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『タックスヘイブン』 [☆☆]

・関係者が増えれば、当然リスクも大きくなる。

・今も昔も、現金こそが最も匿名性の高い決済手段だ。マネーロンダリングへの監視が厳しくなればなるほどその価値は上がり、どれだけコストがかかっても手持ちの現金を海外に運びたいというカモが増えてくる。

・遺体を航空貨物で搬送する際には、伝染病などの危険もあるため、通常の貨物以上に厳重な通関手続きが行なわれる。それにかかる諸費用は数百万にもなり、海外旅行傷害保険に加入していないと、遺族は哀しみばかりか経済的な重荷まで負わされることになる。

・相手がわざわざ連絡してくるということは、うしろめたいことがあるからだ。敵が弱味を晒しているときに、なぜ譲歩する必要がある。

・大きな相場をつくるには、カネに飢えた個人投資家に旨そうな話を流し、株を買い上げて信用させなきゃならないんです。

・他人のために自分の人生を無駄にしたい奴なんていませんから、ヤクザの暴力なんてしょせん張子の虎です。

・自己啓発本は市場が飽和しているので、著者が美人だったり、障害を負っていたり、何かのセールスポイントがないと読者の興味を引かない。

・欧米の銀行は通帳を使わないので、口座は一か月に一度送られてくる残高証明書で管理する。これがステイトメントだ。

・ゲームのやり方を教えてやるよ。何が起きているかわからずおろおろする奴が一番最初に脱落するんだ。生き残るためにはルールを習得し、コマの配置をすべて把握して、先回りしてゲームを支配しなきゃならない。

・振り回されてばかりだったが、裏切られたことはなかった。

・シンガポールのホテルはどこも凝ったアフタヌーンティーやハイティーのメニューを用意している。植民地時代のイギリス人の奇妙な習慣を追体験するために、高い金を払う観光客がいくらでもいるのだ。

・検事は退職すると弁護士登録するでしょ。税務署職員は勤続23年で税理士資格が取れますから、脱税事件で一緒に組んだ検事と国税調査官が、今度は弁護士と税理士になって租税回避を指南するようになるんですよ。この国の制度は本当におかしなことばかりです。

・金融の世界には、白いカネと黒いカネがある。黒いカネは、脱税や犯罪で稼いだ資金で何があっても表に出すことができない。白いカネは出所が明らかで、法に基づいて権利を主張できる。

・脱税の時効は五年で、悪質と見なされても七年だ。どんなあくどい方法で手に入れたカネでも、いずれみんな白くなる。

・日付の表記は米語では月/日/年、英語では日/月/年だが、国際的な送金ルールでは日本と同じ年/月/日の順になる。

・都合のいい話ほど疑うことにしているんだ。そうやってこれまで生き残ってきたからな。

・給料は雀の涙みたいなものですけど、国家権力というのはこれはこれでなかなか魅力があるんですよ。

・派閥を率いる政治家は、公共事業の口利きなどで多額の裏金をつくってきた。だが政界浄化やコンプライアンス重視の掛け声のもと、こうしたやり方はリスクが高く、旨味がなくなってきた。公共事業予算は減る一方なのだ。

・特捜部の役割は検察の広報ですから、メディアが大きく扱う事件じゃないとやる意味がないんです。それを「国策捜査」と呼ぶ人もいますが、「PR捜査」の方が実態に合ってますよ。

・どんなにコンプライアンスを厳しくしても、大金の前では誰もルールなんて気にしなくなるんだ。

・一度医者を呼んだんだけど、「中途半端にカネを持っている麻薬中毒者はどうしようもない」って診察すらしてくれなかったし。

・大きなお金が絡んでいると、誰一人信用できない。

・新しくできたブランドホテルもいいんですけど、どこも効率優先で設計されているからこんな無駄な空間はないでしょ。それが歴史のあるホテルとの違いですよね。

・そういう甘いことを言ってる奴が真っ先にゲームから脱落するんだ。生き延びるにはゲームを支配し、相手より先に行くしかないって教えただろ。

・ヤクザの暴力は見せかけでも、国家の暴力は本物ですからね。



タックスヘイヴン TAX HAVEN

タックスヘイヴン TAX HAVEN

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: 単行本



タックスヘイヴン Tax Haven (幻冬舎文庫)

タックスヘイヴン Tax Haven (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/04/12
  • メディア: Kindle版



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