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『インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ』 [☆☆]

・そもそも、我々人間は、昔も今も「ほぼ原始人」である。マンモスを追いかけていた数万年前とDNAレベルで比べたら、およそ何も変わっていない。

・原始時代から時代を経て変わったのは人間ではない。人間が積み上げてきた「文明」である。

・フェイスブックの「友達」は誰でもいいわけじゃない。「友達申請してきたら、みんなOK!」という人もいるかもしれないけど、たぶんそうすると集まってくる情報はゴミばかりになる。

・SNSを利用するということは、実は「自分好みの編集長選びでもある」と。

・従来のマスメディアのコンテンツの拡散方法は基本的に「大声」だよね。ネット上では、「大声」は届かないどころか、聞かれなくなっちゃう可能性がある。

・オウンドメディアは、滅多に電車の通らないローカル線沿いの屋外看板みたいに、「誰も見ないコンテンツ」になっちゃう。

・メディア企業はただ製作能力や有力媒体の枠組みを提供する以上の価値を付与することが必須だ。たとえば、独自のオーディエンスデータを持ち、それを商品やサービスに合わせて企業ごとにカスタマイズできたり、あるいは優れたネイティブアドが制作できるなど。

・ネイティブアド(Native Advertising):記事コンテンツと広告を自然に溶け込ませ、読者に違和感を抱かせずに情報を伝える広告。

・日本の場合、マスメディアは基本的に文系企業なので、「アート&テクノロジー」のうち、アートのほう、すなわちパッションあふれる面白いコンテンツの部分は作れる。ところが、テクノロジーの側、つまりサイエンスの側が弱いんだよね。

・理論上はスペースを無限にとれるウェブの場合、テレビや雑誌や新聞の広告ではできない、新しい広告手法がある、ってことにようやくみんな気づき始めた。それは、いま「コンテンツ広告」などと呼ばれている「読ませる広告」。

・「トーキング・ポインツ・メモ」というサイトは調査報道──たとえば役所から情報開示請求して取り寄せた書類とかをユーザーに頼んで、みんなで見て、それで何日以内にある程度の問題点をあぶり出す──みたいな作業をやっている。それってたぶん、一人か二人の記者とかがやっていたら大変なことになるわけ。だから今後は、クラウド・インベスティゲーション(クラウド調査報道)みたいなことが起きる。

・すべてオートメーションでいろんなものが作れるファクトリーさえ準備できれば、たとえば廃墟になっている地帯をリノベーションして、製造工場として稼働させたりすることができる。

・メディアも製造業も顔の見えない「大衆」を想定していると、いまの消費者のニーズに応えられるようなコンテンツや商品を開発するのが難しくなる。

・日本企業にとって一番の問題点は、会社内で決定権を持っている人が、ソーシャルメディアをリアルに使ったことのない50代、60代、場合によると70代だったりすること。「デジタルデバイド」が経営陣と会社の現場との間、さらに市場との間にあったりする。

・ここ数年、ビッグデータってコトバが流行ったけど、大半の企業は、ビッグどころか社内のスモールデータの整理や活用すらちゃんとできていないケースが多いんだって。

・思うに、仕事ができない人って、「近くの人に尋ねてみる」ってことをしてないよね。

・言語を使えるようになり文明が爆発的に進化したのは1万年前だから、僕らの大脳はいまだに明日の見えない不安定な時代のクセを背負っている。となれば、経済学的な優位性よりも、サバイバルの基本として今手に入るものはすぐに手に入れておこうという心理が働くのはむしろ当たり前。

・時計もクルマも技術的にはかなり天井を打っている。だからこそ、「好きでしょうがないやつ」は別として、自分のお気に入りのモノで生活まわりを揃えたいレベルのユーザーに対しては、デザイン戦略は最も重要。

・デザイナーの才能って、「いい絵」を作り出すと同時に、「なぜそれがいいのか」の説明がちゃんとできることがセットになっている。自分の作ったデザインに対してロジカルな言葉を用意できるかどうか。

・アスリートでも一流選手は、自分のプレイや技術を言葉で説明できるんだよね。

・ルノーが、新しく出した小型車ウインドについてコメントしていたけれど、デザインで競合するのは他者の車じゃなくて街なんだって。あれだけすごい建築物があるから、それらと張り合わないといけないのね。

・すべての製造業はサービス業である。つまり商品がユーザーに対してサービスするわけで、そこで売られているのは経験である。

・ビジネスの組織もAKB48方式をとったら面白いかも。所属する会社はバラバラのサラリーマンたちが、コ・クリエーションでプロダクトを動かして、売り上げが会社と個人に落ちるというモデル。

・ある外車メーカーが小さい子供を対象に調査したんだけど、いまの子供たちに絵を描かせると、車がみんな四角いんだって。

・情報がいっぱいあると、人間の行動って多様性を増すどころか、面倒くさくなって同じ答えに収斂しがちなところがあるよね。少子化が叫ばれている日本で、なぜか7人乗りのミニバンばかりが売れたり。

・「車離れ」とか「車が売れない」とか言われているのって、実は新車マーケットだけの話なんだよね。日本の人口が減ってきているのに、実は車の登録台数は数百万台増えている。

・いわゆる団塊の世代以上。60歳の人たちとかは「中古車なんか乗れるかよ!」みたいな感じで、そもそも中古車の見方や選び方が分からない人が多いと聞くね。

・若い世代は、PCとかタブレットとかスマホとか、新品が常に最善であるITハードについてはがんがん新品に買い替えるけど、、新品と中古に劇的な差がない自動車や家に関しては、中古市場を利用したりレンタルで済ませたりする。

・車の新車とか家の新築にはこだわるくせに、パソコンはウィンドウズの古いバーションだったり、CPUもすごい性能の低いのだったり。

・そもそも、音楽のように趣味性の高いコンテンツは、インターネットを介して、「特定少数」のお客さんを集められるようになると、マーケットにおもねって中途半端にメジャーな音を作るよりも、好きな人にだけ好かれる音を作ったほうが結局ビジネスとしても成立しやすい。

・未来を創るのは正確に言うとテクノロジーである前に、新しいテクノロジーがもたらす「未来の生活」を具体的に妄想する力のほうじゃないか。



インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ

インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ

  • 作者: 小林弘人
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2015/01/24
  • メディア: 単行本



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