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『倫理の死角 なぜ人と企業は判断を誤るのか』 [☆☆]

・哲学の一分野である規範主義的倫理学は、「人はどのように行動すべきか?」という問いに答えることを目的として発展してきた。その一方で、「人は実際にどう行動しているのか?」「どうすれば、人々にもっと倫理的な行動を取らせることができるのか?」という問いを実証的に検討することには関心を示してこなかったのだ。

・「地球を守ろう」と言うとき、ほとんどの人は自分たちの子孫のためを思っている。ところが、いざ子孫のために自分の生活水準を落とすという話になると、その途端に態度が変わる。

・メルクにとって、自社の工場でムスタルゲンを製造すること自体は問題なかったようだ。ムスタルゲンとコスメゲンの製造販売権を売却したあと、オベーション社と契約し、この二種類の薬の製造を請け負ったのだから。メルクが二種類の抗癌剤をオベーション社に売却したのは、新聞に「メルク、癌患者を食い物に。抗癌剤を10倍に値上げ」と書かれるのではなく、「メルク、二つの抗癌剤をオベーション社に売却」と書かれたいという思惑によるものだったのだろう。

・国民は概して未来を過剰に割り引いて考え、些細な不便も拒むので、再選を目指す議員にとっては、未来の大惨事を避けるためであっても、国民にいま小さな犠牲を払わせようとするのは得策ではない。

・組織の中で交わされる会話も暗黙の価値観を浮き彫りにする。何が話され、何が話されないかに注目すれば、その組織でどういう行為が評価され、あるいは評価されないとメンバーが思っているかが見えてくる。

・「安全性では、車は売れない」というスローガンは、その企業で何を重んじ、何を重んじていないかというきわめて強力なメッセージを社員に発信する。





倫理の死角ーなぜ人と企業は判断を誤るのか

倫理の死角ーなぜ人と企業は判断を誤るのか

  • 作者: マックス・H・ベイザーマン
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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