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『日本進化論 2020年に向けて』 [☆☆]

・中東社会は昔から、「アラブ人×インド人×フィリピン人」の組み合わせで成り立っているといわれてきました。政治はアラブ人、ビジネスはインド人、サービス産業はフィリピン人、というわけです。

・世界の動きを国内でしか通用しない考え方で推し量ってしまうのも、日本の欠点です。

・日本時間の深夜に空港を閉めてしまうのも、地球の動きを無視した「天動説」のひとつのシンボルのように私には思えます。

・引き続き「20世紀型」産業のトップの座を守るより、「21世紀型」産業のトップになることを考えたほうがいいのは当然です。

・わかっている人たちは、インターネットが既存の産業を滅ぼすかどうか、という観点ではなく、それが自分の生活をどのように変えていくのか、変わっていけばよいのか、という意識でビジネスをやっています。

・デジカメはいま、画像のピクセルを大きくしようとばかりしています。これもやはり、20世紀型の発想です。200万画素だったものが、1000万画素になったとしても、どこかで人間の目の解像度を超えてしまい、それ以後は画素数の競争に意味はなくなります。

・いま必要なのは、勇気あるルールブレイカーです。ルールブレイカーこそが、新しい時代のルールメイカーになれるのです。

・2020年には、家そのものが「動かない車」として捉えられるか、あるいはロボットとして考えられるようになるでしょう。

・いまの電話交換機は、まさに20世紀の遺物です。すべてがインターネット化された後には、サーバーとルーターがあれば、交換機はいりません。

・年金問題では社会保険庁が批判されていますが、あれも役所や官僚だけが悪いのではなく、国民のID番号がないことに問題があります。社会保険番号の制度があるアメリカではありえない騒ぎです。人ではなく、しくみが悪いのです。

・理科系の教科は、そのときどきの科学や技術の最先端を学ぶことが目的です。他方、文科系が扱うのは、シェイクスピアの時代から変わらない、人間の裏切りや嫉妬といった世界です。

・人口が減ると総需要が減り、経済発展ができなくなるというケインズ経済学は、まだコンピュータもインターネットもなかった20世紀初頭の時代に生まれた経済学です。すでに80年もたっているグローバル経済の時代だから、新しいマクロエコノミクス理論ができてもいいはずです。

・日本でも「アジア・ゲートウェイ」などという構想がありますが、この言い方は大きな誤解を呼ぶ可能性があります。ゲートウェイとは「入り口」という意味です。文字通り、日本をアジアへの投資の入り口にしようということですが、韓国や中国の人が聞いたら怒って当然です。なぜ、日本を通らないと韓国に投資できないのか。軍国主義の時代の発想と同じで、これは「天動説」の考え方です。

・大学の先生は、学生を教えていると自分が偉い存在だと思ってしまいます。そうではなく、研究者同士が切磋琢磨し合う、本当の頭脳集団にならないとダメです。

・人類全体(人間圏)が地球から「総量規制」を受けている以上、人口増に依存した拡大には限度があります。

・日本は、世界人口66億のうち約2%で、世界経済の12%を占める「富」を生み出し、GDPでも世界2位という、きわめてコストパフォーマンスのいい国です。





日本進化論―二〇二〇年に向けて (幻冬舎新書)

日本進化論―二〇二〇年に向けて (幻冬舎新書)

  • 作者: 出井 伸之
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 新書



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