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『ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆』 [☆☆]

・互いを想うほどに、真心が空回りする。

・現実の厳しさをことさらに言い立てることは、逆のその厳しさを知らないことの反映であり、あらゆる意味で準備不足である。

・彼女は怒りを覚えても無表情でそれを覆い隠そうとするが――君は怒っていることをまったく隠さないことで、冷静さを保っている。交渉相手としては君の方がタフな相手だよ。

・君はいつだって世界の際に立っていて今にもこぼれ落ちようとしているんだよ。君がいるのは真ん中ではない。それを自覚してもらいたいね。

・彼が破滅しても、それは身から出た錆だ。世界の隅で朽ち果ててもらう。

・何かを計画するときに、願望がなければ目標を設定できない。

・目の前で人が一人殺されたという事態に対しては、特にショックも何も受けていないらしい。どうやってそれに対処するか、という問題で揉めているだけで、殺人という行為の非倫理性については前提にさえしていないようだった。

・その秘密を知っているということが関係者にバレたら、ただでは済まないのではないだろうか。なんだかあっという間に引き返せない立場に追い込まれてしまっている……。

・普段はおとなしいのは内心を隠しているんじゃなくて、実はなんにも考えていないことを皆にバレたくないから、そうやってむっつりしているんだろう?

・いくら他人から優しくされても、それを信じ切ることができないんだ。どうせ内心では自分のことを馬鹿にしているんだと思っている。そして、そのことがどこか心地いいんだ。駄目な人間であることに酔っている。

・オルタナティブ・エゴよ。我を張るくせに、そこには自分がなんにもないのよ。

・誰でもない自分という誇りがある。そういうのが正しいエゴだとすれば、オルタナティブ・エゴは、誰でもいい自分、とでもいうべきもの。それは縄張り意識だけがとても強くて、内面の充実をほとんど考慮しない。

・気にするのは如何に責任を逃れるか、破綻を避けるかということだけで、自分が何かを生み出したいとか、達成したいという夢がない。そういう形でのエゴ――意志なき傲慢。無思考の厚顔無恥。それがオルタナティブ・エゴ。

・世界を受けとめきれる人間とはすなわち、その時点で世界の敵にもなってしまう。

・リスクを承知でやっているのに、信念もなしにその不安に耐えられるとは思わない。

・本能の赴くままに能力を暴走させる輩は、これは他の絶対多数の人々の安全のために、この世から消さなければならない。

・あの男はとにかく階級の序列にうるさく、彼女のことをあくまで自分よりも下の身分だとうるさく言い続けていたものだった。

・一生懸命頑張ってます、とか言いたがるのは無能なヤツだけよ。問題なのは成果だわ。

・人が何かを想うとき、それが間違っていればいるほど、そのことに対しての執着は拡大されて、より取り返しがつかなくなる。

・考えない――。それが彼らの処世術のすべてだった。相手に合わせて気を遣うのではなく、最初から何も考えず、どうにかしようとは思わず、ただ目先の感覚だけで反射的に動く。

・容赦はしない。考えていない分、シンプルで迷いがない。

・猟犬などの鋭敏な生物の嗅覚とは、つまるところ脳のリソースのどのくらいの割合を、においの区分に割いているかということであって、受容装置――すなわち鼻そのものの性能は、実は大差ない。

・フェロモンなどに代表されるように、においとは心理と密接に関わっている。においによって人心を誘導することもできるのだ。

・おまえはいつでもそうだな? ずっと待っているだけだ。そうすればいつか誰かが助けてくれるとでも思っているのか? いや思っていないよな。単にどうにでもなれっていつでも投げやりなだけだろう? 違うか?

・何かを隠蔽するには「何も問題ありません」というのではなく、他の様々な諸問題の中に埋没させることが効果的である。

・彼女の方に重みを押しつけて、自分が軽くなっていた、というか――だから平気だった。きっと自分が助かりたいとしか思っていなかったら、頑張れなかったでしょうね。



ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆 (電撃文庫)

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  • 作者: 上遠野浩平
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2016/03/10
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ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆<ブギーポップ> (電撃文庫)

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タグ:上遠野浩平
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