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『つぼみ茸ムース』 [☆☆]

・怒ったり、謝らせたりするよりも、問題を解決する方が先決なのだ。問題解決よりも感情が優先していると、それこそ本当に戦争になる。

・他者に何かを依頼する場合、金を取ってくれるプロにお願いする方が、善意だけでやってくれる人に頼むより信頼できる。

・友人とか近所の人に頼んだりすると、金はいらないが、親しさを買わなければならなくなる。借りを作るから、その後、一種の支配を受けることになる。

・年齢が上の人ほど、金が関与しない人間関係を好み、若い人ほど、金で解決するなら、と考える傾向にある。田舎から都会へ、村から核家族へとシフトしたのも、このような方向性からだっただろう。

・発言したり、文章を書いたりするときに、事実なのか、意見なのか、願望なのか、きちんと意識して出力しているだろうか。

・多くの人は、意見と願望を区別できていない。意見を求められたときに、願望を述べてしまうと、「それが意見?」と聞いた方はがっかりする。

・威張ったりせず、若者に対しても敬語や丁寧な言葉を使って話す、というくらいはマナーである。馴れ馴れしくしない、その距離感が、信頼関係を育むだろう。

・良い建築は何かを一言で表現すると、それは価格の高いものだ。金をかけるほど、建築は良くなる。安くても工夫をすれば、というのは綺麗事であって、多くの条件は、良いものほど高い。

・男の子が自動車の絵を描きたがる理由。男女で目の仕組みが異なっている、という話(説)をあるところで聞いた。網膜の神経には、形や色を捉えるものと、動きを捉えるものがあって、男は後者の比率が高いというのだ。つまり、男は生まれながらにして、動くものに目を向けやすい。

・自動車には、ガソリンタンクの残量を示すメータが装備されているけれど、ガソリンスタンドの前を走っても、ガソリンを入れたがる素振りは見せない。機械と動物の差は、まだまだ大きいように見える。

・「神」というキャラクタは、人間が作り出した架空の存在である。神とアニメのキャラを一緒にするな、と叱られるかもしれないが、しかし、考えてみたらどこに差があるのか、というほど同じなのだ。

・人間は、連続した遅い変化には鈍感である。

・時間を貯めるというのは、やるべきことを早めに処理して、余裕を作るという意味だ。

・断ってしまうと次の仕事が来なくなるのではないか、という心配から、ついつい気安く引き受ける。しかし、そんなやり方を続けていると、単に頼みやすい相手だと認識されるだけだ、仕事の質で評価されているわけではないから、仕事の対価も上がらない。

・台風のときの強風に備えて、屋根の形を飛行機のフラップやスポイラみたいに変えるのはどうか。

・津波や台風や土砂崩れなど、あらゆる災害に対して安全を確保するには、一人用の生存カプセルが有効ではないか、と僕は考えている。仮設住宅ができるまでにも、これがかなり使えると思う。カプセルホテルだってあるのだから、そんなに難しくないだろう。

・僕が若いときには、どの街にもレコード屋があった。今は一軒もない。そもそもレコードがない。これが書店の未来である。

・印刷も、仕事が減っていくだろう。いつまで印刷が必要なのか。印刷屋が減ると、ますます印刷書籍は高騰するから、本というものが贅沢品になるはずだ。

・ネットでツイッタやブログで本の感想を書いている人は多数いるのだが、書かれているのは「あらすじ」であって、「感想」ではない。

・ミステリィを書いていると、読者の声として、「あらすじに触れずに感想が書けない」というのを毎日のように耳にすることになる。僕は、あらすじに触れずに感想が書けない人は、小説を読む能力が不足していると感じる。

・「憧れの生活」よりも「憧れてもらえる生活」に憧れている人たち。

・反対運動をするのではなく、押し進めたい方向性を示し、こうしてほしい、と訴えるデモをするべきだ。たとえば、「原発反対!」と声を上げるなら、「火力発電を増やせ!」と叫ぶべきだ。

・しがみついているから、自分の両腕が使えず、自由なことができなくなる。そんな不自由のまま、周りを見て、叫んでいるだけの人も多い。

・「手が離せないんだ」と言い訳して、誰かに食事を作らせ、食べるものを口まで入れてもらっている。彼は、しがみついているものに支配されているのである。

・ユーチューバだって、今から目指すものではない。もうなっていないと駄目だ。その仕事に名称がつく以前に、それになっていることが、一番正しい「なり方」である。

・人間は三万日しか生きられない。その三万日でできることを計算しておかないと、やりたいことができない。

・「詐欺まがい」というのも、合法であれば、それは「賢いやり方」ともいえるだろう。

・馴れ馴れしくされるのが嫌いだ。たとえば、行きつけの店などでも、マスタから親しく声をかけられたら、その場ではにこやかに応じるけれど、もうその店へは行かなくなると思う。

・「裏切られた」と怒る人がいる。「子供の夢を壊した」なんて、子供を出汁にして抗議をする人もいる。



つぼみ茸ムース The cream of the notes 5 (講談社文庫)

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  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: 文庫



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