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『文系の壁 理系の対話で人間社会をとらえ直す』 [☆☆]

・人と人の会話は九割九分、この種の「どう思いますか?」で成り立っているんですね。

・世の人が「どう思いますか?」と尋ねるのは、疑問をぶつけて相手から答えを聞き出したいからではありません。「この人は自分と同じ考えを持っているか」、相手が敵か味方かを見極めようとしているだけなのです。

・2005年のJR西日本・福知山線の脱線事故では百名以上の方が亡くなりましたが、あのあと、鉄道を廃止しようという議論にはなりませんでした。どうして原発に関しては即座に廃止と言うのでしょうか。

・これまでのVRは、「現実」と、人工物でクオリティはちょっと低い「仮想」の差をいかに埋めるかということを考えてきたんです。ですから、コンピュータの性能をあげるだとか、液晶を高精細にするといったことに取り組んでいました。でも、SR(Substitutional Reality:代替現実)というのは逆の発想で、「現実」のほうのクオリティを下げたんです。現実も仮想もビデオクオリティに落としてしまえば、両者を区別できませんよということなのです。

・「俺は嫌だ」とは言えるけど、「お前は間違っている」とは言えない。

・僕が好きなイタリアの言葉があります。「どん底に落ちたら、掘れ」というんです。普通、掘ることは考えない。

・本人が「自分で気付いた」と思うように持っていければいいんでしょうね。人間、自分の言葉しか受け入れませんから、「自分で気付いた」と思わせるように、隙間にすっと入れればと思う。

・サルをいくら研究しても、人には足りません。

・日本の場合、学問を輸入しているところがありますね。欧米で研究していることさえやっていれば大丈夫だと考えている人達が多い。だから自分で分野をつくる人が少ない。

・21世紀は都市の時代だと多くの人がいうようになりました。国同士の競争も依然として残っていますが、産業にしても都市同士の競争の方が激しくなっているように感じます。

・そもそも官僚機構というのは、法律に書かれていることを淡々と実行するための仕組みであり、そこに裁量の余地があってはならないものです。

・欧米でも仏教は広がっているでしょう。インテリは、最後には仏教に傾倒するようになる。シュレディンガーの頃からそうですよ。

・日本の場合「社会的適応」というのがあって、27、8で完成してくるんですね。その時期に、外国に行っていると、日本社会に適応できなくなるんです。

・だからいつも、「外へ行け」「田舎に行って、農業をやれ」って勧めているんだけど、「そうするとどうなりますか」って必ず聞かれる。どうなるか、予想できるんだったら、やる必要ないんですよ。




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