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『知的生活習慣』 [☆☆]

・古来、日記をつける習慣をもつのはエリートに多かった。知識人が日記をつける。古くは貴族や文人が日記を残しています。

・文字の使用が進むにつれて、記憶力は退化すると思われる。覚えておかなくても、書いたものがあれば安心できる。それで記憶を弱体化する。

・一見して定年退職したという人が難しそうな本をひらいている。それを見ると、なにかいじらしいようでもあり、少し哀れでもある。

・読む人は、本人と印刷所の人くらい。

・人間の子供の勉強もインコ、オウムの訓練とよく似ている。わけのわからないことをくりかえし仕込まれると、やがてそれを覚えて忘れなくなる。知識になる。

・オウムのように言葉を使うのを言語学ではシッタシズム(psittacism)と呼ぶ。

・飾りもののような知識のことを教養と呼んで価値づけ、実用より一段上のものであるような錯覚を持つようになったのはシッタシズム文化の成り行きである。

・人文学の学者は多くこの教養シッタシズムに陥って、無力である。モノマネの知識は振り回しても、自分の言葉がない。

・中国文学の人が、「中国の昔、宮廷は、朝日ののぼるとともに政庁を開いた。だから、朝廷というのです」と言う。

・日本のマスコミが、アメリカのこととなると、頼まれもしないのに提灯を持つ。そうすると、わけもわからぬ連中が、騒ぎ立てる、といういつもの通りのことが見られた。

・私はそれまで、俳句は名詞中心の詩であると考えていたのだが、女流俳句では動詞が重要な働きをし、セマンティック(意義的)ではなく、エピソディック(物語的)になろうとしていると感じた。

・俳句は田園、農村の詩である。都会生活者にとって、季語の大半は実感を伴わないものである。

・俳句なら小学生だって、ときにうまい句ができる。それに対してことわざは、知的な洗練を要するから、大学生にだってつくることは難しい。





知的生活習慣 (ちくま新書)

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  • 作者: 外山 滋比古
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2015/01/08
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