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『食える数学』 [☆☆]

・フーリエ解析は、もとは熱方程式を解くために考えだされたものです。音声や画像の処理に役立ったのは、いわば想定外のことでした。

・カメラで写真を撮るときに重要なのは、絞りとシャッタースピードです。絞りは大雑把にいえばピントの調整、シャッタースピードはブレの調整を行なうものです。

・絞りを開けるとピントの合う範囲が狭くなり、全体がぼやけ、逆に絞れば、ピントの合う範囲が広くなります。

・当然ながら、数学を教わるときには「数学ができる人=先生」に教わることになります。しかし、もともと数学ができる人は、苦手な人が数学を苦手とする理由を想像できないことが多いという、「教育のパラドックス」が生じています。

・数学者のエピソードは、数学に親しみを持たせるものではなく、あくまで「数学者」に親しみを持たせるためのもの。実際のところ、数学者を知ったからといって、「それでは、さっそく、その数学者が成し遂げた業績について勉強してみようじゃないか!!」と思う人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

・数学IVをシンプルにいうと、「証明を重視しない高等数学」です。大学の学部レベルでいえば、次のようなものです。微分積分学(一変数、多変数、ベクトル解析)、線形代数学、複素関数論、常微分方程式の解法、フーリエ解析(ラプラス変換、z変換も原理的には同じカテゴリに入る)、確率論、統計学(推測統計学)。

・数学の応用は、現時点ではまだ「モノ」への応用が主役で、「ヒト」への応用は散発的です。

・20世紀は物理学で大きな発見が相次ぎましたが、Natureなどの科学誌を見ると21世紀に入ってから、主役は明らかにバイオに移っています。

・線形代数というのは大雑把にいえば、連立方程式の理論と行列の理論のことです。

・電気系の必須科目のひとつ「電磁気学」。ここでは、ベクトル解析とよばれる数学をたくさん使います。これは歴史的に考えれば当然のことで、電磁気学をきれいに記述するためにベクトル解析が発達してきた側面があるからです。

・数学を勉強する目的は何でしょう? 本書では、「自分の好きな仕事に役立てること」が目的だと書きました。

・社会で、数学をサバイバルナイフとして使えるようにするためには、学校の先生から言われた通りに、教科書をイチから勉強するのがよいとは限らないのです。

・数学は、多くの人が思っているよりも、ずっと身体的です。実際に手を動かして計算してみないと、身につきません。

・学ぶ側としては、大学の教科書を先に読んでしまえばよいのです。原理は、鶴亀算を連立方程式で理解するのと同じです。より高い視点から考える方が、頭への負荷がはるかに軽いのです。

・「制限された範囲で無理して頑張るよりも、もっと先に進んでしまったほうがラク」なのです。

・工学の場合は、教科書通りに勉強していった、はるか先にモノづくりがあるわけではないですよね。まずつくって遊ぶのが先で、その過程でよく考えないとうまくいかないことが出てくるので、それを学問的に洗練するという順序のほうが、むしろ自然ではないでしょうか。

・筆記試験はよくできるけれど実際につくれないという大学院生と、理屈はともかくつくってしまう小学生を比較したら、どちらがよいのかビミョーな気がします。

・放っておいてもやってしまうこと、止められてもやってしまうことには、間違いなく才能があります。何でも1万時間やればモノになるといわれますが、好きなことなら、1万時間なんてあっという間なのですから。

・学校で教えることも必要だけれども、教えるのは過去のことなんだ。ほんとに必要なのは、未来なんだな。

・なかなか理解できない人は、必ずしも頭が悪いわけではないと思います。「なかなかわかった気にならないのは、ある種の数学的才能」です。

・数学者の世界で、ときどき「早わかり」とよばれる人がいます。何でもすいすい理解できてしまうし、恐ろしく何でも知っているすごい人なのですが、創造的な仕事はほとんどできない。わかりすぎなんですね。どこにも引っかからない。どこにも引っかからないということは、どこも自分なりに掘り下げられないということです。

・ジニ係数の上昇分は、ほぼ、高齢化率の上昇(高齢者の間の格差が大きいため)で説明ができてしまいます。



食える数学

食える数学

  • 作者: 神永 正博
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2010/11/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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