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『メカ屋のための脳科学入門』 [☆☆]

・そもそも生物学は各論の集まり。現象の多様性こそが生物学の本質。

・生物学は発見至上主義で、理屈は後付け。したがって、新発見が理屈を変えてしまうのもやむを得ない。むしろ、そのようなドラマチックなパラダイム・シフトが生物学の醍醐味だ。

・脊椎動物と軟体動物の眼の起源は全く異なる。脊椎動物では、神経細胞の一部が突然変異して、光感受性を獲得した。一方、軟体動物は皮膚細胞の一部が突然変異した。

・ヒトの安静時の消費エネルギーは約100Wで、脳はそのうちの20%程度、すなわち約20Wを消費している。

・生物体の不思議は、平衡状態に陥ることを免れていることであり、それは、物質代謝によって、生物体が「負エントロピー」を取り込み、正のエントロピーを体外に排出することで達成されている。

・生物のハードウェアの共通した特徴は、効率が非常に高いことだろう。したがって、人工物とは異なり、我々は頭をフル回転させても、全速力で走っても、その温度上昇は微々たるものである。

・不正があろうがなかろうが、再現性のない論文とその著者は、そのうち誰も信用しなくなり、後世に残らないだけだ。

・ガリレオの地動説のように、発表時には誰も信じなかったとしても、それが真実であれば、その研究者の名誉は後世に残る。このような「歴史が証明する」という科学の原理原則が高尚すぎて、今の世の中にはそぐわなくなってしまったように思う。

・美術の目的は脳機能の延長にある。その意味は、芸術の目的も、脳の機能も、「ものごとの本質を抽出すること」という点で共通している。

・可もなく不可もないニュートラルな刺激は、少なくとも危険ではない。そのような刺激を頻繁に受けると、安心感に変わっていく。これが、単純接触効果の基本的なメカニズムであると考えられる。

・驚くべきことに、ドラえもん、ちびまる子ちゃん、となりのトトロなど、日本の子供向けアニメのキャラクターの縦横比は白銀比であることが多い。

・脳は平均的な特徴の抽出を得意とする。これを裏返せば、脳は平均値からの偏差にも敏感であるはずである。つまり、脳にとって、平均的な特徴との差異こそ、個別の事象の本質である。



メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする-

メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする-

  • 作者: 高橋 宏知
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 単行本



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