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『聞く力 心をひらく35のヒント』 [☆☆]

・避難所の人たちは、話をする相手がいない。なぜなら、家が壊れた話を訴えたところで、みんな同じ目に遭っているから、誰も驚かないのです。誰も親身になって耳を傾けてくれそうな状態ではないというのです。

・むさぼらない。どんなにお腹が空いていても、人を押しのけて料理を取ろうとするなんてみっともない。人生も同じだ。

・どんなに欲しいと思っても、まわりを押しのけて手に入れようなんて下品な真似をしてはいけない。

・もし人が、「常に同じもの。常に最上級のもの」を、演奏や舞台や料理に望むなら、それはコンピューターやロボットに任せればいいはずです。そんなことを誰も望まないのは、うつろいやすい人間の本質を味わいたいからです。

・人はそれぞれに、それぞれの人に向き合う顔がある。逆に言えば、一人に対して自分のすべてを見せているわけではない。しかし、向き合っている相手からしてみれば、自分に向けられている顔がその人のすべてに見えてしまう。だから、自分の知らない「思いも寄らない顔」を発見したとき、ショックを受けるのではないか。

・もし人が、誰を相手にしても三百八十度の自分をすべて見せてしまったら、早晩、飽きられてしまうのでしょう。いつまで経っても未知の部分があるからこそ、その人に対する興味が尽きることがないのだと思います。

・ただ聞くこと。それが相手の心を開く鍵なのです。

・日本語の肯定か否定はは、欧米の言語などと異なり、文章の最後に決定されるんですね。つまり、相手の反応を窺いながら、自分の言うことを決められるという、まことに便利な言語のつくりになっているというわけです。こうした言語のつくりのせいか、日本人はとかく、自分の主張より、とりあえず相手やまわりの状況を見てから自分の意見を決める傾向があるように思われます。

・ある人に教えられたのは、「相手の言っていることがわからなかったら、こう聞けばいいんだよ。「Please be more specific」ってね」。つまり「具体的に」という意味ですが、こういう問いかけのしかたなら、私の英語力の欠如を知られることなく、しかも最初の答えよりわかりやすく答えてくれるはずだというのです。

・相づちとは、燃えさかる薪ストーブの火を、じっと見守って、少し弱くなりかけたときに、ときどきあおぐ団扇のようなもの。

・離婚というのはね、互いに忙しければ、しない。暇なときにあれこれ余計なことを考えるから離婚するんです。

・よく人は、「あなたの気持ちはよくわかる」と言いますが、他人の気持ちがそう簡単にわかるはずはない。だから人に対して、「わかる、わかる」と安易に言うものではありません。そして、「わかる、わかる」と言うような人のことを、たやすく信頼してはいけません。

・一見、躁病的軽薄に見えるこの話の中に、実は奥深い意味と象徴を見つけることのできる読者と、それができない読者とがいるでしょう。





聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)

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  • 作者: 阿川 佐和子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/01
  • メディア: 新書



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  • 発売日: 2012/01/20
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