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『大停滞』 [☆☆]

・もしあなたが毎日、日本のことを考えていないとすれば、あなたはまだ眠りから覚めていないと言わざるをえない。

・日本人は経済の停滞と共存する方法を見つけている。この点は、かつての高度経済成長に匹敵する偉業といえるかもしれない。

・目端の利く起業家たちはすでに、電子的な方法で著者が読者のキンドルやヌークやiPadなどの電子書籍端末に「サイン」するための新しいテクノロジーの開発をはじめている。

・私たちは過去数十年、ものごとの漸進的な改良によって、かろうじて経済を成長させてきた。だが、その程度の進歩では、生活水準が飛躍的に向上することはない。

・私はいま48歳だが、身の回りにある基本的なものは、(インターネットを別にすれば)子供の頃からたいして変わっていない。20世紀初頭に生まれた私の祖母の場合、そんなことはなかった。

・キプロス、グアドループ(カリブ海のフランス領)、ギリシャは、アメリカより平均余命が高いが、いずれも一人当たりの医療費支出はアメリカよりはるかに少ない。

・アマチュアが大きな成功を収められる産業が、アメリカ経済の最も革命的な産業であることは偶然でない。この点で、インターネットの世界は産業革命初期のイギリスとよく似ている。

・昔とは異なる形で、あまり予想されていなかった分野でイノベーションが起きるようになったのである。それなのに、私たちは昔の計画を変更せず、古いやり方を改めようとしない。新しいイノベーションも、旧来のイノベーションと大筋で同じだという前提に立っている。

・インターネットの重要な恩恵はたいてい、相応の知的能力の高さに応じて得られる。

・私たちが2ドルのバナナを買えばGDPの値をその分だけ押し上げられるが、インターネット上で20ドル相当の価値のある娯楽を経験してもGDPは上昇しない。

・政治家は有権者の歓心を買おうとして減税策を打ち出す。減税を行なえば、たしかにさしあたりは実質所得が増える。しかしその政策は、国の借金を増やし、国民の不満を先送りにした挙げ句、将来的にはかえって不満を増大させてしまう。

・現段階ですでに、アメリカの所得上位5%の層が所得税の税収の43%以上、上位1%の層が27%以上を負担している。早晩、富裕層に対する課税を強化しても、以前ほどの効果があがらなくなる。

・植民地時代のアメリカの人々がイギリスの課税に反発して反乱を起こしたとき、税負担は現在の水準に比べれば極めて軽かった。

・インターネットにアクセスすれば、お金があまりない人でも多くの知識と娯楽を得られる。しかし、それが景気後退を深刻化させている面もある。インターネット上に娯楽が豊富にあるせいで、消費がますます落ち込んでいるのだ。

・概して、インターネットにアクセスして過ごせば、テレビを見るなど、昔ながらの方法で時間をつぶすより、たくさんのことが学べる。



大停滞

大停滞

  • 作者: タイラー・コーエン
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2011/09/22
  • メディア: 単行本



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