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『他力本願 仕事で負けない7つの力』 [☆☆]

・どこかで誰かが戦っているというリアリティーがなければ、人間は平和を実感できない。そこで、ショーとしての戦争が延々と行われているのである。

・世の中では多くの人が実に様々な仕事をしているが、結局は本質を見極めながら仕事をする人と、そうでない人の二種類に分けられる。

・本質を見極められた人だけが仕事にイノベーションをもたらすことができる。なぜなら本質を知らない人には、革新すべき点を見出せるはずがないからだ。

・長編アニメーション大作は、実制作期間だけでも三年以上に及ぶ場合がある。それだけの時間を経過すると、映画公開時の世相がどのようなものであるかを、企画段階で正確に予想するのは難しい。だから、数年の時間経過ではビクともしないような普遍性が、アニメーション映画には求められる。

・何かの企画を立ち上げる人間には、物事を面白く語れる資質が必要だと思う。

・人間には二つのタイプがある。一つは話題をまとめていくタイプ。もう一方は話題を広げていくタイプである。話題をまとめるのは、いくつか出たアイデアから選択していく、という意味である。これはそれほど難しいことではない。何と言ってもアイデアを広げていく人間の方が貴重なのだ。

・食事が喉を通らないほどショックを受けることがあっても、そのまま餓死してしまう人は稀だろう。

・人間の妄想は現実の世界から切り離された場所では生まれない。もしも、ある人間が完全に妄想だけで映像を作ったとしたら、今度はそれを見る側に何が描かれているのか、理解できなくなるだろう。

・巨大ビル群の中に立って、上を見上げたら、はるか高い場所にビルに切り取られたほんの小さな空がぽっかりと開いていた。その時、「そうか、僕が立っているのは、無数のビルが作り出した深い谷の底なんだ」という実感を得たのである。

・妄想力のある人間は、想像力ゆえに人一倍恐怖心が強いものなのだ。

・途中で投げ出すくらいなら、初めからやらなければよい。その見通しが大切だ。

・人間には高い表情読み取り能力が備わっている。パソコンの文字を組み合わせただけで、人が泣いていたり、焦っていたりする様子を描ける絵文字も、その能力のたまものである。

・何の変化もない毎日を、ただ生きるために生きるという、閉鎖的な日常を送っているのである。

・かつては『エイトマン』のようにタバコでエネルギーを補給していたヒーローがいたかと思うと、隔世の感がある。

・世の中には「大作」と呼ばれる映画が数多く存在する。その内実は何かというと単に「お金をたくさん使った」ということだ。

・ある場面で三つの音が必要だとしても、百もの選択肢から選ばれた「三」と、最初から三つしか選んでいない「三」では三の重みが違うということだ。

・何が日本に足りないのか。それは、一人のスタッフが一つの仕事にかかわれる時間の長さだ。日本では一つ一つの仕事の単価が安いので、おのずとスタッフは多くの仕事をこなさなければ暮らしていけない、という事態となる。

・音響制作は、場面に音を付けていくだけの作業が延々と続く退屈極まりない仕事なのだ。好きだから務まるものではないし、理想がなければ務まらない。彼らの脳内には理想の音がいつも響いていて、それに近い音を創作しているのだろう。

・「反戦高校生」という看板は十分に「優等生」の代わりになりえた。価値のない落ちこぼれから、「反戦」という旗印を掲げた社会的な存在になりえた。

・時間をかければ完成度が上がるというものでもない。速いことが一番。それは決断力の証拠でもあるから。

・二回同じ失敗をしたら、さすがに自分で自分の才能を信じられなくなるだろう。この戦いには負けるわけにいかなかった。

・相手が納得するまで、というか納得した態度を見せるまで徹底的に論破し、それで憂さを晴らしていた。

・世の巨匠たちが晩年になって駄作を発表するようになるのは、才能が枯渇したからではないと僕は思う。偉くなって、人の意見を聞けなくなったからなのだ。誰も意見をしてくれなくなるからなのだ。

・僕は思うのだ。絶えず時代の先端にいて、その空気を吸っていないと感性が養われないとか、鈍ってくるとか、そんな言い方がなされるが、それは本当だろうか、と。物事の渦中にいる人間というのは、むしろ外で眺めている人間よりも鈍感であることが多いのではないだろうか。

・団塊の世代は、どうしてあんな風に自己肯定しながら生きていけるのだろうと、いつも不思議になる。僕は、過去を肯定も否定もできず、ただ時計の止まった時間を生きているだけ、という気がずっとしていた。





他力本願―仕事で負けない7つの力

他力本願―仕事で負けない7つの力

  • 作者: 押井 守
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本



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