作られた幾何学において、数量の支配を象徴する座標概念の萌芽があったこと、これはまことに逆説的なことだ。

・冷静になって考えてみると、非常に答えやすい具体的な質問だった。抽象的な質問ほど、答える者のレベルが表れるから、難しいものだ。

・人から嫌われるかもしれないという小さな損を、自分が我慢するという小さな損と交換しているだけのことなのだ。どちらも、小さな損だ。交換する必要などない、という考え方ももちろん成り立つだろう。

・彼女はそれを、最初の犯罪で学んだのだろう。自分でやるよりも、人を操った方がずっと簡単だと気づいたのだ。

・それはわかりません、とは答えない。わかっていることを繰り返し述べ、それ以外については、今後の課題とさせていただきます、と返答するのだ。

・誰かが死んでも、誰かがそれを補って、すべてが回っていくのだな、と思った。そのために人間が大勢いて、それこそが集団の力、つまり人間の力なのではないか、と頼もしく感じるのだった。

・真実は、推論の中から生まれるんじゃない。現実の観察から明かされるものだ。





キウイγは時計仕掛け (講談社ノベルス)

キウイγは時計仕掛け (講談社ノベルス)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/07
  • メディア: 新書



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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/06
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