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『隣家全焼』 [☆☆]

・おやじってさ、一度覚えたことを忘れるのがもったいないと思ってるから、記憶訂正すること知らないからね。この人はアナウンサーなんだと覚えるといつまでもありがたがって使っちゃうんだよ。

・人生語っちゃう。それは逆に他にウリがないからだよ。だって、人生なら誰にでもあるわけだからさ。

・オヤジってブーム好きだもんね。名前がつくと、言いたくてしょうがない。ストーカーブームだって今まで変態と呼んでいたのを言い換えてるだけなのに。

・ブームには金の匂いがするからオヤジが喜ぶんだよね。で、そうやって騒ぐオヤジに限って、金もうけの才はないんだ。

・なんか落語に出てきそうな馬鹿息子。悪いことしないで道楽だけやってりゃ、うつけ者で終わったのにさ。

・小沢一郎……見きわめられない男だね。あいつが優秀なのは、じじい殺しの能力だけだから。

・宗教の勧誘だって最初はおもてなしから始まるんだけど、人生をお客として生きたい人たちだから、おもてなしされて嬉しがってるはずだよ。

・いまはそこそこ稼いでいるけど、稼げなくなったときわかるんだよ、ヒモとしての度量が。ヒモは自分が稼がないことに対して何の逡巡もない。

・根本敬だったかな、世の中の9割はヤンキーとファンシーでできてるってどこかで書いてた。市場がでかいよね、不良。やっぱりヤンキー市場はこの国最大のマーケットだと思う。

・ゆるいんだよなあ。センスもゆるい、頭もゆるい。かけ算はできるけど、割り算はできないって。

・母娘そろって銀座で買い物をするのも、私は子育てに成功したんだというアピール、自己陶酔がこめられているんだろうと思う。作品を連れて歩いてるような感じ。

・普通と凡庸は意味が違うんだよ。本当の凡庸って、テレビの中に要らないもんだし。

・世間ってあまり機敏じゃないからさ、一度抱いたイメージって忘れないじゃない。

・アンナは羽賀のどこがいいのか聞かれて「研ちゃんは苦労してるから」って言うわけ。苦労してるから人のいたみがわかるって言うんだ。苦労した分だけ人間は汚れるんだよって教えたいね。

・でも、目安箱にご注進しても、お上は聞き流すもんだと覚えといた方がいいよ。

・A少年の顔写真を見てどうするのかという答えを持たずに、でもとにかく見たいという欲求だけがあるわけでしょう。

・世の中は見たいんだ、基本的にね。で、見れば気がすむんだ。「見た私」という自己確認。感想はないんですよ。

・「私が見たいものはあなたが見たいもの」と考える人でしょう。自分がつまらんことを主張する過程で、他人が大切な時間を浪費することを想像できないんだね。

・顔と手の対比で顔の小ささって確認してるとこあるのにさ、観月ありさの場合「顔ちっちゃーい」より先に「手ェ、でけー」がくるんだよね。

・でも、オリンピックが失敗しても、やりさえすれば土建屋と代理店は儲かる仕組みだもんね。

・コメントとって記事をうめるの、本当にやめないかな。欲しいコメントって最初から決まっててさ、言いそうな人のとこに電話すんだよね。ヘタすりゃ誘導尋問すらするし。流したい情報が決まってるわけだ。

・テレビで新聞を紹介するシステムが確立してからは、たとえば東スポの世界観まで一般世界が共有することになってるわけだから。

・選んだつもりなんでしょうね、自分自身で。傍から見れば、「30代主婦SMAP好き」っていう、見事にクルクル踊らされてる人にしか見えない。でも、本人は絶対そうは思わない。

・服屋の店員になりたいって、答えてた。社販で服が買えるから。夢の小さいこと安いこと。さすが未来のない人たちだ。未来ないから、プリクラやったりして思い出つくるしか存在証明の方法がないんだね。

・メダルとったら、しばらくそれで食いつないで、メダルの威光が消えないうちに選挙に出る、ってのが今んとこのスポーツマンの王道だからね。

・新井将敬が死んだとき、エアコンの通風口に浴衣のひもをかけて死ねるんだって思った人は多いと思うよ。自殺報道って、死に方紹介ともいえるわけじゃない。

・ワイドショーなんか見てると、何を以て解決とするのか知らないけど、解決に向けてみんなで考えたり、心配したり、理屈つけたりしてるわけでしょ。何だろうね、アレ。

・大人には先生がいないから、習い事でもして先生を見つけなきゃいけない。先生についていけばいいと思えば、心の平和が得られる。




隣家全焼

隣家全焼

  • 作者: ナンシー関
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/07
  • メディア: 単行本



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