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『新版 俳句のひねり方』 [☆☆]

・俳句に季語がはいるようになったルーツは、俳諧にもとめられます。俳諧とは、招かれた客が、五・七・五と上の句をよみ、それに対して、七・七と主人が下の句で応えていくという文芸です。この場合、上の句の五・七・五で、招かれた客は、招いてくれた人へあいさつを送るのです。日本人はあいさつするときには、「お寒うございますね」などと、季節感を入れますが、それを表わすために、俳諧では、この上の句に季語を盛り込んだのです。

・季語は、作者と読者の共同理解の場を作るための言葉なのです。ですから、季語は俳句からどうしてもはずせないわけです。

・十七文字は相撲の「土俵」、季語は「まわし」といえましょう。相撲は土俵がないと勝負になりません。しかし、まわしをつかまなくとも、押し出しや突き出しなどの奇襲戦法で勝つこともできます。とはいえ、いつも奇襲ばかりでは、勝率は上がりません。

・俳句が上達するには、あれこれ考えず、一日一句作ってみることである。

・あくびがでるまで「モノ」を見つめれば、すべて俳句の材料になる。

・画家は、キャンパスに絵筆を走らせている時間より、描こうとするものを見つめている時間のほうが長いといいます。それは、自分が描くものの本質を確実にとらえるためです。俳句を作る場合も、これと同じことがいえます。

・俳句では、感情を表現する言葉を直接使うことは禁物です。「寂しい」とか「苦しい」とストレートに表現してしまうのは、手品の種あかしをしているのと同じことで、新鮮な感動が伝わらなくなるからです。

・動詞は句を説明的にする。俳句では「一句一動詞」が原則。

・動詞には名詞のような完結性がなく、つねに他の言葉とつながってはじめて成り立つ言葉ですから、十七文字の短い形式のなかに二つも三つも動詞を入れると、だらだらと意味がとぎれず説明的になってしまいます。

・一句できて、どうも雑然としている、落ち着かないと思ったら、動詞の数を調べてみましょう。動詞を使いすぎていることが少なくないはずです。

・「一句一切れ字」が原則。句を見直して、なければ、あえて入れてみる。

・俳句とは、言葉を選んで並べるだけの芸術です。言葉をすこしでも多く知っていたほうが、知らないより有利なことはちがいありません。





俳句のひねり方

俳句のひねり方

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ごま書房新社
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 単行本



タグ:楠本憲吉
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