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『PSYCHO-PASS』 [☆☆]

・この都市の完璧さは、いくつもの「失敗」を抱え込むことによって成立している。たとえ失敗に見えても、それが都市を運営する側の計算に組み込まれているのならば、完璧さに傷をつけることはない。

・成しうる者が為すべきを為す。

・生活に不必要なものを売り買いする豊かさが許されている国は、もう数えるほどしかない。

・善良な市民もさ、蔑む相手が必要だしな。「真面目にやっている私たち」という実感が成立するには、比較対象が必要だ。廃棄区画と、その住民が役目を果たしてくれる。

・ドラッグは金になる。中毒にして洗脳すれば、相手の人生を奪うことができる。こちらの言いなりで預金を全額引き出させて、携帯情報端末のデータや戸籍情報までいただく。

・違和感は頭痛と同じで、他人と共有することができない。

・ネットって、ものを調理するための刃物とか、記録するための紙とか、そういうレベルのものじゃないですかね。良い悪じゃない。「そこにもうあるんだから受け入れる・使う」っていう。

・最初はね、エンピツ削りには小さなナイフを使うことが多かった。しかしそれだと、些細なミスで指を切ることもある。……で、専用の器具が発明された。……人間にできて動物にできないことが山ほどある。そのうちの一つが、「安全の制御」だ。人間はどんなものにでも安全装置をつけてきた。

・ここにいる人々の、すべてがそうだ。何も気付かず、何も語らず、そして何も考えない。ただ何かの抜け殻のように生きて、やがて陽に照らされた氷が解けるように消えていく。

・曰く、人間は心の暗部、内に秘めた残虐性を正しく自覚することで、それを律する良識と理性、善意を培うことができる。

・彼は手段より目的に重きを置く本物の人格者でした。

・スタート地点はその程度でもまあいいんですが……復讐っていうのは犯罪行為の動機としてはとてもつまらないですよね。願わくばそのさらにその向こう側の意義を見いだして欲しいものです。

・自覚がなければ反省のしようもない。やはり君にこれ以上の成長は期待できないようだ。

・この女の生涯は野獣に似てあわれみに欠けていた。死んだ今は野鳥程度のあわれみが似つかわしい。

・たかが機械の故障で、一時的とはいえ、あなたは社会性を失ってしまう。自分の生活をそこまで電子的な装置に委託しているのに、サイボーグではないと言っても説得力はありませんよ。あなたにとって携帯端末はすでに第二の脳だ。

・カリスマ性には三つの要素がある。「英雄的・預言者的資質」。あるいは「一緒にいて気持ちがいいという、シンプルな空間演出能力」。そして「あらゆることを雄弁に語るための知性」。この三つだ。

・「最も狡猾で、いくら狩り殺しても絶滅の心配がない動物はなんだと思う?」「人間でしょう」「簡単すぎたな」

・ここまで手間暇かけた細工を用意して、ビジネスだとしたら割が合わない。だが娯楽が目的なら話は別だ。採算なんて考えないさ。

・デカルトは、決断できない人間は、欲望が大きすぎるか悟性が足りないのだと言った。

・報告書で重要なのは、誠意と説得力だ。自分がどれだけ真面目にやっているか、どれだけ冷静に事件に対処できたか──相手を説得するように書くのが本当に美しい報告書というものだ。だからそこには多くの「言葉」がなければいけない。人間が苦労して手を動かした、という事実が重要なのだ。



小説 PSYCHO-PASS サイコパス (上)

小説 PSYCHO-PASS サイコパス (上)

  • 作者: 深見真
  • 出版社/メーカー: マッグガーデン
  • 発売日: 2013/02/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)





・社会には害のない程度の、中途半端なやつら。

・エリートコースといえば聞こえはいいが、要するにサーカスに飼われている猿みたいなものだ。いい餌をもらっているぶん、きつめの芸を要求される。

・「一つの失敗もない完璧さ」などありえない。「失敗を成功に見せかける完璧さ」ならばありえる。

・システムとはね、完璧に機能することよりも、完璧だと信頼され続けることの方が重要だ。

・君たちはシステムの末端だ。そして人々は末端を通してのみシステムを認識し、理解する。よってシステムの信頼性とは、いかに末端が適正に厳格に機能しているかで判断される。

・実現可能でなければ脅迫は意味がない。

・理解を超える事態に遭遇すると、人間は「極論」を求める心理傾向が強いという。冷静さが求められる状況でも、「わかりやすく」「単純に二元化された議論」に飛びついてしまうのだ。つまり、追い詰められれば追い詰められるほど、「お前は敵か、味方か」といった話しか通用しなくなる。

・本はね、ただ文字を読むんじゃない。自分の感覚を調整するためのツールでもある。調子が悪いときに、本の内容が頭に入ってこないことがある。そういうときは、何が読書の邪魔をしているか考える。調子が悪いときでも、すらすらと内容が入ってくる本もある。なぜそうなるかを考える。――精神的な調律、チューニングみたいなものかな。

・文明が発展すればするほど、体を鍛える必要性は減少していく。だからこそ「やっている人間」は、特殊状況において「やっていない人間」を圧倒できる。誰もやらないことをやる──それが、優越性の確保につながる。

・人間は器用なものだと思う。自分の責任を回避するための努力を無意識的に行うことができる。

・システムを否定して、そのかわりになるものを私たちは提案できるんですか? 壊すのは簡単です。難しいのは、作り出すこと。そして維持すること。

・正解はない、あるのは妥協だけだ。

・こいつはご主人様と犬のボール遊びだ。犬の立場で吠えたり逆らったりしても折檻されるだけだからな。だったら身の置き所を変えるんだよ。犬でもご主人様でもない、第三の場に。ボールだよ。ただ投げられて、弾んで転がるだけのボールになりきる。無様に見えるかもしれんが、実は一番傷つかないし、疲れない。それが賢い立ち回りってもんだ。

・記録として残されているものは、すべて現状の社会の成立が必然だったと保証するものばかりです。他の制度や思想が成り立っていたかもしれない可能性を示唆するものは、すべて「なかったこと」にされている。

・――世の中には、フィリップ・K・ディックを一冊も読まないまま死んでいく人間もいる。そのことが、なんだか不思議に感じられた。こんなに退屈な世の中。面白いことなんて数えるほどしかないのに。

・法が人を守るんじゃない。人が法を守るんです。



小説 PSYCHO-PASS サイコパス (下)

小説 PSYCHO-PASS サイコパス (下)

  • 作者: 深見真
  • 出版社/メーカー: マッグガーデン
  • 発売日: 2013/04/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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