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『作家の収支』 [☆☆]

・顧客に満足を与えられる仕事ができれば、それが次の仕事につながる。仕事の質がつまりセールスであり営業を兼ねている。

・これは駄目だ、というものは明確にわかるが、これは売れる、というものはわからないのである。

・面白いものを書けば、いつかは芽が出る、などといった綺麗事も聞くけれど、これは「よほど面白いもの」に限られる。「そこそこ良いもの」では駄目だ。

・印刷書籍というのは、将来的には限定品、記念品的な「スペシャル」な商品として位置づけられることになるだろう。つまり、電子書籍で読んだファンが、グッズとして印刷書籍を買う時代になる。

・部数を把握し、それを増やしていくためには何が必要なのかを、作家は自分で考え、戦略を立てなければならない。出版社はそこまで考えてはくれない。それよりも、もっと売れる作家を探す方がずっと簡単だからだ。

・仕事という行為は、基本的に多くの人々に可能なシステムが構築されている。向き不向きはあっても、できないという人は少ないだろう。

・話をするのではなく、メールで答えるインタビューも最近増えてきた。

・著作使用料がいただける。小説がドラマになる場合、1時間の放映に対して50万円位の額である。

・そもそもスターがいない時代になったといっても良い。どの業界を見回してみても、日本人のほとんどが知っている「顔」というのは、もう存在しないのだ。

・好きなものがない人は、普段から他人のことを羨ましがっている。だから、大金を手にしたら、自分もそんな贅沢がしたい。つまり、人から羨ましがられたいという願望を持っている。

・ネットでつながっているごく身近な範囲が彼らにとっての「社会」になっている。流行もその「小さな社会」の中にあるのだ。

・雑誌の売行きが芳しくないと、飛行機か鉄道の特集をする、なんて話が昔からあった。マニアが買ってくれるからだ。

・これはつまり、かつてのメジャが今でもメジャなまま存続しているという古い価値観、間違った評価に基づいているわけで、マスコミ自身が、知らないうちにミニコミになっている証左ともいえる。

・メディアが多様化する時代ほど、多作であることが有利(というより必要条件)になるだろう。

・「好きだから」という理由で書いている人は、好きでなくなったときにスランプになる。つまり、そういった感情的な動機だけに支えられていると、感情によって書けなくなることがある、ということのようだ。

・どんなジャンルでもそうだが、結局、なんらかの自己矛盾を持っていることが成功の条件でもある。



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