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『ピーター流生き方のすすめ』 [☆☆]

・一か月そうしてワールドカップ漬けで過ごしたのにもかかわらず、いまとなっては、そのときどこが優勝したの、あまり定かではありません。三位はどこだったのかということになると、まったく記憶にありません。それはつまり、その後の僕の人生に、なんの影響もなかったからです。

・どこの国でも日本がそれほど高く評価されていた理由は、「世界で唯一、社会主義に成功した国家だから」というものでした。

・自己責任というのは、日本人にとっては、戦前も戦後もなじみのない生き方だと思います。日本人はもともと、国に任せておけばなんとかなる、会社に任せておけば大丈夫、という考え方で生きてきた人たちだと思うからです。

・アナウンサーがこんなふうに言うのもよく聞きます。「1ドルが98円38銭。いま、変わりました。98円36銭です」。たった2銭の動きのために、さらに何秒かを割いて報道するのです。その2銭の変化が、一般の日本人の暮らしにどれだけの意義があるのでしょうか。

・もし視聴率が10パーセントだとすると、日本の1割ぐらいの人は同じ番組を見ていることになります。テレビで得た知識で、他の人より得をするということはなかなかないのです。

・テレビに関しても、僕がみなさんにぜひすすめたいと思うのは、録画をして観ることです。テレビにとって都合のいいときではなく、自分にとって都合のいいときに観ることです。

・緩慢にテレビを観ていると、後になると何を観たのかちっとも思い出せないような番組なのに、いつまでもテレビの前から離れることができないような状態になってしまいます。それはやはり中毒であり、麻薬に近いものでしょう。

・ドラマを観ていてその世界に吸いこまれているときは、不幸な気持ちはしないはずです。しかし時間が過ぎて振り返ってみると、自分の将来につながっているとはとても思えないことに時間を費やしてしまった、ということになるのです。

・いいことをしているつもりでも、実際には中毒に陥っていないか、点検してみる必要があります。中毒になっているかどうかを知るためには、一度それをやめてみることです。それで禁断症状が出るか出ないかで、中毒になっていたかどうかがわかります。

・三年後に読んでもいいような素晴らしいメールをくれる人もいれば、いまどこにいるとか、すごく風が強いとか、一週間後に読んだら何の意味もないようなメールを頻繁に送ってくる人もいます。自分はどちらの人になりたいか考えてほしいと思います。

・会話をしているときには、本当の上達ではありません。会話というのは、それまで学んだことの復習なのです。

・話をするときに自分が使うことができるのは、すでに頭に入っているものだけです。

・田舎というのは基本的に、どこの国でも、悪い人にとっては住みにくいところです。田舎では悪いことをするとすぐうわさになって、そこを出ていかなければならないからです。

・なにも教えてくれないくせに「勉強しなさい」とくどくど言ったりするのではなく、自分の行動や生き方を通して学ぶ楽しさを伝えてくれた父に、僕はとても感謝しています。

・日本三景は松島と宮島と天橋立だと知ってはいても、実際に見たことがなければ、本当にいちばん美しいかどうかは判断のしようがありません。見たこともないものを、日本で最も美しい景色だと教えたり、思い込んだりすることについてはおかしいと思うのです。

・ある価値観を、それぞれの主観的な判断ではなく、まるで客観的・普遍的な事実であるかのように主張するのが、僕が国粋主義と呼ぶ考え方の特徴のひとつです。

・彼は、「お茶を考えても、イギリスではみんなマグカップにどぼどぼ注いでガブ飲みする。しかし日本では、茶道というものにしてしまう」と書いています。問題なのは前半の方です。愛国主義の人であれば、茶道は素晴らしい、美しい文化だということで満足するところを、それでは満足できない国粋主義の特徴が表れています。彼らは、日本は素晴らしい、と言うだけでなく、それに比べて他の国はだめだ、ということまで言わないと気が済まないのです。

・きちんと確かめもせず、相手の国の文化をけなすようなことを言っていたら、人類がみな仲良く、平和に暮らすことなどとてもできません。

・学問の世界では、ふたつのものを比較しようと思ったら、基準が必要です。基準があってこそはじめて比較することが可能になるのです。けれども、えせ文化論においては、基準がないものを好き勝手に比較してしまうのです。





ピーター流生き方のすすめ (岩波ジュニア新書)

ピーター流生き方のすすめ (岩波ジュニア新書)

  • 作者: ピーター フランクル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/06/19
  • メディア: 新書



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